本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
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電子の紙

松下電器産業が「シグマブック」を出した、というニュースをご存じの方は多いと思います。これは携帯読書端末といわれるもので、早い話が液晶の板を2枚真ん中でつなげて見開き1ページにし、そこに文字を表示するという代物です。
 試作機を見ると重いわ、液晶の精度は昔のワープロ並だわ、あんなもの買う人いるのかと思ったら、顧客は日本ではなく中国だという話です。中国では教科書に紙資源を使うのをやめたいので、携帯端末を学校に配置したいんだとか。エネルギー量を全部計算すると、本当に紙より資源のムダにならないのか、門外漢にはわかりかねますが…ナゾです。
 で、本日、凸版印刷で電子出版ビジネスについての説明会があるというので覗いてみました。内心、また「電子ブック」(ソニー製で役立たず)とか「シグマブック」とかの話じゃないだろうな、と手をグーにして(そういう話ならタコ殴りの用意)臨んだところ、意外や興味深い話があったので、ご報告いたしましょう。

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 凸版印刷というのは印刷業界では大手で、技術力にも定評のある会社です。書籍だけではなく、プリペイドカードやホログラムシールなどの特殊印刷、商品のパッケージなども制作しています。基板のプリント、あれにも印刷の技術が欠かせません。
 で、その凸版印刷は、パソコン通信の時代から、ニフティやPC-VANでデータベース配信の有料サービスを行っていたそうです。インターネットの時代の今では、インターネットはもちろん携帯やPDAにもコンテンツを流通させる事業を展開しているんだとか。電子書籍もその一環で、ネットを通じて書籍の中身(コンテンツ)を売る、というビジネスをしています。
 
  現状では電子書籍の市場は微々たるものです。理由は簡単で、ネットで本をダウンロードして(立ち読みできないし通信費もよけいにかかるし)、端末で読む(見づらいし、携帯性がない)なんて面倒くさいし使いづらいことこの上ないからでしょう。
 
 著者も出版社もあまり電子書籍はやりたがりません。著者にしてみればすぐにコピーされてしまいそうだし、印税がちゃんと入ってくるのか心配。出版社も、コピーは困るし、今みたいに規格が乱立していると、いちいち違うフォーマットでデータを作らなければならず、全く割にあいません。
 
 で、その辺の仲立ちをするビジネスを印刷所がやろう、っていうことらしいです。電子データを著者や出版社から預かってプロテクトをかけ、ネットに流し、課金を徴収する。データの整形は印刷所だからお手の物、っていうことなんですね。
 
 印刷所なんだから、紙の媒体が無くなる手助けをするのはマズイんじゃないのか…と思うのは素人考えで、携帯しか使ってないような人にも本を読ませちゃおう、というのが狙いなんだとか。
 
 本音のところはどうなんでしょうか。紙の媒体が刻々と電子の媒体に乗り換えられていく現状に先手を打たなければという危機感の表れなのではと私などは思いました。本好きとしては、今もLP盤がそれなりの価値を見いだされているように、本という物体自体も残ってもらいたいものと願ってはいるのですが。

 と、いうのは実は本題ではありませんで、私の目がクギ付けになったのは、説明会場に持ち込まれた「電子の紙」でございました。すでに展示会などに出品されているのでご存じの方もあるかと思いますが、e-inkを使ったまさに紙のような表示媒体です。
 まだコンセプト機の段階なので、電源など肝心な問題がクリアされてはいませんが、デモを見る限りでは、メモ系統のものは紙とまったく同じような使い方ができ、閲覧系統の方は、これが電子端末だということを忘れさせるような出来です。
 
 この形式はまだ、「紙の本」という前のメディアを引きずっていますが、本格的に「電子書籍」的なものが普及し始めたら、思いもよらぬ形態になっていくのかもしれません。いや~こんなものより「本」の方が、と思いたいのは山々なんですけど、時代は着実に変わってきていると感じました。
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by silverspoonsjp | 2004-03-27 21:48 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(0)