本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
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うろんな客

 
 もう、邦題がいいでしょ?明治の小説じゃあるまいし、うろんですよ、うろん。
 原題は「The Doubtful Guest」。どうやってこの訳を思いつくかな?
 
 あ、内容はですね。
 小さな絵本のような体裁になっておりまして、左が韻文、右が線画による挿絵になっています。この、水鳥とペンギンとゴクリを足して3で割ったような奇妙な生物が、突然現れたうえ、傍若無人なふるまいを続けてはや17年―という、なんとも奇妙なストーリー。訳者によるあとがきでタネ明かしのようなものはありますが、どこまでいっても「うろん」なことには違いありません。

 本作はエドワード・ゴーリーによる絵本のうちでは一番一般ウケする内容&絵柄といわれており、事実、私も彼の他の作品はちょっとスパイス効きすぎてて苦手です。人物の服や暗~い感じ、口の右端だけがふふっ、と笑っちゃうような感じが、イギリスの昔の作家かと思っていましたが、作者はアメリカ人で、亡くなったのは2000年とごく最近だそうです。
         *              *              *
 日本版では原文と訳文が同じページに載せられています。原作の韻文の評価についてはわかりませんが、訳はともかくツボにはまりまくり。
    ともすれば 訳のわからぬ むかっ腹
 風呂のタオルを 一切隠蔽
  It was subject to fits of bewildering wrath.
   During which it would hide all the towels from the bath.
 気に入りし 物をひそかに 運び去り
 池に投げ入れ 保護に尽力 
  It would carry off objects of which it grew fond.
  And protect them by dropping them into the pond.


 これに、限りなく陰気(…)な挿絵が添えられており、奇妙なワビサビ感を醸し出しております。

エドワード・ゴーリー著
柴田元幸 訳
ISBN 4-309-26434-4
160×135   河出書房新社 2000年(元版 1957年)

MORE
・柴田 元幸 ほか著 『エドワード・ゴーリーの世界』
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by silverspoonsjp | 2004-03-28 22:38 | 素敵なヴィジュアルの本 | Trackback | Comments(0)