本と読書をめぐる冒険


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ヨコハマ買い出し紀行/芦奈野ひとし著


 西の岬には、気持ちのよい喫茶店「カフェ・アルファ」があります。ある日、店のオーナーは突然いなくなってしまいました。今は、緑の髪のアルファさんが一人できりもりしています。
 お店にはいろいろな人がやってきます。アルファさんは注文の品を運ぶと、自分もお客さんの向かいに座り、お話ししたりします。アルファさんはロボットですが、本人はじめ、そんなことを気にする人はいません。どこまでも広がる自然いっぱいの風景と、心優しい人々が登場する静かなストーリー。             *              *               *
 まるで『750ライダー』(の後半)を思わせる、なごみ度満点のマンガ…なのですが、物語の背景になっている土地(神奈川県?)は何かの原因によって破壊されつくした後らしいのです。文明が破壊されたあとの小さなユートピア社会という設定は、『未来少年コナン』を彷彿とさせます。
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 月刊誌連載なので、話はさっぱり前に進みませんが、それがまた良いんですね。嵐の日の描写。入り江での魚釣り。本の中から、虫の声や風のそよぐ音が聞こえてくるような錯覚さえ起こします。
 ただし、二度と地上には降りられない宇宙艇から下の世界を見守る、アルファさんそっくりの女性ロボットの存在や、ときどき姿を変えてしまう陸地など、なごやかな日常の裂け目に、不吉な影もちらちらと顔をのぞかせます。それが一層、残された平和を輝かせているのでしょうか。[アフタヌーンKC 講談社] 

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・萩尾望都『金曜の夜の集会』
 『半神』に収められた短編。マーモは元気いっぱいの小学生。平凡な両親、優しい姉さんと一緒に暮らしています。彼の夢は天文学者になることですが、さしあたっては背がもう少しのびること。巻き毛のセイラと釣り合うくらいに…。
 退屈で穏やかな日常の、悲しい結末を描く佳品です。
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by silverspoonsjp | 2004-03-29 20:09 | センス・オブ・ワンダーの本 | Trackback | Comments(0)