本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
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岩波書店の縁故採用…は昔からあったような…

皆様こんばんは。

ここのところ怒濤のごとく忙しく、当然気持ちに全然余裕もなかったので、ちょっと時間が出来たらここに書き込もう…とネタを溜めているうちに、すっかりタイミングを逸しておりました。日記とか付けていないので、ブログに書いておかないといろいろ忘れちゃって…

幸い今回は時事ネタ(?)なので、さっさと書く気になり、有り難いことです。

さて、岩波書店。

2013年度の社員採用は著者か岩波社員の紹介があること、と堂々ホームページに明記したため、ニュースになりました。

このニュースに対して批判的な意見は、雇用の機会均等に反するというもの。

逆に擁護する意見はいろいろで、私企業なんだからどんなポリシーで採用しようと自由だというもの(その結果、会社が傾いても、それは企業自身の選択だからしょうがない)、明言しないだけで縁故採用は他にもある、というようなもの。

私企業、しかも中小企業なら、そんなに大人数の採用はできないし、だからこそ、採用にあたってどんな条件を出すのも勝手だと私も思います。ただし、エントリーさせて試験も受けさせるくせに、実は隠れた採用制限をするというのはサイテーだと思います。たとえば、男性/女性のどちらかは採用の対象外、独身者/既婚者は採用しない、○○県出身お断り等々、まともな理由も説明せずにこういった採用制限を付ける会社は条件を公開して「あーそういう残念な企業なんだ…」と思われるリスクをきちんと取って頂かないと。

で、岩波書店は公開したのですから、(自覚してたかどうかはともかく)きちんとリスクは取った訳ですし、企業の規模としては立派な中小企業な訳ですが、だからといって採用に条件を付けても問題にならない企業なのかというと、それはちょっと疑問です。理由は

1.採用希望者が1000人単位で殺到する人気企業である
2.昔ほどの権威はないかもしれないが、「発信者」の側であり、私企業といえども一定の社会的な影響力がある
3.リベラルな出版物を出しているというイメージで売っている企業である

こういう企業が縁故採用しかしないと宣言したら社会的な影響力は大きいし、ただでさえ就職が大変な若人はガッカリしてしまうでしょう。天下の岩波書店が、若人をガッカリさせてどうする!?

岩波としては全然そんなつもりはなく、「記念受験」のつもりの人は来なくていいから、くらいのノリで、足切りの条件として出したと言ってるみたいですが、だったら「コネ採用」などと言われないような足切り方法にすれば良かったのに…例えば、岩波新書を100冊読んで全部の宣伝文を各○字で作って来い、とか、本気で入社するつもりがあるかどうか測る方法は他にもあるでしょうに…。

何だか、商品を見る目がないからブランドモノしか買わないとか、美術品の価値が分からないから鑑定書に頼るとか、そんなレベルで人を採用するんだろうかとすら思ってしまいます。

ただ、今回は条件をハッキリ提示していましたが、「噂」のレベルではあれ昔から岩波は、著者の紹介状がない新卒は入れない、とは言われていました。明らかに紹介制だった時期もあったみたいですね。

穿った見方をすれば、岩波書店はかなり専門書が多い、ハイレベルな出版社なので、もし編集部配属にでもなったら、かなり高度な知識が求められることになるでしょう。なので、岩波から本を出してるレベルの著者の弟子でなければ、勤まらない、とでも考えているのでしょう(違ったらゴメン)。あるいは、自分たちと同じ「知識人」のお仲間しか入れたくない。そうとしか解釈できないんですが、この条件…。

さらにイヤだなぁと思うのは、本当に我が社に入りたければ接点を探すか、これから作ればいいという説明。だって、友人・知人・卒業生に社員がいるか、自校に著者がいるか、近所に社員がいるという環境を求めること自体、岩波の場合は選民的だし、それに気が付いてない鈍感さがイヤ…。たとえば私、東電に入社したかったとして同じ条件を出されても、身近で誰ひとり思いつきませんもん。

著者にアタックする、という手もあるとのことですが、自分のゼミ生でもない人においそれと紹介状を書く教授はいないだろうし、だったら個人的に著者に気に入られて紹介状を書いてもらうよう努力しろ、というなら、それは一次試験を著者に丸投げするのに等しい気がするんですが…

そして、なんで私がネチネチと書いているかといえば、それは小さいときから、そして今も愛読している本を出版している会社にこんなことして欲しくないと思っているからです。そりゃ、終戦直後とかの混乱期だったら縁故採用も仕方ないかもしれませんけど、今は平成ですからね。
「出版はハッキリ言って斜陽産業だけど、御社の本をずっと読んできて、自分は本を作りたいんです!」そう思ってる若人(いれば)を門前払いしないであげてくださいな。

それに、同じような人ばっかりで組織を固めていると、早晩、会社が危なくなるかも知れませんよ?岩波のない日本の出版業界、それはもっとイヤなことなので…。
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by silverspoonsjp | 2012-02-05 23:16 | 本にまつわるエトセトラ