本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
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ニコライ堂の復活大祭(パスパ)

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昨晩から今朝にかけて、御茶ノ水にある東京復活大聖堂教会の復活大祭に参列しました。合唱の集まりにニコライ堂の聖歌隊の方が参加されていた関係で、お招きを受けたものです。

御茶ノ水駅の聖橋口を降りると、下り坂の右手に見える美しい教会、通りかかれば必ず目に留まると思いますが、他のキリスト教系の教会と同様、奉神礼は信者でなくても参加することができます。と言われても、信者さんの邪魔になったらどうしようとか考えてしまうと、なかなか入りづらいですよね。

今回は、知り合いがいるという心強さと、大勢の人が集まる催しということで、失態も目立たなかろうという(?)気安さからちょっとお邪魔してみました。
(ニコライ堂でのお祈りの予定などはこちらのHPにとてもわかりやすく紹介されています)

敷地内に入ると、奥で大祭用のお菓子を売っています。大祭明け用か、かごに詰め合わせて準備している人も。聖人の絵がきらびやかに描かれた卵型の装飾品や、十字クッキー、クリーチという砂糖がけの華やかな菓子パンを売っています。買ったらモロゾフのビニール袋に入れてくれました。そういえば、モロゾフはロシアの人が創業したメーカーでしたね。後半は後味悪いことになったみたいだけど…。
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聖堂の中に入ると、まずは会堂に椅子がないのにびっくりです。だって、お祈りは夜の11時半から始まって、明け方4時までやるんですよ!ま、確かにこの時間に座っていたら、いかに信心深くても爆睡してしまう可能性大ですが、聖職者の方々からお年寄り、小さなお子さんまでちゃんと立って務めます。(立つことにはもちろん宗教上の意味があるのですが、私たちは根性がないので、ときどき隅っこに用意された数脚の椅子を占領してしまいました)

11時ちょっと前に着いたのですが、どんどん人が集まってきて、大きなドームの中が人で埋まります。さまざまな年齢層の日本人参列者に交じって、ロシア人らしき人の姿もちらほら…。信者さんはロウソクを買い、堂内のイコンの前にお祈りとともに供えてゆきます。天井にはロウソクを模したシャンデリアが輝き、燭台にはロウソクの炎が揺らめいて、とても厳かな雰囲気です。

定刻になると、徹夜祷が始まりました。とりあえず、始まった時点ではお祈りの言葉は日本語、聖歌隊の歌も日本語でした。先のHPによると、ニコライ堂=ロシア正教と思ってたのは誤解らしく、伝えたのはロシア人ですが、正教の教会組織は各国独立で、カトリックのようにどこかに総本山があるという訳ではないようです。

ただ、教義自体はいずれも同様で、復活大祭も同様に祝われるようです。こちらは、ロシアでの様子。

お祈りのことばも聖歌も文語で、大変趣きがあります。多くの箇所では、司祭のことばのあとに、聖歌隊がコーラスで
「主、哀れめや」などと呼応する形になっています。

歌は本来なら聖歌隊のみが歌うのでしょうが(一般信徒でも口ずさんでいる方はいましたが)、私たちはお呼ばれしたときに、「歌、簡単ですから。すぐ歌えますよ」と言われたのをいいことに、聖歌隊の最後列で参加させてもらっちゃいました。(立って参列してたら徹夜はとても無理そうだったのですが、歌っていれば何時間立ってようが平気、という理由もありまして…。)

歌はグレゴリオ聖歌に似ており、確かに初見で歌えるメロディですが、もちろんお祈りとして歌われているのであって、譜面通り歌っていれば良いというものではありません。聖歌隊の方々は若くてももう十年以上歌ってこられた方ばかり。お邪魔をしないようにとても緊張しました。基本的には祈祷文をずっと同じ高さで歌っていき、曲の最後に上げ下げやバリエーションがあるものが多いですが、声部同士の掛け合いになっている、少し複雑な歌もあります。

楽譜は歌う順につづられているのですが、繰り返しになるときや、応答のことばなどは指揮者がきっかけを出します。正教では楽器がなく、歌はすべてアカペラです。歌う前に、指揮者が音叉で最初の和音を上からハミングし、各パートが音を素早く拾って歌いだします。バス・バリトンには指導者クラスの声楽家のお顔も見え、重厚な響きを作り出していました。

夜中の12時になると、みなコートを着て、一斉に歩きだします。これから、会堂の周りを一周する「十字行」が始まるのです。私たちの後ろから聖職者の方々がついてきたので驚いていると、「聖歌隊は先頭で進んでください」と促され、あっ違います!と思ったら、聖歌隊の人から楽譜をハイと渡されてその位置で歌いながら歩きはじめちゃいました(良かったんだろうか…重大なマナー違反だったら申し訳ありません)

歌は重厚な合唱になっており、以下の讃詞を繰り返します。

ハリストス死より復活し、死を以て死を滅ぼし、墓に在る者に生命を賜へり

とても覚えやすいメロディですが、聖歌隊しか歌っていませんでした。

会堂の正面玄関のドアが開け放たれ、ロシアの教会で聞くような、独特のメロディーで鐘が鳴り響きます。列は結構長く続き、JR御茶ノ水駅前を通って、駅ビルの脇をすぎ、教会へ戻ります。途中、警官が警備に出ていましたが、連休の谷間で人もほとんどいませんでした。たまたま通りかかった人はビックリしてましたが、そりゃーそうでしょう。私も長いこと御茶ノ水近辺に出入りしていたのに、夜中にこんな行事が行われていたとは全く存じませんでした。

風が強い夜で、手にもったロウソクの火がすぐに消えてしまうのですが、お互いに着け直しあい、とても和やかな雰囲気でした。列の中にはお相撲さんの姿も見えました。正教の国から来た方々なんでしょうか。

教会の扉の前まで来ると、主教様とおぼしき方が祈りのことばをとなえて、(教会スラブ語も混ざっていたような気も)聖歌隊がそれに応え、先ほどの歌をうたう、というやりとりが繰り返されたあと、列は教会に戻りました。

この時点で電車組は帰宅したらしく、残った人たちは徹夜組です。儀礼も本格的な様子を呈してきます。途中、ドームの真下で日本語、英語で祈祷文が読まれるところなど、思わず聞き惚れてしまいましたが、とにかく4時間半は長く、ついに途中から腰かけてしまいました。信者の方々は、よほどのお年寄りを除けば、ちゃんと姿勢を正して務められています。4時を回り、パンと葡萄酒を分かち合う領聖が始まったところで、私たちは失礼しました。もう夜が明け始めていて、さわやかな5月の風が心地よかったですが…帰宅して爆睡しました。聖歌隊は最初から領聖の間中もずっと歌い続けていて、全然休みなしです。いやー凄いです。

いま、ラフマニノフの合唱曲「晩祷」を練習しているのですが、単なる美しい曲ということだけではなく、こういう祈りの場にふさわしいように、心して歌いたいと思います。
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by silverspoonsjp | 2013-05-05 16:02 | プチ日記 | Trackback | Comments(0)