本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
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本を朗読する

皆様こんにちは。今ごろになって梅雨が戻ってきたようなお天気でございますね。

さて、「声に出して本を読む」「朗読を聞く」というのは、お子さんがいらっしゃるご家庭ならともかく、普通はあまり機会がないですよね。

「指輪物語」愛読者の皆さんで朗読会をやっていらしてお邪魔したこともあるんですけど、どなたもとてもお上手(*^^*)。あんな風に読めたらなあと思っておりましたところ、NHKで講習会があるというので覗いてまいりました。

会は世田谷の砧にあるNHK研修センターで行われました。講師の先生を囲んで1日がかりです。発音訓練とか腹筋とか、やるのかなあと思っていたら、全然違いました。

現代文の朗読の基本というのは、いかに普通に話すように発音するかに尽きます。言うと簡単ですが、やってみるとこれは至難の業です。

第一、書き言葉と話し言葉は違うので、文字で書いてあるものは大抵の人が「読んで」しまいます。自分では気が付きませんが、「読んで」いると、全体に「赤城の山は今宵かぎり…」みたいな「節」がついているんです。

また、学校演劇などをやったことのある人は台本を読むときのようなヘンな癖がついているので、本を読むと非常に不自然に聞こえます。

これをどうやって直すのでしょうか?

まず、日本語のアクセントについて説明があります。「橋」「箸」「端」のアクセントの違い、わかりますか?最初の「橋」と最後の「端」は単語だけ発音するときは同じですが、助詞の「を」を後ろにつけるとアクセントが変わります。

次に「プロミネンス」についての説明です。この言葉、私は初めて聞きました。文章の中である単語をくっきりさせたいときの「強調」という意味で、例えば

これは 赤い 花

という時、強調したい単語を少し高音で発音する、というやり方です。
早速皆練習しましたが、「これ」を強調するのが一番難しかったです。「これ」を強調するつもりで、「は」を強調しちゃうんですよね…。

そしてイントネーション。 
朗読の場合、聞いている人は耳だけが頼りです。意味のつながりはイントネーションによって左右されるので、これを間違えたら大変です。

「本はおいて、いこう」
「本は、おいていこう」

のイントネーションの違い、わかりますか?受講生たちはもちろん違いがわかっていましたが、実際発音してみるとどちらも同じに聞こえちゃう(…)

標準語をしゃべる人でも、長い文章を読んでいると、後ろに行くにしたがってイントネーションがどんどん下がっていってしまいます。

「緊急の措置をとる必要があると言っています」

というように、最後の「言っています」に前の要素がどんどんかかっていく文章では、途中を切ってしまうと意味が変わってしまいます。切らずにどう読むか。難しいー!

ニュース原稿みたいな文章ならまだしも、文芸作品、ことに日本の作家の書く文章は、後ろにベタベタと要素がかかってゆく「緊急の措置」系が非常に多いようで、意味のつながりをまとめて朗読するのにはかなりの困難が伴います。

それから、他の受講生の練習を聞いていると、20代以下の人たちは全員、自分でも気づかないうちに語尾を伸ばしていました。すごく極端にいうと

「これはぁ 赤いぃ 花」

という感じです。演劇をやってる人にもこの傾向がありますが、なぜこれが耳障りなのかというと、この後ろを伸ばすというしゃべり方は、「我を通す」「念を押す」ときのものだからです。(だから、自分の言ってることを強調しようとして助詞にアクセントを置くのは逆効果だということです)
しかも、語尾のばしをやると、それに続く語の出だしがどんどん下がっていってしまい、聞きづらくなります。気を付けないと…

1日がかりだったけど、こりゃ奥が深いな、と思って終わってしまった研修でございました…。
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by silverspoonsjp | 2006-07-17 10:52 | 本にまつわるエトセトラ