本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
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オススメSF その4 この風呂敷も大きいなぁ-「カエアンの聖衣」

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SFは忘れたころにやってくる。
今回のオススメは「カエアンの聖衣」でございます。
どうも品切れのようなので図書館で探すしかなさそうなのが玉にキズですが、めくるめくSF小ネタアイデア満載なこの作品、ぜひ復刊して頂きたいものです。絵になる内容なので映画化しても面白そうなんだけど、ヘタするとまるでまとまりのない話になりそうな予感もする…。

原題は「The Garment of Caean」なので別に「聖」とも宗教とも関係なく、スーツの話なんですが、確かにお話の中では「聖」と言いたくなるような、特別な衣服なのです。良く、「服に着られる」といいますが、比喩じゃなく、カエアン製の服を着ると本当に操られてしまうのであります。

カエアンの文化を怖れる惑星ジアードの研究者は、服の秘密を探りだそうと調査をするのですが、一方で民間人はその魅力に抗しきれず、危険を冒してまでカエアンの難破船から衣服をくすねて売りさばこうとします。

この2つの話が、合間に、宇宙空間で敵対するUSSR人と日本人のなれの果て(ヤクーザ・ボンズって何??)の「文化はお互いに排斥する」エピソードとか、「服は人なり」というセルフ・イメージのエピソードなんかを挟みながら交差してゆきます。

そしてついに彼らはカエアンの地へ…というところまでなら、「衣服と人間の関係を描いたフィクション」ってことで終わってしまうのですが、この話はそこから先がすごい!「よくもここまで大風呂敷を広げたものだ! さすがSF!」と唸らせる展開が待っていて、タイトルから予想する内容なんか吹っ飛んでしまうのです。

惑星どころか宇宙全体を股にかけた大仰大げさなSFジャンルを「ワイドスクリーン・バロック」というそうですが、この作品は代表格。カエアンの超級スーツを着て、宇宙の果てまで行っちゃいましょう。

バリントン・J・ベイリー
早川書房
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長編
ハードSF度   ★☆☆☆☆(「竜の卵」を★5とカウント)
ファンタジー度  ★☆☆☆☆  
個人的好み   ★★★★☆

〈お好きかも〉
音楽ならプログレ!な方
杜甫より李白が好きな方
どうせやるならデカいことやりな派の方
ファッション・ヴィクテムを自認する方

その他のSFのオススメは↓タグからどうぞ。
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Commented by ラッコ庵 at 2006-09-05 13:26 x
(「竜の卵」を★5とカウント)
が気になって、「竜の卵」を読んでみました。
どんなにハードなのかとドキドキして読み始めたら、意外と楽に読めました。中性子星の生物の進化の歴史が面白かったです。
今度の作品も読んでみます。
Commented by silverspoonsjp at 2006-09-07 23:21
☆ラッコ庵さん、こんばんは。

「竜の卵」読了おめでとうございます。スゴイ!私はかなり飛ばし飛ばし読んでしまいました(それがいけなかったか…)。とはいえ、SFならハードSFが「らしく」て好きなんです。

他にハードSFと言われているものでも「知性化戦争」「リング・ワールド」「順列都市」などは、ハード設定はあくまで話の背景なので、★は4つどまりでしょうか…。深い、深いぞハードSF。

話は変わりますが、ブログで御紹介なさっていた「やわらか戦車」、案の定歌が脳内で止まらなくなっております。いつも素敵な記事を、ありがとうございます。
by silverspoonsjp | 2006-09-01 22:02 | センス・オブ・ワンダーの本 | Trackback | Comments(2)