本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
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文体練習/レイモン・クノー

a0003079_225137.jpg本屋でぼけっと棚を眺めていたら「目があってしまった」本。
クリーム色にマット加工の表紙、細長い判型、赤と黒の本文2色刷…と洒落た造本にひかれ、中味を良く見もしないで買ったところ、読んでみてびっくり。

99章もあるくせに、中味は全部同じ話なのです。バスで乗り合わせた青年に、別の場所で出くわした、というだけ。これを手を変え品を変え、あらゆる文体を駆使してアレンジするという趣向なのです。

そんな本が面白いのか?といわれれば、それは人それぞれでしょうが、「きらきら星」だってモーツァルトにかかれば色とりどりの変奏曲になるように、技ありの書き手にかかれば、全て同じ材料だって読ませる本になるのでした。

原文のフランス語がわからないのはかえすがえすも残念ですが、日本語訳だけ読んでも十分楽しめます。ことに、訳者あとがきには、原文をどういう意図でこの日本語に訳したか、という種あかしが書いてあり、そこだけでも繰り返し読めるほどです。

「イギリス人のために」という文体の解説に載ってる、free care(古池や)の例なんか面白いですね…。

音楽や絵で、「同じ主題をスタイルを変えて創る」というのは理解しやすいですが、文章で同様のことができるとは驚きでした。

朝比奈弘治訳
朝日出版社 3398円
1996年 196ページ
ISBN4-255-96029-1
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by silverspoonsjp | 2004-07-12 22:52 | センス・オブ・ワンダーの本