本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
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第九の季節 第2楽章

何事も最初が肝心と申しますが、「第九」の場合もまた然り。

合唱団の第一声はこの言葉。

「グロンド!」
もとい
「フロイデ!」

・・・ってナニ?

ベートーベンの「第九」を日本人の初心者が歌う場合、いろいろと難しい面がありますが(そもそも、初心者が歌うにはかなりハードル高い歌だとは思いますが)、なんと言っても困るのは、歌詞が覚えられないことでしょう。

ドイツ語を習ってた人なら別かも知れませんが、Freudeって書いてあって「フロイデ」って読めったって、読めないっちゅうの。仕方ないから「風呂出で 詩へ寝る 月輝る…」と覚えた…って話が、日本で一番広く使われてるカワイ出版の楽譜にまで書いてあるほどです。

最悪、発音はカタカナ・ドイツ語でごまかすにしても、歌詞のココロというか、実感というか、そういうのをつかむのが、さらに難しいです。指揮者には、「意味もわからずに歌おうとする者は、泣きながらここから出てけ!」と厳しい言葉を浴びせられますが、(はは、歌詞にこういう箇所があるんですよ…)わかんないものはわかんないですよね。

合唱部分が「歓喜の歌」と訳されているように、フロイデは「悦び」って意味だそうなんですけど、悦びねぇ…

どうも良くわかんないなーと思いつつ、先日「マルタのやさしい刺繍」という映画を見ました。
とても保守的なスイスの小さな村で、昔あきらめた夢をもう一度、とランジェリーのお店を開くおばあさんの話です。

字幕版の音声はドイツ語でしたが、いい年してそんな下着なんか作って何のためだ、と罵倒されて、マルタおばあさんは一言、答えます。

「フロイデ!」
それに唱和して、別のおばあさんもにっこりして言います。
「フロイデ!」
おおっ、なーるほどー、こういうとき使うのか!!と深くナットク。

最初の「フロイデ」にこの実感がこもってるかどうかで、全体の出来が全然違うんです。
指揮者は合唱の男性パートに、「バリトンが、全世界を背負って歌い始めたときに、「フロイデ」を伝えようと、うずうずしててください。少し早く出ちゃっても構いません」と指示しますが、そういうことなんですね~。

で、合いの手に気を良くした(?)バリトンが朗々と、メインテーマを歌い上げます。「風呂出で 詩へ寝る 月照る ◎犬…」(指揮棒で殴るのはやめてください!)

合唱団が歌詞を丸暗記しようとするのに業を煮やしたのか、指揮棒で殴る代わりに振り付けをつける指揮者の先生もいらっしゃいましたっけ。「さ、皆もやりなさい」と言われて、100人が同じ振り付けで練習する(しかも前の壁は鏡だし)珍妙さよ。動画でお見せできないのが誠に残念であります。

カワイ楽譜の全訳によりますと、最初の一節の意味はこんな感じ。

歓喜よ。美しい神々の火花よ。天上の楽園の乙女よ!
われら情熱に溢れ、崇高な、あなたの聖所に足を踏み入れる。
あなたの奇しき力は、時の流れが厳しき切り離したものを、再び結びあわせ、
あなたの柔らかい翼の留まるところ、すべての人々は兄弟となる。


この歌詞の意味を思い浮かべながら歌いなさい!と言われるんですけど、
高尚すぎて、思い出すのが困難。

な顔をしている私たちの心の中を見透かしたように、先生の解説が…

おお 歓喜よ。神様たちの花火大会よ。天から薄物一枚着たきれいなネエちゃんが降りてくる…かぁーっと火がつくような酒をあおって気分はパラダイス…〈あとは振り付け〉


グロンド!で嬉しそうなオークを思い浮かべた後は、飲めや歌えの花火大会…
いいんだろうか、これで?!いいのか、忘年会シーズンだし!と思いながら続く…

すみません、品が悪くて…
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by silverspoonsjp | 2008-12-10 23:44 | プチ日記