本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
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第九の季節 第8楽章

すみません、昨日のは間奏曲で終わっちゃいまして。

魔の12小節再現部が終わると、バイオリン、ビオラ、フルートが、まるで天から羽根が舞い降りてきたかと思わせるような軽やかな序奏を4小節奏でて、あ、あの人たち譜めくり係の人じゃなかったんだっけね、とすっかりその存在を観客から忘れ去られていたソリストたちの出番がようやく到来!(ま、すぐ合唱に割り込まれてしまうので、三日天下ならぬ二十三小節天下ですが)

ソリスト男声2人が「歓喜よ、楽園の乙女よ!」と歌うと、女声2人が「歓喜よ、楽園の乙女よ!」と応えます。

ここを称して、指揮の先生は「皆さんの敬虔な祈りによって、天の使いが舞い降りてきたんですよ…」と柄にもなく(失礼)ロマンチックな解説をしてくださるのですが、よく考えてみたら、あんな調子っぱずれの歌で降りてくるなんて、きっとうるさいっ!って文句言いに来たんじゃないんですか?

いや、待て。

ここでは歌われないけど、確か歌詞の続きは、火みたいにかーっと強い酒を飲むんだか、火がついたように飲みまくるんだか、するんでしたよね?

じゃ、わざわざ天上からお酌しに降りてきてくれたのかもよ?
っていうか、13小節も上のラを歌わされたのは、酒盛りのコンパニオンを呼び出すため?(怒)
(ああーすみませんすみませんパーティージョークです!!!)

でも指揮者の先生も、歌ってる合唱団員の顔を見てこんなことおっしゃってましたもんね。

「第九の男声の応援って言って駆り出された学生なんかさ、まじめーでくらーい顔して歌ってるけど、ホントだったらこのへん、鼻血出ながら歌わなきゃおかしいんだかんね?天からそんな、薄物一丁のキレイなネエちゃんが降りて来ちゃったりするんだから(以下自粛)」

どんな召還魔法か!と思いながらソロを23小節聞いた後、ほんとにコソコソと合唱も唱和します。

Deine Zauber Deine Zauber (ダイネ ツァウバー ダイネ ツァウバー)
binden wieder,binden wieder,(ビンデン ヴィーダー ビンデン ヴィーダー)
was de Mode streng teilt!(ヴァス デ モーデ ストレンゲ タイルト)

不思議な力が 不思議な力が
私たちを再び結びあわせる 結びあわせる
時が容赦なく 切り離したものたちを

後ろに行くにつれ、一気にクレシェンド!
そして一拍ためてフォルテシモ!!

Alle Menschen,alle Menschen,(アッレ メンシェン アッレ メンシェン
alle Menschen werden Bruder,(アッレ メンシェン ヴェルデン ブリューダー
wo dein Sanfter Flugel weilt... ヴォー ダイン ザンフター フリューゲル ヴァイルト) 

全ての人びとよ 全ての人びとよ
全ての人びとが あなたの柔らかい羽根の留まるところで兄弟となるのだ

そうそう、「全ての人びと」な感じを出したいために、ベートーベンは一挙に、合唱と独唱と全員が歌うように設計したのでしょう。
ここのSanfter(ザンフター)の部分の1小節、ミー〈ファミレ〉ミファソドのところは装飾音も付いて、ソプラノ合唱の聞かせどころ。

指揮者は指揮棒をΩ(オーム)型に振ったりして、「なるべく艶っぽくね」とか言うので、何をどうしろって言うんだと、かなり困る箇所であります。挙げ句、付点二分音符+四分音符、という味もそっけもない男声パート(しかもテノールはシーーシ、バスはソーーソと同じ音)、までΩに歌ってるつもりでね、とか無理難題を出されたりします。

そして、もう一回、「ダイネ ツァウバー」のフレーズと「アッレ メンシェン」のフレーズが繰り返しになるのですが、合唱がアッレ メンシェンを2回歌った後にソリストがアッレ メンシェンを1回歌い、最後にアッレ メンシェン…と両方が重なる、という流れなのに、ときどき勢い余った合唱団がソリストと一緒に歌う、という衝突事故(酒酔い運転?)も発生する思わぬ難所となっております。(指揮者は、もしうっかり歌っちゃったら知らん顔して堂々と歌っとけ。どうせ誰も気にしない、といい加減なことを言っておりますが、だいたい観客は寝言でフロイデが出るほど第九を聞き飽きてるから、絶対バレてるに違いない)

そしてこの後、私が第九全曲中で一番美しいと思う箇所が…。

ヴォー ダイン ザンフター フリューゲル ヴァイルトと歌いながら、ソプラノ、アルト・テノール、バスのソリストが、順に、「ザンフター」を長く装飾的に伸ばしていきます。滑らかな上昇っぷりはさすがソリスト。そして、次のフリューゲルでソプラノはシまで上がり、ヴァイルトはソプラノ・ファ、アルトとテノールがレ(ナチュラル)、バスがシの和音で2つ伸ばし、3つめでバスだけラ(ナチュラル)に動かします。

たった1音の違いですが、ここが本当に綺麗…。

とうっとりするヒマもなく(ソロはここでも10小節しかない…そしてここで出番終了。お疲れ様でした)、曲は〆のモードに突入です!宴会を終わらすにはこれがなければ!というニッポンとベートーベン共通のお約束とは何か?それはまた次回!
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by silverspoonsjp | 2008-12-19 00:37 | プチ日記 | Trackback | Comments(0)