本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

執事ジーヴス

羊カフェに行ったからという訳でもないでしょうが、
最近、いまさらながらジーヴスものにはまっております。
勢い余って、ドラマのボックスセットまでイギリスから取り寄せてしまいました。

物語の舞台はロンドン。時代はいつだか良くわからないのですが、
シャーロック・ホームズだったらこう推理するに違いない…てな会話が出てくるのと、バルカン半島で小競り合いが…みたいなセリフが出てくるので、ホームズよりは後で第二次大戦よりは前でしょう(何を考察してるんだか)。

ロンドンのフラットで悠々自適に暮らす、自他共に認めるボンクラなお坊ちゃま、
バーティー・ウースター(なんかこの設定、リアル世界で聞いたことあるような)。
賭け事、スピーチ、服のセンスもまったくダメダメなくせに、人から頼まれると嫌とは言えない性格で、
その人柄の良さと家柄の良さが災いし、
自分とは関係のない数々の揉め事に、常に巻き込まれているのであります。
しかし、ああ、神は見捨て給わず、そんな彼をいつも鮮やかな計略で助けるのが、燕尾服を着たどらえもん 諸葛孔明のようなバレット(和訳は「執事」となってます)、
ジーヴスなのであります。

しかし、このジーヴス、ご主人の問題を解決しつつもさりげなく自分に有利に事を運んだりして、切れ者なだけに性格もなかなかクールで、
一筋縄ではいかない人物なのを、バーティーの間抜けっぷりが上手く中和していて、そこがシリーズの一つの魅力になっています。

いちおうユーモア小説ということになってるらしいんですけど、エピソードが笑えるというよりは、表現とか、間がおかしいんですよ。

私は最初、英語(少しやさしく書き直したバージョン)を読んだのですが、
主従の会話がそれっっぽくて本当におかしいです。
たとえば、フランスにバカンスへ行ったバーティーが帰宅して、
(ジーヴスはアスコット競馬が気になるといって同行しなかった)、
久しぶりにジーヴスに会う場面。

バーティー:Well,Jeeves,here we are,what?
ジーヴス :Yes,sir.
バ:I mean to say,home again.
ジ:Precisely,sir.
バ:Seems ages since I went away.
ジ:Yes,sir.
バ:Have a good time at Ascot?
ジ:Most agreeable,sir.
バ:Win anything?
ジ:Quite a satisfactory sum,thank you,sir.


こういう会話を面白げに翻訳するのは至難の業でしょうね。

国書刊行会から何冊か訳本が出ています。
日本語版は、こなれてない部分があったりもするのですが、
なかなか頑張って訳してると思います。たとえば、バーティーの服のセンスに関する、こんな箇所…

僕は自分の部屋に直行し、カマーバンドを引っ張り出して腹に巻きつけてみた。
僕が向き直るとジーヴスが驚いた野生馬みたいにあとずさりした。
「失礼ですが、ご主人様」彼は声を抑えて言った。
「まさかそれをご着用で人前に出られるおつもりではいらっしゃいませんでしょうな」
「このカマーバンドか?」僕は軽く受け流すと気楽な、屈託のない調子で言った。「そのつもりだが」
「それはお勧めできかねます、ご主人様。本当にいけません」
「どうしてだ?」
「ご印象がにぎやかきわまりすぎでございます」


にぎやかきわまりすぎ(爆)
いいでしょ、これ。

60冊くらい出てるらしいので、全部読むのは大変そうなんですけど、
とっかかりとしては短編の方が飽きなくていいと思います。
上のリトールド版は強く強く推薦しておきます。
ジーヴスもの以外にエムズワース卿のシリーズが含まれており、
どっちかというと私はそちらのシリーズの方が好きだったりします。
ロンドンが大嫌いで田舎の居城を愛する卿の静かな生活をぶち壊す、やかましい村人や妹のコンスタンツェ、頑固なスコットランド人庭師などなどが活躍する、いかにもイギリスなお話です(未読ですが、文藝春秋から「P・G・ウッドハウス選集」として、訳本が出ている模様)。
[PR]
トラックバックURL : http://palantir.exblog.jp/tb/7882897
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by elfarran_in at 2009-02-02 00:42
賑やか極まり杉。好きデス、そんな感じ。
こんばんわ、銀の匙さん。ラマダンの耳に
熱い囁きありがとう。
ええ、でも今回は意志は強固に!!
たといどれほどソファの上で身悶えようとも
デコ姫スクラップの輝きに目を打たれようとも
このシリーズにだけは、今はマダ・・・
手も舌も出すまい・・・・なのでございますですよ
お嬢様。
Commented by GANDALF at 2009-02-02 20:30 x
いいですね~。にぎやかさきわまりすぎっ。(笑)私も今度、某人に会った時に言ってみようっと。あっ・・・。↑ にいらっしゃいましたか。
Commented by foggykaoru at 2009-02-02 23:15
いいな、いいな、燕尾服を着たどらえもん。
やさしく書きなおした英語版のthank you, sir は
「おかげさまで」
とか訳すのかなー
Commented by ゆきみ at 2009-02-03 01:07 x
うふふっ、ジーヴスいいですよね。まだ一冊しか読んでいないのですが、旦那様がダメダメで、ジーヴスがか~な~り押し気味なのが笑えます。
執事はセリフがびしっといい具合の敬語でないと白けますから、翻訳は大事ですわね。
ところで、友人はピーター卿んチの執事さんがお勧めだというのですが。「黒後家蜘蛛」の執事も好きです。
しまったっっ。こんなに嬉々として書くと、まるで変な人みたいじゃありませんか、私が。
Commented by silverspoonsjp at 2009-02-03 23:51
☆elfarranさん
手が出ないのはおいとくとして、舌が出ないのはなぜなんでしょう。
まだ、ってことはそのうち出すってことですか?
ジーヴスなんかよりウチの本郷の方が上よ、という挑戦ですか?というのは、挑発してラマダンから引っ張り出そうという作戦であります。
こんな作戦、ジーヴスに知れたら鼻であしらわれちゃいそう。
ふっ。キジも鳴かずば撃たれまいに.(←意味不明)
Commented by silverspoonsjp at 2009-02-03 23:54
☆GANDALFさん。
賢者様よりの告発、↑ しかと受けたまわりました。にぎやかきわまりすぎとは、この際、「お召し物が」ということでございましょうか…。あ、いえ、聞くだけ野暮というものでしたね。失礼仕りました。本郷めはラマダン中のお嬢様が心配です。2つの目でしかと見守ってやってくださいまし。
Commented by silverspoonsjp at 2009-02-04 00:14
☆foggykaoruさん
こなれた訳なら「おかげさまで」でしょうね。
わざと敬語風にするとどうなるんでしょう。
改めて考えると難しいですね。
「おかげさまを持ちまして」?(イベントは無事終了致しました…とか続いちゃいそう)
笑いを取るには、まんま訳して
「ありがとうございます、ご主人様」
が正解だったりして…??
Commented by silverspoonsjp at 2009-02-04 00:14
☆ゆきみさん
喫茶店以外で日本人執事を見たことある人っていないでしょうから、本当の執事はどんな風にしゃべるものか、皆目検討つかないですわよねえ…。番頭さんとは違うんだろうし…。
ちなみに、ピーター卿はセイヤーズでしょうか?読んだことはないんですが、トールキン教授が作品を読んで鼻で笑ったっていう、しょうもないエピソードは聞いたことがあります。執事が気に入らなかったのでしょうか。

>まるで変な人みたいじゃありませんか、私が。
えっ………?
酔っぱらいは必ず「俺は酔ってない」というそうですが…。
Commented by ラッコ庵 at 2009-02-04 19:58 x
私は「あくまで執事」のセバスチャンが好き(はぁと ^^ゞ)
「黒執事」には日本人家令のタナカさん、というのも出てきますが、執事と家令の違いがよくわかりません。

日本人執事・・・
執事かどうかよくわからないのですが、チャップリンの付き人が日本人でしたね。
Commented by ゆきみ at 2009-02-08 21:19 x
ここにもう一度ぶら下がるあたりが「俺は酔っていない」@自己申告なのでしょうか。
わたし、友人から「番頭はん」って呼ばれていたことがあります。今度から「バトラー」って呼んでもらおうかな。
Commented by silverspoonsjp at 2009-02-10 02:18
☆ラッコ庵さん
おお、日本語には「家令」という言葉がありましたか。
日本語と英語の守備範囲が微妙にずれているようで、英→和と和→英で単語を引くと混乱するのですが、訳語を使い分けてるケースでは、
butler を執事と訳し、stewardを家令と訳すようです。この場合、家令は使用人頭なので断然執事より偉いようですね(一番偉いstewardの場合、生意気な子どもが「ゴンドールに王はいない。ゴンドールに王は必要ない」、と大それた事を言ったりする)

本によっては、どっちも執事と訳してるようです。ちなみにジーヴスさんは原文ではvaletなので、執事は執事でも側用人(?)というニュアンスでしょうか。芸能界で言ったら、なるほど、付き人さんですね。
Commented by silverspoonsjp at 2009-02-10 02:24
☆ゆきみさん
こいはん、いつから番頭はんにならはりました…?(→関西弁の間違いはお許しを♪)

ジーヴスのテレビシリーズ(グラナダTV)のDVDを買って見てみたのですが、鑑賞中、本郷(だからダレ?)の心を離れなかったのは、きっとお嬢様…もとい、番頭はんのお心に叶うだろうなーということでございました。ジーヴスがちゃちゃっと着替えを揃えるあのお手並みとか、さりげなく浴室におかれた黄色いアヒルとか…ああ、お見せしたいっ!
Commented by elfarran_in at 2009-02-11 23:06
お間違いはお許しを・・・て書いてはるので
あえて指摘しないでおきましょう。
うふふふふふ←イヂワル?
Commented by silverspoonsjp at 2009-03-04 00:07
☆elfarranさん
イヂワルというより、い☆け☆ず(はぁと)

先般、かわいいと思う方言ということで一位がまた
京都弁だったそうですが、本当に京都弁を聞いたことのある人が他の地方でどれほどいるんだか(^^;)

そして、そのような風評について、関西の人には異論もあることでしょう(爆
by silverspoonsjp | 2009-02-01 00:18 | 英語の本 | Trackback | Comments(14)