本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
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カテゴリ:本にまつわるエトセトラ( 67 )

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装丁家+小説家+アーティスト+夫婦漫才(?)のユニット、「クラフト・エヴィング商會」の展覧会が世田谷文学館で開かれています。

京王線蘆花公園駅からだとゆっくり歩いても徒歩10分程度。入口に錦鯉なんか飼ったりしちゃってよくわからない世界なのですが、先日は坂本九の「上を向いて歩こう」をテーマに展示をするなど、「文学館とは、手書き原稿や作家の遺品が並んでいる場所」的な先入観を常に覆そうとしているアヴァンギャルドな姿勢が大変よろしい。

っていうか、展示の中身以上に、展示品を並べるセットや小道具に凝っているあたりが、さすが特撮のメッカ、砧(きぬた)を擁する区の正しいあり方というべきでしょうか。

ともあれ、今回の展示は装丁なので、いちおう装丁作品を並べているコーナーもありますが、それは何となく言い訳で、挿絵の写真の中だけでなく、きちんと存在する小物である、入口の「商品見本」の数々がちゃんとモノとして作られているのが圧巻だったりします。
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展示のメインの、ぼんやりと街頭に照らされ、暗闇に浮かび上がる想像の古書店「一角獣書店」やクラフト・エヴィング商會の架空の事務所も実物大で再現され、後者は中に入って見学できるつくりとなっています。

小品の数々には説明がついているのですが、よくも考えついたな…と唸るものばかり。たとえば、

シガレット・ムーヴィー

なるものは、火をつけて口に加えれば脳内に映画が再生されるという代物。また、自作の詩はぜひ味わってみてほしい、と詩人が取り出す食べられる詩、

エピファイト

とか、Q&AのうちのAだけが書かれた書物(A41 猿を探すことが先決だったから って、質問は何だったんだろう? 答えた人はとりあえず、柴田元幸さんかも知れない)とか。

取りあえずといえば、

とりあえずビール

赤巻紙、青巻紙、黄巻紙

などは、実物を拝める日が来るとは思わなんだ、と人をして感嘆させる逸品ぞろいでございます。

店主の言う、世の中は「絶対にない」と証明する方が難しい、という言葉が、これらの商品が詰められた箱を覗くごとに腑に落ちてきます。

チケットもとても洒落たつくりで、こんなコースターみたいなデザインが、
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展示を観終わったあとは、こんな感じに。
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展覧会のタイトルは稲垣足穂の本から取られているそうで、そんな感じの世界観がかなりしっかり出来上がっているあたり、好き嫌いはあるかも知れませんが、装丁ではちまちました(←褒めている)作品ばかりでなく、かなり大胆に白地を生かした『絶対音感』や、すっきりとした印象の国語の教科書なんかもあります。インスピレーションが刺激される、観て絶対損のない展覧会。モノとしての本がお好きな方は、ぜひお出かけください。

なお、展覧会の詳しい情報は、→
こちら

2014年3月30日まで
世田谷文学館にて開催中
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by silverspoonsjp | 2014-03-10 01:39 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(0)
ズドラストヴィーチェ!

ちゃんとロシア語も勉強している、銀の匙です。(勉強方法はこちら)

ラジオは聞いているだけなので、さっぱり出来た気がしていませんでしたが、現在の「ロシア語」ラジオ講座本放送のテーマ曲(グリンカの「忘れない、あの美しいひととき」という、とても素敵な歌曲)がインストなので、歌曲版のCDを借りたら、歌詞に意味の分かる単語がかなりあったうえ、知らない語でも発音が分かることに気づき、狂喜乱舞!

ロシア語、続けてよかった…。

さて、この放送を聞くにあたり、すでに「アンコール」と去年のテキストを6冊買った私は、かなり考えました。やっぱりテキストがないと、文字で見たとき解読できないし、買った方がいいのでは…でも、すでに2種類のラジオ講座で相当部屋の体積を喰ってるし、ワニに怒られそう…

この葛藤を解決すべくネットをさまよっていると、Fujisanで講座テキストのデジタル版の取り扱いがあるではありませんか。

読めるデバイスはiPhoneしかもってないのですが、逆にいつも持ち歩くからいいか、と思って購入してみました。

デジタル版のいいところは、場所をとらない(プリントアウトができるというのも利点かも)ということに尽きるので、以下はちょっとよくないところを。

買うのはクリックするだけだから簡単なんですが、そのあとが少々面倒。一番初めに雑誌を開くときは、Fujisanへのリンクから開かなければなりません。ログインするのが面倒だし、当初は骨董もののXPパソコンだったので、画面が開くまで待つことしばし。

一度開いてしまえば、次はそこから開けられるので楽ちんなんですが、雑誌データがダウンロードできるわけではないのが一番問題でした。

おそらくFujisan側のサーバーにデータがあるので、ネット環境必須。ネットの切れ目が縁の切れ目なわけなんです。私は主に自宅で使うので問題ないんですが、モバイル派の人は腹立ってるでしょうね、きっと。。。

ただし、iPhoneでは、アプリ経由という面倒くささはありますが、オフラインでも読むことができます。そのため、私は外ではiPhone版を使っています。画面が小さくてすごーく鬱陶しいですが…。一回お金を払えば、複数のデバイスで読めるのは実用的なサービスですね。

そして、これはデジタル雑誌の仕様の問題かと思いますが、NHKテキストはデジタル目次みたいなものがついておらず、先の方を読もうと思うと、サムネイルから飛ぶしかないんですね~。○月○日のテキストをみたい、と思ったら、サムネイルのだいたいその辺をえいやっ!とクリックして、前後へ戻るという、まさかデジタル時代に、ツメのない辞書で引きたい語を一発頭出しみたいな技を磨くことになるとは夢にも思いませんでした。

でも、発売日になると、読める雑誌のリストに、ひっそりと最新号が付け加わっているのを発見するのは、なかなか乙なものです。

NHK語学テキストのデジタル版はいくつかのデジタル書店からダウンロードできます。Fujisanを選んだのは定期購読と印刷ができ、海外にいても購読できるという、私にとっては一番付加価値の高いサービスだったからです。逆にAndroid対応のものが良かったりすれば、ほかのサービスが良いかもしれません(この編の情報については、NHKテキストのページに説明があります)

ただ、半年やってみて、こういったテキスト関係はやはり紙の方がしっくりくるなーと思うようになりました。感想の域を出ませんが、なんだか情報の定着度が違う気がして…。実証研究ができたら面白いかもしれませんね。

そういうわけで、続きのテキストは紙版を、これもFujisan経由で取り寄せています。Amazonでは雑誌を扱ってないので、つい頼ってしまいますが、そっけないけど(きっと利幅薄いんだろうな、と思ってしまいます)確実なFujisanが結構気に入ってる私です。

それでは、パカ~♪
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by silverspoonsjp | 2012-08-25 00:31 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(0)
皆様こんばんは。

ここのところ怒濤のごとく忙しく、当然気持ちに全然余裕もなかったので、ちょっと時間が出来たらここに書き込もう…とネタを溜めているうちに、すっかりタイミングを逸しておりました。日記とか付けていないので、ブログに書いておかないといろいろ忘れちゃって…

幸い今回は時事ネタ(?)なので、さっさと書く気になり、有り難いことです。

さて、岩波書店。

2013年度の社員採用は著者か岩波社員の紹介があること、と堂々ホームページに明記したため、ニュースになりました。

このニュースに対して批判的な意見は、雇用の機会均等に反するというもの。

逆に擁護する意見はいろいろで、私企業なんだからどんなポリシーで採用しようと自由だというもの(その結果、会社が傾いても、それは企業自身の選択だからしょうがない)、明言しないだけで縁故採用は他にもある、というようなもの。

私企業、しかも中小企業なら、そんなに大人数の採用はできないし、だからこそ、採用にあたってどんな条件を出すのも勝手だと私も思います。ただし、エントリーさせて試験も受けさせるくせに、実は隠れた採用制限をするというのはサイテーだと思います。たとえば、男性/女性のどちらかは採用の対象外、独身者/既婚者は採用しない、○○県出身お断り等々、まともな理由も説明せずにこういった採用制限を付ける会社は条件を公開して「あーそういう残念な企業なんだ…」と思われるリスクをきちんと取って頂かないと。

で、岩波書店は公開したのですから、(自覚してたかどうかはともかく)きちんとリスクは取った訳ですし、企業の規模としては立派な中小企業な訳ですが、だからといって採用に条件を付けても問題にならない企業なのかというと、それはちょっと疑問です。理由は

1.採用希望者が1000人単位で殺到する人気企業である
2.昔ほどの権威はないかもしれないが、「発信者」の側であり、私企業といえども一定の社会的な影響力がある
3.リベラルな出版物を出しているというイメージで売っている企業である

こういう企業が縁故採用しかしないと宣言したら社会的な影響力は大きいし、ただでさえ就職が大変な若人はガッカリしてしまうでしょう。天下の岩波書店が、若人をガッカリさせてどうする!?

岩波としては全然そんなつもりはなく、「記念受験」のつもりの人は来なくていいから、くらいのノリで、足切りの条件として出したと言ってるみたいですが、だったら「コネ採用」などと言われないような足切り方法にすれば良かったのに…例えば、岩波新書を100冊読んで全部の宣伝文を各○字で作って来い、とか、本気で入社するつもりがあるかどうか測る方法は他にもあるでしょうに…。

何だか、商品を見る目がないからブランドモノしか買わないとか、美術品の価値が分からないから鑑定書に頼るとか、そんなレベルで人を採用するんだろうかとすら思ってしまいます。

ただ、今回は条件をハッキリ提示していましたが、「噂」のレベルではあれ昔から岩波は、著者の紹介状がない新卒は入れない、とは言われていました。明らかに紹介制だった時期もあったみたいですね。

穿った見方をすれば、岩波書店はかなり専門書が多い、ハイレベルな出版社なので、もし編集部配属にでもなったら、かなり高度な知識が求められることになるでしょう。なので、岩波から本を出してるレベルの著者の弟子でなければ、勤まらない、とでも考えているのでしょう(違ったらゴメン)。あるいは、自分たちと同じ「知識人」のお仲間しか入れたくない。そうとしか解釈できないんですが、この条件…。

さらにイヤだなぁと思うのは、本当に我が社に入りたければ接点を探すか、これから作ればいいという説明。だって、友人・知人・卒業生に社員がいるか、自校に著者がいるか、近所に社員がいるという環境を求めること自体、岩波の場合は選民的だし、それに気が付いてない鈍感さがイヤ…。たとえば私、東電に入社したかったとして同じ条件を出されても、身近で誰ひとり思いつきませんもん。

著者にアタックする、という手もあるとのことですが、自分のゼミ生でもない人においそれと紹介状を書く教授はいないだろうし、だったら個人的に著者に気に入られて紹介状を書いてもらうよう努力しろ、というなら、それは一次試験を著者に丸投げするのに等しい気がするんですが…

そして、なんで私がネチネチと書いているかといえば、それは小さいときから、そして今も愛読している本を出版している会社にこんなことして欲しくないと思っているからです。そりゃ、終戦直後とかの混乱期だったら縁故採用も仕方ないかもしれませんけど、今は平成ですからね。
「出版はハッキリ言って斜陽産業だけど、御社の本をずっと読んできて、自分は本を作りたいんです!」そう思ってる若人(いれば)を門前払いしないであげてくださいな。

それに、同じような人ばっかりで組織を固めていると、早晩、会社が危なくなるかも知れませんよ?岩波のない日本の出版業界、それはもっとイヤなことなので…。
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by silverspoonsjp | 2012-02-05 23:16 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(0)
ついに買ってしまいました、Amazon Kindle第3世代。軽い、小さい、超便利!Amazon謹製の読書ライト付きブックカバーもセットして、久々に良いお買い物であります。

まだAmazon.comからしか買えないのが玉に瑕ですが、日本語も読むことが出来ます。洋書を読むために買ったのに、なぜこの機能が大事かというと、それは英辞郎を使いたいからです(苦笑)

匙流Kindleの使い方はというと…それは当然、歩く指輪図書館(呆)

Lord of the Rings 全巻とHistry of MiddleEarth、教授の手紙等々、指輪関係で電子版や自作デジタル化したデータは全て突っ込んでも容量的には余裕綽々。こんなに入って、見た目は文庫本が一回り大きくなったくらいのサイズ。画面が見やすいのはもちろん、知らない単語にカーソルを合わせると、別途購入した英辞郎の語釈がポップアップで出るように設定してあります。これがとても便利。気になるところを抜き書きしたり、しおりを付けたりできます。

さあ、これで明日から2週間の入院期間も絶対退屈しないことでしょう。では、皆様どうかお元気で。
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by silverspoonsjp | 2011-02-04 00:22 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(4)
ある日メーラーを立ち上げると、Amazon.comから妙な品物のお知らせが届いていました。

「キンドル-アマゾンの無線読書装置。英語書籍を100カ国以上の地点から60秒以内で購買可能。クリスマスの贈り物として好適」


一読した時点では、またケッタイな電子本を薦めてきたものだこと、どうせリブリエとかと同じで長続きしないに違いない…とスルーしたものの、1500冊内蔵できる!とか、60秒以内に本が手元に送られてくる!とかいう文句にちょこっと心が動いたのであります。パソコンにつながず、キンドル単体でAmazonにアクセスできて、しかも通信費はAmazon持ち(海外はちょっと料金体系違うらしいけど、アメリカ在住の人は通信費が全くタダらしい)

詳細ページ(リンク先の下の方まで見てみてください)には、むかーし昔にエントリーしたこの記事に関連する技術の名が。そう、超使えそうなハイテク、電源を切っても表示が消えないe-inkであります。

キンドルはすでにアメリカでは大人気とのこと、元記事書いたとき、この会社の株を買っておけば…(って株を買うお金がないんですけど)

あーでもアメリカが作るこういうのって、最初は図体が大きいからやっぱやめた…と忘れていましたが、神保町のスタバに入ったら、これで本読んでる人がいるではありませんか。

超薄い!(思ってたより比)

超カワイイ!

超白い!

実物を目の当たりにして、にわかにキンドルが欲しくなった私。よし、買うか!と思って調べてみたら、またまた人心を惑わず別の情報が。

バーンズ&ノーブルが、またまたカワイイ類似商品「nook」を出してます。

ということで、いったんキンドル熱は平熱に戻りつつあるのですが、さて…

実は現時点で、アメリカの読書端末は日本の電子ブックには対応していません。日本でも端末は買えますが、キンドルはあくまでもAmazon.comの取り扱い品を買うことになるようです。

日本ではこの点を取り上げて、日本はまた乗り遅れてる…とか、またはアメリカは英語の書籍だけでも大きな市場になると思ってるなんて傲慢、みたいな論調も見かけますけど、それはちょっと違うんじゃないかと思います。

まず、日本の本が買えない点ですが、これは英語の書籍でも、「ハリー・ポッター」シリーズのような人気作や最新の本なども買えないのと通じる部分があるんでしょうね。つまり、新刊の場合、紙の書籍の方が実入りが良い従来の出版社は、デジタルコンテンツを安価に(アメリカの場合たぶん半額くらい)Amazonに卸すということに、あまり熱心ではないと推測できます。装丁や「モノ」にこだわらない読者なら、高いペーパーバックより電子本を買うでしょうから。

出版社にしてみれば、紙とデジタル両方売れるうちは良いけれど、そのうち街の書店が無くなってしまい、デジタルコンテンツしか売れなくなったら、相当困るというのが本音だと思います。これまで書店に対して、卸価格を強気でつけていた出版社も、Amazonでしか本が売れないとなったら、条件を呑まざるを得なくなるでしょう。

本を作り、デジタルデータも作るやり方から、デジタルデータだけの作成になると、出版社という商売自体が成り立たなくなってくる可能性だってあります。著作権者が自分でコンテンツを売れば、出版社に中間マージン取られなくて済むわけですもんね(出来上がる作品のクオリティが下がるとは必ずしも言えないわけですし)。一方で、お手軽に楽曲がどんどんコピーされてしまう音楽業界の苦悩が、出版界の苦悩にならないとも限らないわけです。

日本の読書端末や音楽デバイスは、コンテンツ産業の反発を買わない方向で設計されているために、使い勝手が悪いのは当然の帰結で、メーカーを責めたって始まりません。変わるのはどこか。それは出版社しかないでしょう、残念ながら…。

書き手を発掘し、または企画を出し、編集し、欲しい層にきちんと届けるのが出版社の仕事なら、媒体がどう変わろうと必要な仕事だと思うし、それで対価が得られるように知恵を絞る時なんだと思うわけです。
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by silverspoonsjp | 2010-01-18 23:54 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(2)
最近は「ウェブ」か「マップ」しか使ってなかったので、全然気が付かなかったけど、Googleに「書籍」ってカテゴリーが出来てたみたいですね。

これが訴訟だ和解だと大騒ぎになってた機能か…へーぇと思いつつ試してみました。

たとえば「One ring to rule them all」と検索してみると(^^;)
原作の「旅の仲間」の該当ページをはじめ、
Lex Populiに始まって、トールキンのガイド本やら指輪物語の映画関連本やら、本文にこの詩が引用されている書籍がずらずら出てきます。

ちなみに下の方の欄に、本の中でよく使われている語句としてAragornが一番大きく出ているのはどういうことなんでしょうか?(ちなみにちなみに、Aragornよりは小さい字でMerry とPippinも出てくるのに、Frodoが出てこないのはナゼなんでしょう??)

うーむ…これはこれは…。

日本の書籍ではどうかと思って、

石炭をば早や積み果てつ

と入力してみると、
鴎外全集の一部(該当部分の6字くらいを1ページにわたって横長に表示)
が出てきました。

確かに、このページそのものは出てこないのですが、
検索した時点で鴎外全集の400ページに記載があること、前後の文章なども出てきますし、
アメリカの大学に蔵書があるためか、がっつりデジタル化されています。

こういう仕組みは確かに調べ物なんかにはとても便利です。
論文を書くときに、どこに自分の欲しい情報が載っているか探すところに時間がかかっていたのが、これならあっという間。

しかも、ネットに慣れてる人は調べ物をするとき、本を探すってことを考えつかないみたいですが、ネットを窓口にすればもれなく探せますしね。

それなのに何が問題なのかといえば、たとえば、

・いきなり無許可で印刷物をスキャンしてデジタル化し、これをネットで公開するというやり方は乱暴過ぎる。

・検索に賛成なら何もしなくて良いが、反対するには高いハードルがあるうえ、一方的に不利な立場に立たされるというのはアンフェアではないのか。

・ユーザーにとっては無料に見えるが、Googleは(現状)広告料で成り立っている。著作権者や出版社がコストをかけて作ったコンテンツを許可なく利用してもうけているのはどうなのか(ただ、これはニュースの検索の方が影響大きかったと思いますけど)。

・絶版本や著作者の許可が取れた書籍のみを全文公開するというが、その支払いの窓口はGoogle一社であり、著作者には相応の著作権料が払われるというものの、額や支払い方法はGoogleの都合によって左右される恐れがある。

・将来的に、全世界の本に対して、Googleの恣意的な判断で検閲まがいのことが行われる可能性は排除できるのだろうか。

私も上記の懸念はもっともだと思うんですが、一方で、Googleがやらなくてもどこかがやるだろう、という気もするんですね…。なので、結局、問題は、

一私企業であるGoogleの独り勝ちになるやり口は如何なものか

ということに尽きるんだろうと思います。

あとは、ますます書籍のデジタル化が進むだろう、ということでしょうか。
この点については、またの機会に…。
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by silverspoonsjp | 2010-01-04 23:34 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(0)

図書館の興亡

マシュー・バトルズ著「図書館の興亡-古代アレクサンドリアから現代まで」(草思社)という本を、それこそ図書館から借りて読んでました。

大変申し上げにくいのですが、この本は、私には、典型的な「参考書を右から左に写して書いた本」に見えるため、あまり積極的にオススメは致しません。特に古代の部分は、著者もよく理解しないで書いてるんじゃないかと思われるフシがあり、どこまで本気にしてよいのか迷います(リテラシーを試されてるのでしょうか?)。

訳もー異国情緒を醸し出すためと思いたいですが-中国古代の書記用具で「黒インク」はないでしょう…それを日本語では「墨」っていうのでは…?(古代中国では黒インクを使っていたのなら、失礼しました…)石碑の森は、「碑林」のことなのでは…いえ、良いんですけど、別に。

文句があるなら読まなきゃいいでしょ、何で読んだの、と問われれば、それはcrannさんのブログを拝見して「ゲニーザ」って何だろ?と思ったからです(crannさん、いつも面白い話題をありがとうございます)。

けなしておいて何ですが、B級映画も見方次第なのと同様、どんな本でも見どころはあります。「考察」って言葉をゲニーザに埋めてきちゃったらしい本ではありますが、図書館の来し方についてまがりなりにも1冊にまとまっていると、読み手の方では、行く末について考えてみることも出来るというものです。

著者はハーバード大のワイドナー記念図書館で司書をつとめた人だそうで、よって、司書の役割について書かれた箇所と、アメリカの図書館について書かれた箇所は、なるほどね、と思わせてくれます。

以前、アメリカの子ども向けの本で、開拓地に本を載せてやってくる幌馬車図書館(現在の移動図書館のご先祖みたいなものでしょうか)の事を知りました。この本では、それらが一定の期間、まとまってある農家などに貸し出される「ホーム・ライブラリー」の紹介があります。

20世紀の初頭、アメリカ開拓農家の仕事はあまりにも厳しく、本を読むゆとりは親にも子にもそれほどなかったと思われます。前述の本でも、移動図書館の本を読む事に、親はあまり乗り気ではありませんでした。それを思うと、本書の写真にある、祭壇のように恭しく本のセットが置かれた光景には、そんな暮らしでも本を読みたいと思う人たちもいたんだと、畏敬の念まで覚えてしまいます。

性質は違いますが、二十世紀初頭、図書館に出入りするのを禁じられていた黒人が、そんな中でも知恵を絞って本を借り出した話なんていうのも出ていて、本があふれているのに全然読まない人も多い身の回りの状況と考え合わせると、皮肉というか何というか、考えさせられる話です。

そういえば、ローラ・インガルスの本に、クリスマスプレゼントにテニスンの詩集を贈られる話が出てきましたね(ローラは、クリスマス前に引き出しの中に隠してあったのを見つけてしまい、あまりに続きを待ちこがれたため、実際に読んだ時、がっかりしたらしいです。とても良くわかる気がする…ので印象に残ってます(苦笑)

さて、肝心の「ゲニーザ」(「ゲニザ」の方が検索ではヒットしやすい)については、「書物の墓場『ゲニーザ』」という節で6ページくらい紹介があります。「ゲニーザ」はユダヤ教のシナゴークの一角にある、使い終わった、文字の書かれた紙を集めておく場所を指すそうです。

ユダヤ教やイスラム教では書かれたものを神聖視する伝統があり、それらが冒涜されないように保存しておくと、中身が魂のように昇天する、ということなのだそうです。ですから、系統だって本を集めた訳でもなく、外に向かって開かれることもありませんでした。

したがってゲニーザに保存されたものはは焚書のような受難に遭うこともなく、後世にとって有用か否かの振り分けをされることもなく、千年にわたってただ延々と蓄積されてきたのです。

アレキサンドリアの図書館以来、図書館に集められた本はほぼ例外なく消失の運命をたどっているというのに、墓場にある本は後世に伝わるとは…。図書館の歴史にこの項目を入れた著者のセンスは「買い」とすべき、なんでしょうね。

目次抜粋

アレクサンドリア炎上
 焚書坑儒と石碑の森
 消えたアステカの絵文書
 「クーマの巫女(シビッラ)」の予言書

知恵の館
 バヌ・ムーサ三兄弟と知恵の館
 図書館のルネッサンス

書物合戦
 スウィフト

みんなに本を
 新時代の司書の資質
 

知的遺産の消失
 「本を焼くところでは、やがて人を焼く」
  ルーヴェン図書館の悲運
  ナチス・ドイツの図書館改革
  抑圧の道具としての図書館
 
書架のあいだをさ迷いつつ
  書物の墓場「ゲニーザ」
  ホーム・ライブラリー
  人民宮殿
  「アーケード・プロジェクト」
  ミューズの鳥かごは今

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by silverspoonsjp | 2009-02-10 01:52 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(2)
どういうわけだか東京でも売っている「大阪人」。
(東京には「東京人」という雑誌があるんですが)

今回の特集は古本屋さん。
売れ筋特集らしく、3回目のようです。
東京人好みの文人は永井荷風なんだけど、
大阪だと織田作之助が躍り出てくるあたりが面白い。

古い本屋さん、新しい本屋さん、両方の紹介がバランスよく
入っています。
大阪らしい品揃えというのがあるのかどうかわからないけれど、
今度行ったら寄ってみたい場所がたくさん見つかりました。

ないものねだりを承知でいえば、
モノクロページの写真はもうちょい工夫が欲しいかも。
せっかくこんなに図版スペースがあるのに…。

(財)大阪市都市工学情報センター
580円
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by silverspoonsjp | 2009-01-30 23:57 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(2)

デコトラ風スクラップ

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最近、こまごました紙モノがたまっているので、スクラップブックを作って片づけちゃおうかなーと思い(我ながらチマチマした趣味だこと…)、使えそうな紙を探しておりました。

本の形になってさえすれば良いというのであれば、少部数印刷を引き受けてくれるところで最低ロット作ることも出来ますが、凝ったことをするのは難しい。ただ、自分で書いて自分で製作する私家本とまでは行かなくても、工夫次第で面白い本はできます。

いま世間で流行っているかどうかは存じませんが、最近面白いと思うのは、すごくハデハデに飾り立てたスクラップブック。シンプルシックなモレスキン等とは対照的に、こんなデコトラみたいなスクラップブックのキットもあるんですねー。何ともアメリカーンな感じがたまりません。

旅のスクラップといえば、フランス人のユニット、ツェツェの作品も思い浮かびます。(ツェツェの旅行絵本とか。)

本は大事に…という教育を受けた方にはお目玉食らいそうですが、私はよく本をカスタマイズします。一番使う辞書に、載ってない単語とか、他の辞書でこれはと思う語釈の切り抜きを貼って使ってます(厚くなるけど)。蔵書票を貼るというのも、一種のカスタマイズでしょうか。

そして今一番やってみたいことは、活版で組んでくれるところに、自分の好きな詩を集めて印字してもらい、本にすることです…とはいえ、予算ないからダメだけど…まずはモリスを見習って、豪華手書き挿画本を作るとこからにしましょうか。
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by silverspoonsjp | 2009-01-28 01:25 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(2)
皆さん、こんばんは。

わたくしこと、こう見えても「ぴあ」の年間予約購読読者でございます。給料天引きで購入し続けてはや◎◎年、こんなに長いこと読み続けてる雑誌は他にございません。

だけど、それもいよいよ、過去形になろうとしているのでございます。
なぜって…?2ヶ月前のリニューアルの結果がひどすぎるからでございます。
一体、読者を何だと思ってるのでしょうか。

そう、思い起こせば今は昔、隔週刊で使いやすかったのに、情報が増えたとか言って週刊になったときも(どう考えてもあれは売り上げと広告収入を増やそうとしてるとしか思えなかったけど)、私はおとなしく購読を継続いたしました。

あのとき、抗議しておけば良かった。

直近1週間~10日くらいの催し物しか載ってないと、社会人は予定を立てられないんですが、と。

とは言っても、ボリュームが増えた分、かなりマイナーな催しまでカバーしてるし、特集記事もたまに面白いのがあるしね、と善意に解釈したのでございます。

ところが、この11月に「ぴあ」は、またまた隔週に戻ったのでございます。良かったじゃん!とお思いですか…いやはや、とんでもございませんよ!(怒りはいよいよ沸点に)

忠実なる読者には告発の権利がある!

敢えて言おう、カスであると!

雑誌がリニューアルするというのは、たいていの場合、売り上げが落ちているということなので(だって、好評のものを変える必要ないですもんね)、必死のはずなんですが、頑張る方向が逆だと思うんですけど。

巷には情報がいっぱいありすぎるから、編集部が選んでオススメしましょう、というコンセプトには別に反対しないけど、だったら、さすがは「ぴあ」編集部!って思わせてくれる作品をオススメしてくれなくちゃ。まさかとは思うけど、広告出してくれたとこを推薦したりしてないでしょうね、と勘ぐりたくなるひどさ(しかも座談会形式でほとんど記事のていを成してない…)

レイアウトを変えて、情報は少なく、紙面は見づらくなってるし(情報が少なくなっても見やすくなってるならまだしも…)

ぴあのもう一つのウリ、インタビュー記事も、相手のことより書き手の事情が前面に出てる記事が目立つし(紙面が埋まるほどはしゃべってもらえないのかしら)

ぴあを買ってた最大の理由である、マイナーな特集上映や上映会情報に至っては、@ぴあをご覧下さいになってる始末。だったらネットで見ますよ?!(←あ、怒ってる怒ってる)

せっかく雑誌媒体なんだから、ネットじゃできない工夫がいろいろあるでしょう!何とかしてくださいよ。キレますからね、ホントに。
雑誌不況なんて言って、誰が悪いんだか…
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by silverspoonsjp | 2009-01-23 23:55 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(0)