本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
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カテゴリ:素敵なヴィジュアルの本( 86 )

a0003079_237149.jpgなんとなくまだ中国を引きずっておりますが、これはなかなか良い図録ですのでお許しを…。こんな展覧会、全然知らなかった、と思ったら、2004年の夏から秋にかけて、福岡、兵庫、新潟で開かれた巡回展だったそうです。お近くの方はごらんになりましたでしょうか。

前々から福岡アジア美術館が良いコレクション/企画展をしているという話は耳にしております。一度は行ってみたいのですが、何しろ外国に行くより高くつくため、なかなか踏み切れないのは皮肉な話です。

さて、この図録は、近代の中国絵画の歩みを俯瞰するものになっています。取り上げられた5つのタイプの絵画は、時代は連続しているものの、手法・画題・販売対象とも全く異なっているため別々に紹介されることが多く、各ジャンルごとの書籍はいろいろ発行され、それぞれに多くのファンがいます。それだけに、通史で見せる今回の企画はかなり欲ばった内容といえます。

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「チャイナ・トレード画」は、貿易で中国を訪れる西洋商人たちがお土産として買い求めたもの。画題も彼らの好むような異国趣味バリバリのものとなっております。ほとんどが油絵で描かれているのに、モチーフや構図が中国風味という組み合わせに奇妙な味があります。このジャンルの作品は香港の有名なデザイナー、アラン・チャンがモチーフとしてよく使っているので、目にする機会も多いのではないでしょうか。一見洋画風のものが多いなか、p。70の↑作者不詳のこの作品は、19世紀にもかかわらずこのポップでCGっぽい感覚が私の心をつかんで離しません。このジャンルではティンクワーの作品と並んでお気に入りです。

このほか、表紙に使われている「カレンダー画」もリバイバルがあるたびに人気の出るジャンルですし、今も現役な「プロパガンダ画」も取り上げられています。

専門家による解説も入った豪華な内容で1800円とはずいぶん安い気がしますが、図録なので写真の使用料が免除になっている、大量に作る、などのメリットのおかげでしょうか。私は神保町の中国専門書店・東方書店で買いました。東方書店では通販もやっています。国内書のコーナーで検索してみてください。ふつうの本屋さんでは扱いがないのではないかと思います。おそらく、開催館である福岡アジア美術館等で入手可能と思われます。

2004年 212ページ
A4変形 チャイナドリーム実行委員会
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by silverspoonsjp | 2005-01-26 23:31 | 素敵なヴィジュアルの本
a0003079_19441828.jpg上海といえば、やはりジャズ。1930年代、オールド上海時代のジャズバンドについて書かれた本なども見かけましたが、「季風書園」の音楽コーナーでいちばん目を引いたジャズの本はこれでした。

銀の表示にビニールカバー、正方形の、CDを思わせる本のつくりも名盤案内にぴったりです。デューク・エリントン、マイルス・デービス、ジョン・コルトレーンからパット・メセニー、ウィンストン・マルサリス、ジャミロクワイ、Us3あたりまでをカバーしています。

ジャンル名もいいですね。「人声(ボーカル)」「鍵盤・取様(キーボード・サンプリング…。オルガン・ジャズかな?)「大楽隊(ビッグバンド)」…。
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デザインといいセレクトといい、あまりに決まりすぎているし、ご当地ものは紹介されていないので、ひょっとして翻訳かな?と思いましたがオリジナルのようです。1ページに収まるコンパクトな解説もオシャレです。
「Mercy!Mercy!Mercy!」の解説には、いま上海で若者に大人気(らしい)村上春樹の評が引用されていたりして、やるな!って感じです。

王昕 著

世紀出版集団 上海人民出版社
48元 2004年 340ページ
ISBN 7-208-05095-3
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by silverspoonsjp | 2005-01-21 19:44 | 素敵なヴィジュアルの本
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「紅楼夢」といえば昔から、中国文学のなかでもオタ…もとい、マニアの多い小説で、この小説を究めんとする学問は「紅学(ホンシュエ)」、フリークは「紅迷(ホンミー)」という用語まであるほどです。

本文は18世紀に書かれたものとされ、当初のタイトルは「石頭記」(石ころの物語)といいました。天をつくろうために集められた石ころが結局役立ててもらえなかったのを悲しみ、せめて人間世界を見てみたいという望みをかなえてもらい、そのときの事柄を記した物語だという意味です。石は裕福な家の少年・贾宝玉として、彼をとりまく美少女たちとの恋物語を織りなします。

ですから、宝玉の生活を描いた部分は、清朝のお金持ちの日常がこと細かに描かれ、リアルそのものなのに、前ふりの仕掛けによって、どこのいつの話かつかみどころがなくなっているという趣向なのです。

この本もの装丁も、線装の本に、中の絵が覗き見える帙をつけた、内容にマッチしたものになっています。
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本書は晩清の時代の画家・孫温による、「紅楼夢」全編に渡る絵物語になっています。本編に登場する小道具(時計や調度)や壁に飾られた書画なども緻密に描きこまれています。必ずしも本の中の記述をそのまま描いたものではないようで、ここに描かれた内容を研究する人も出てきそうな、まさに入れ子の物語にふさわしい凝りようになっております。

オールカラーで色は綺麗ですが、若干版ズレがあるのか、あまり画像がシャープでないのは残念です。古籍書店で買ったとき、棚には1冊しかありませんでしたが、他のないですか?と聞いたら、奥からビニールでパックした開封してないのを持ってきてくれました。さすがです。

作家出版社 2004年
298元 270ページ 大型本
ISBN7-5063-3044X
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by silverspoonsjp | 2005-01-19 23:07 | 素敵なヴィジュアルの本
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もうひとつ蔵書票関係の本を。こちらは、蔵書票作家一人の作品につき一冊で、五冊セットになった本。これでもか、これでもかと厳重包装してあります。
見開きの右には書物に関する名言、左には蔵書票が1点あしらってあり、装丁といい、文字の置き方といい、ちまちました作りが、何となく台湾の出版物ぽい感じです。

中味を開けてみることができなかったので、ほとんどバクチ状態でしたが、白逸如,杨可扬,曹文汉,杨春华,粱栋の5作家はいずれもこの道の重鎮で、それなりに力のある作品が揃っていました。この中では杨春华のスタイルがいちばん好きです。色遣いや輪郭の取り方が磁器の絵付けを連想させます。

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河北教育出版社 2003年
セット価格300元
ISBN 7-5434-4919-6/J387
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by silverspoonsjp | 2005-01-17 19:46 | 素敵なヴィジュアルの本
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さて、上海で購入しました本の第一弾はこちら、「群玉留痕」でございます。誰ですか、「グンタマ」とか読んでいるのは…・。

中国では最も古い大学図書館である北京大学図書館が、設立100周年(1902-2002)を迎えたのを記念して作られた本です。紙の表面だけに印刷したものを蛇腹上に折りたたんであるため、かなりツカ(厚み)があります。

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見開きの左ページに貴重書の印影が印刷され、右ページには北京大学図書館歴代の蔵書印が、特別の用紙に押されて手貼りされています。蔵書中の一番古い本はユークリッドの「幾何原本」1533年というのがちょっと意外な感じです。上は《莫测神秘的中国》,右は《英国昆虫学》でございます。この本の内容自体はそれほど貴重なものではありませんが、装丁や印刷等が面白かったため、古籍書店にて購入しました。お値段はびっくり400元(5400円)。誰が買うんだ、こんな本。ってゆうか、私か…。

ISBN7-5010-1401-9K-648
文物出版社 2002年
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by silverspoonsjp | 2005-01-15 02:24 | 素敵なヴィジュアルの本
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最近、洋書はネットで買うことが多くなったけど、店頭売りが無くなってしまったら、タイトルを知ってる本しか買えなくなるので困りますよね。東京堂も洋書はやめてしまったみたいだし、タトル商会まで和書を扱いだしたりして、神保町の新刊書店で洋書を買うのはどんどん難しくなってきています。

そんななか、三省堂書店神田本店の洋書売り場は、すごくメジャーでもないけど、インディーズでもないような作家のビジュアルブックを何気なく置いているのでときどきチェックしに行きます。

この本はミニサイズの本ですが、「魔笛」のミヒャエル・ゾーヴァが絵を描いていて、とても目立ちました。可愛らしいのは服を着たウサギだけで、色や絵柄はどことなくメランコリックな感じです。悪意すら感じられる絵もあります。
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ドイツ語なので話がさっぱりわかりません。でも、良い本を扱ってるのに売れなかったら、どんどん売り場から駆逐されちゃうんだろうな、と思い、仕入れの人へエールを込めて買ってみました。

家に帰ってネットで検索したら、ちゃんと評論社から翻訳が出てました。「エスターハージー王子の冒険」・・・??あなたは王子様だったのね、ウサギさん。
そんなファンタジックなタイトルほどは甘くない、寒々とした石造りの建物の背景が魅力的な絵本です。(挿絵は本文(たぶん)21ページから。この本ノンブルがないわ…)
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by silverspoonsjp | 2004-12-21 23:52 | 素敵なヴィジュアルの本
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スコットランドといえば、まず「タータン」。日本語では「タータンチェック」と言っていますが、英語では「tartan」というと、肩掛けplaidやスカートkiltからなる民族衣装そのもの、あるいはタータンチェックの織物を指すそうです。

本書によるとこの言葉の語源は恐らくフランス語のtiretaineから来ており、もとは毛と麻の混紡を指しました。16世紀はじめに使用例が見られるとのことです。

当時フランスとスコットランドの支配層には直接のつながりがありました。例えば、少年王ジェームズ5世の摂政として選ばれたのは、フランス生まれでフランスの提督であるオルバニー公ジョン・ステュワートでしたし、もちろん、それ以前にも、スコットランドとフランスの間には長きにわたる同盟関係があったのです。そういった関係から、この言葉もスコットランドに持ち込まれてきたのでしょう。

言葉の由来だけではなく、タータンはスコットランドが通ってきた歴史を象徴しています。いまでこそ、スコットランド人の正装として知られ、その模様は各クランによって違うなどとまことしやかな話が流通していますが、格子模様はもともとヨーロッパ各地にあり、よそで廃れたあとも、この辺境の地では作られ続けたというのが真相のようです。18世紀に入って、スコットランド貴族のイングランド詣でや商業主義の台頭、エキゾチックなスコットランドへの憧れなどなど、もろもろの要素によってタータンは民族衣装の地位へ上りつめます。ここにも、スコットランドの歴史を動かすイングランドの影が見え隠れしています。意外や(?)ロマンチストだったヴィクトリア女王もタータンがお気に入りだったようです(写真は当時の王室の衣装。本書p. 63から)a0003079_0514092.jpg

タータンの歴史については類書もほとんど同様の記述なので、恐らく定説化しているのでしょう。各氏族の模様について、さらに詳しく解説している大部な本もありましたが、スコットランド旅行の最中だったのでそんなものを買うわけにも行きませんでしたし、本書はINAX BOOKLETくらいのコンパクトで手ごろなものながら、図版の印刷が綺麗で、紹介もよくまとまっていたので買いました。

著者はスコットランド国立美術館の近代スコットランド史担当キュレーターだそうです。

TARTAN
Hugh Cheape著
ISBN0-948636-70X
National Museums of Scotland
£5.99 96ページ
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by silverspoonsjp | 2004-12-11 23:53 | 素敵なヴィジュアルの本
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今日、久しぶりにプールに行ったら、窓から富士山が見えました。まるで銭湯に来たみたいでした(標高?の高いところにあるプールなんです)。都心で富士山を見たのは久しぶりです。私があれは富士山だと説明しているにもかかわらず、連れは「あの山、富士山じゃないですよね?」と周りの人に話しかけていました(おじさん、「本当に似てますね」とか合わせなくていいから、ガツンと言ってやってください)。

さて、今週は、旅行記と連動しまして、この秋にスコットランド旅行に参りました際買い求めました本を中心にご紹介させていただきます。と申しましても、その前の年に、観光旅行だというのに大量に本を買い込んで顰蹙を買ったため、今回はほんの数冊しか買えなかったので、すぐ終わっちゃうと思いますが。

さて最初のエントリーはこちら、
「Scottish Teatime Recipes」でございます。
絵葉書サイズの小さな本で、おみやげに類するものらしく、本屋よりみやげ物屋でよく見かけました。

スコットランドのお茶菓子のレシピで、34品紹介されています。バタースコッチ・ビスケット、
スコッチパンケーキなど、愛郷心あふれるレシピがいっぱい。
でも、8オンスの小麦粉を用意して、325度に熱したオーブンに…とか言われてもなあ
…と突っ込まれるに違いないと予測したのか、
最後のページにちゃんと単位の対照表が載ってるのがエライ!


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この本のおみやげ本たるゆえんは、愛郷心あふれるレシピのみならず、ところどころに挟まれたスコットランドの田舎の風景画にもあります。
こちらはインヴァネス・シャイア、グレン・ネイヴィスの風景。ほとんどこの挿絵を楽しみたいがために買ったようなものです。とっても安い本の割には、2色刷でお買い得でした。
スコットランドへいらしたら、おみやげに是非どうぞ。

Johanna Mathie編
Sutton Palmer 絵
48ページ SALMON
ISBN 1-898435-18-9
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by silverspoonsjp | 2004-12-05 23:46 | 素敵なヴィジュアルの本
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もうかなり前の話になりますが、六本木ヒルズ内の美術書コーナーで、異彩を放つ1冊の写真集を見かけました。B5サイズくらいの薄い本で、ヒースロー近くの道端の写真から始まっていました。これがコンコルドの写真集だといわれなければ気づかないくらい小さな機影が映っていて、だんだん近くに飛んでくる様子だとか、夕暮れの梢の上に、鳥かと見まごうコンコルドがぼんやり映っている様子とか、そんな写真が収められていました。買おう!と思って値段を見たら、確か6000円くらいして、連れの手前思わず出した手を引っ込めてしまいました(何でこういうとき、必ず連れがいるのでしょうか…泣)。かなり経ってもあきらめきれないでいたところ、エアライングッズの本を探しているときにちょうど検索がヒットし、ソフトカバーが安くで出ていることがわかったので、とりあえず買いました。今回、そのヴォルフガング・ティルマンスの写真展(HPはこちら。すごく重いです。が、それにめげず見る価値があるHP)に出かけたので、また引っ張りだして見ています。

コンコルドは私が長年あこがれていた飛行機でありました。実物はロンドンのヒースロー空港で初めて見ましたが、事故のあとだったので何だかしょんぼりとして、思ったより小さな機体がますます小さく見えました。

スーパーマーケットに寄った帰り道などに何の気なしに空を見やると、このおかしな形の飛行機が飛んでいる…それは日常と非日常が交差する、奇妙な瞬間だったに違いありません。画面のどこかにコンコルドが飛んでいる写真がページいっぱいに、しかも右ページだけに配されているこの写真集は、そんな奇妙な瞬間へ私を連れていってくれます。

展覧会にもこのシリーズが出品されていました。ほぼ本と同じサイズの写真で壁いちめんに貼りだしてありました。並べてみるとまた別の面白さがありますが、本の体裁の方が、なにかぱらぱら漫画みたいに機体とともに通りすぎる時間も封じ込められているようで好きです。

Verlag der Buchhandlung Walther Konig
1997年 B5変形 写真48葉
3-88375-273-8
2400円
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by silverspoonsjp | 2004-11-28 20:47 | 素敵なヴィジュアルの本
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神戸にある喫茶店トリトンカフェが編集したビジュアル本。Vol1の旅、Vol2の時間に続き、今度のテーマは「カタチ」です。

表紙が1色刷なのに、開けるとオールカラー。シンプルですっきりしたレイアウトがとても好きです。記事の中でも、「マラブ・フラッシュ」の紹介に惹かれて買いました。1959年、ベルギーで創刊された、正方形をしたポケットブックのシリーズで、500タイトルも発売されたのだとか。内容は「楽ちんダイエット」「失敗しないデート」「踊ろう!」など1冊ワンテーマ。面白そう…このシリーズに挿絵をかいたイラストレーターを訪ねるくだりも泣かせます。
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←(これがマラブ・フラッシュ。本書86ページから)それにしても、こんな素敵な本を出しているカフェに行ってみたいものです。神戸は遠いけど…。

発行・発売 新風社
本体1900円
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by silverspoonsjp | 2004-11-26 21:32 | 素敵なヴィジュアルの本