本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
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もうかなり前の話になりますが、六本木ヒルズ内の美術書コーナーで、異彩を放つ1冊の写真集を見かけました。B5サイズくらいの薄い本で、ヒースロー近くの道端の写真から始まっていました。これがコンコルドの写真集だといわれなければ気づかないくらい小さな機影が映っていて、だんだん近くに飛んでくる様子だとか、夕暮れの梢の上に、鳥かと見まごうコンコルドがぼんやり映っている様子とか、そんな写真が収められていました。買おう!と思って値段を見たら、確か6000円くらいして、連れの手前思わず出した手を引っ込めてしまいました(何でこういうとき、必ず連れがいるのでしょうか…泣)。かなり経ってもあきらめきれないでいたところ、エアライングッズの本を探しているときにちょうど検索がヒットし、ソフトカバーが安くで出ていることがわかったので、とりあえず買いました。今回、そのヴォルフガング・ティルマンスの写真展(HPはこちら。すごく重いです。が、それにめげず見る価値があるHP)に出かけたので、また引っ張りだして見ています。

コンコルドは私が長年あこがれていた飛行機でありました。実物はロンドンのヒースロー空港で初めて見ましたが、事故のあとだったので何だかしょんぼりとして、思ったより小さな機体がますます小さく見えました。

スーパーマーケットに寄った帰り道などに何の気なしに空を見やると、このおかしな形の飛行機が飛んでいる…それは日常と非日常が交差する、奇妙な瞬間だったに違いありません。画面のどこかにコンコルドが飛んでいる写真がページいっぱいに、しかも右ページだけに配されているこの写真集は、そんな奇妙な瞬間へ私を連れていってくれます。

展覧会にもこのシリーズが出品されていました。ほぼ本と同じサイズの写真で壁いちめんに貼りだしてありました。並べてみるとまた別の面白さがありますが、本の体裁の方が、なにかぱらぱら漫画みたいに機体とともに通りすぎる時間も封じ込められているようで好きです。

Verlag der Buchhandlung Walther Konig
1997年 B5変形 写真48葉
3-88375-273-8
2400円
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by silverspoonsjp | 2004-11-28 20:47 | 素敵なヴィジュアルの本 | Trackback | Comments(2)
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2004年9月、ヴェネチアで行われた第9回国際建築展・日本館のテーマは「おたく」…。
このニュースを聞いて、よくぞ思い切りましたと拍手する一方、輸出大国ニッポンはこんなものまで輸出しちゃうのね…?と複雑な思いにかられたのは私だけではないでしょう。

このテーマがなぜ建築展のテーマとして選ばれたかは、「おたく:人格=空間=都市」というサブタイトルが明快に物語っています。国のメンツをかけた壮大な(かつ虚しい)パビリオンがならぶであろう場所へ本来非常に個人的な趣味嗜好を指す「OTAKU」を持ち込むということは、日本の都市・文化が国家を前提としたものから個人の人格によって成り立つ場所に変わりつつあることを提示し、ビエンナーレ自体の存在基盤に挑戦するものであるといえます。

この展覧会のカタログは「おたく文化」を象徴する美少女フィギュアを同梱した凝った(というか、いかにもおたく的)なつくりになっております。ビニールに包まれた物体がそれで、パーツを組み立てて作ります。開けてないんですけど、さすが海洋堂、ディテールまでちゃんと作りこんであるようです。

カタログ本文は64ページの薄いもので、伊・英・日3カ国語で表記されているため、文章自体は非常に短いですが、森川嘉一郎氏による基調論文、おたくを象徴するいくつかの事物の紹介(おたくの部屋、秋葉原、コミックマーケットなど)など、よくまとまった内容になっています。

日本製のアニメが世界を席巻している今、それに付随する「おたく文化」も拡散の一途を続けているようですし、「おたく」の意味自体も変容を続けているようなのですが、それにしてもねえ…。旧「おたく」観が抜け切らない者からすると、こういう事物はアンダーグラウンドの文化に属するものであって、消費の主役とか、日本文化の重要な一面とかいう評価を正面切って与えられてしまうと急速に面白みを失うし、ある種のセクシャルな嗜好を含んでいるという本来の定義からすれば、表舞台に上げるものではないような感じがします。

平たくいうと、日本の文化として真っ向から取り上げられるのは気恥ずかしいといいますか…。ま、最近は何でもアリですし、「おたく」の意味自体も幅が広くなってきましたので、とやかく言うことではないんですが。それに、抑圧されたものであるからこそ、展示する意味もあるんでしょうしね。

この展覧会が規定している意味での「おたく」の境地には達していませんが、最近の新定義(収入と時間の大部分を特定の趣味にかける人うんぬん)にはかなり当てはまってしまう私としては、かなり心中複雑なのでございます。

森川嘉一郎・編 国際交流基金・著
2004年 幻冬舎
本体 1200円 A5判
ISBN 4-344-00897-9 C0876
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by silverspoonsjp | 2004-11-27 22:23 | センス・オブ・ワンダーの本 | Trackback(2) | Comments(4)
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神戸にある喫茶店トリトンカフェが編集したビジュアル本。Vol1の旅、Vol2の時間に続き、今度のテーマは「カタチ」です。

表紙が1色刷なのに、開けるとオールカラー。シンプルですっきりしたレイアウトがとても好きです。記事の中でも、「マラブ・フラッシュ」の紹介に惹かれて買いました。1959年、ベルギーで創刊された、正方形をしたポケットブックのシリーズで、500タイトルも発売されたのだとか。内容は「楽ちんダイエット」「失敗しないデート」「踊ろう!」など1冊ワンテーマ。面白そう…このシリーズに挿絵をかいたイラストレーターを訪ねるくだりも泣かせます。
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←(これがマラブ・フラッシュ。本書86ページから)それにしても、こんな素敵な本を出しているカフェに行ってみたいものです。神戸は遠いけど…。

発行・発売 新風社
本体1900円
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by silverspoonsjp | 2004-11-26 21:32 | 素敵なヴィジュアルの本 | Trackback | Comments(0)
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全然違うこと書く予定でしたが、あまり嬉しかったので急遽さしかえ。

新宿のカフェ・ユイットに参りましたときに、置いてあったこの雑誌をぱらぱら見て欲しいな~と思い、新潮社のサイトでバックナンバー買おっと、とネット検索したらなんと!2003年はこの号だけソールドアウト。たぶんちょうど忙しかったころで本屋にも行ってなかったんだろうけど、気がつかなかったなんて(泣。

それ以来、執念深くネットで探しておりましたが、こういう中途半端に古い雑誌というのはなかなか出品されず、半ば諦めておりました。

ところが、今日ちょっと仕事の資料を探しに神保町の古書店に行ったら、美術関係の棚に無造作に挿してあるじゃないですか。しかも、芸術新潮はこれ1冊。思わず鼻息も荒くレジに突進してしまいました。

さすが世界最大規模の古書街(自称)は伊達じゃありません。そういえば私、藤崎竜先生の漫画「封神演義」の熱烈なるファンなのですが、連載が始まってかなり経ってからハマったため、初連載時のカラー原稿が見たくてたまりませんでした(単行本は白黒なので…)。思いつめたあげく、少年誌のバックナンバーが入荷する神保町の中野書店を、昼休み毎日、数ヶ月張ったことがあります(取りおきしてもらえばいいじゃん、とおっしゃるかもしれませんが、神保町の古書店は200円の客に構っているほどヒマじゃございませんの)。ついに入手したときはレジで踊ってしまいそうでした…。

野村総研の定義によるとオタクとは「特定の趣味分野に生活の時間や所得の多くをかける人たち」を指すそうですが、こうしてみると自分は典型的なオタクであるということが再確認され、げっそり…。ま、この特定の趣味分野が「アニメ、コミック、アイドル、ゲーム」などではなく、単に何か特定のものというのなら、虎キチ、Jリーグフリークはじめ、日本の成人のかなりの割合はオタクでしょうけれども…。あ、話がずれちゃった。
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by silverspoonsjp | 2004-11-25 22:43 | Trackback | Comments(6)
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しあわせな物語の後ろには、いつも知りたくなかった物語が隠れている。小さいころ、数少ない蔵書(?)の1冊だった「ちいさいおうち」もそうでした。

「ちいさいおうち」は絵本で、丘の上にたつちいさな家が、周りにどんどん街が出来て取り残されてしまったものの、最後にはまた田舎に引っ越すというお話です。
そのふるさとを訪ねる、という記事に惹かれて買いましたが、読む前から何となく、読みたくないようなことも書いてあるという気はしてました。

本なら本そのもの、絵画なら絵画そのものを見るべきで、作者のことを知る必要はないんじゃないかといつも思うものの、知ってしまった後では、作者抜きに作品を見ることは難しくなります。第一、作者について何の知識もなかったにしても、やはり作品を見ればなんとなくわかってしまう。逆に、作者のことを知ってしまうと作品の解釈が限定され、ずいぶん簡単にオチがついた気がしてしまうので、知るのを避けてしまうのかも。

とぐるぐる考えてしまった特集は全体のたった10分の1。読者対象も取り上げる事柄も全然違いますが、かつての「暮らしの手帖」を思わせる雑誌です。今回は松谷みよ子さんのインタビューも掲載。いろいろなカフェに置いてあるのでいつも買わずじまいでしたが、今回は全体的に好きな内容だったので買ってみました。

マガジンハウス
月刊 
680円
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by silverspoonsjp | 2004-11-24 19:17 | 素敵なヴィジュアルの本 | Trackback | Comments(6)
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埼玉県・浦和駅から徒歩7分、浦和ロイヤルパインズホテルと続きになった建物の3階にある美術館です。日本初の「本をめぐるアート」を中心にした美術館とあって、本好きにはたまらない展覧会が多く開かれています。今回は「フルクサス展」を見に行ってまいりました。その感想はまたいずれ…。

以前、こちらで買った図録はパッケージからして変わっていて、もったいないので未だに封を切っていません。この機会に開けてみてみよう…


さいたま市浦和区仲町2-5-1
048-827-3215
月曜休館
HPはこちら
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by silverspoonsjp | 2004-11-23 23:52 | 書店めぐり国内編 | Trackback(1) | Comments(0)
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急遽予定が変更になったため、午後の数時間がヒマになりました。仕事するには天気もいいし(こらこら)、オープンエアのカフェでお昼を食べよう…ついでに図書館に行って、それなら富ヶ谷かな、と思い立ち、代々木八幡へ参りました。

カフェubusunaは小さなお店ですが、図書館のまん前なのでつい寄ってしまいます。で、どうせここまで来たからと、お隣の代々木上原まで出かけてみることにしました。駅にして一駅、歩いて600mです。

海外旅行のときすらそうなんですが、いちおう目的地は決めておくものの、そこへたどり着くまでの方が面白いことがしばしばなので、目的地ではたいてい泊まるだけになってしまいます。無事着いたあとでも、ちょっと隣の駅まで行ってみたりするのが癖なんです。

で、今回も、駅前の文教堂書店をのぞいてから、道なりに坂を下りてみると、すぐ左手に小さな看板をみつけました。古本 Los PAPELOTES。ひょいと覗くと、とても面白そうなお店です。

外のスタンドには「Switch」のバックナンバーが差してあり、中は木造で、ちょうど「ジャーナルスタンダード」とか「パパス」とか「ポールスミス」とか、メンズ系のブティックっぽい雰囲気です。

洋書・和書問わず、アート系雑誌のバックナンバーや写真集が並んでいます。店の奥は半地下になっていて、カレル・チャペックの文庫や、評判の良いコミックがセンスよく並べてありますが、すごく変わった品揃えというわけではありません。値段ももちろん定価以下です。
街の古本屋さんなら普通に置いていそうな本でも、セレクトと並べ方のセンスでここまで人をひきつけることができる、という見本みたいな本屋さん。駅からほんの数十メートルです。

ちょっと年季が入ってる素敵なレストランとか、とぼけた味わいのカフェなんかもあるし、坂がちだし(坂のある町が好き)、いいところですね、代々木上原は。
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by silverspoonsjp | 2004-11-20 18:53 | 書店めぐり国内編 | Trackback | Comments(4)
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一瞬、とろくばぐ…と読んでしまうこのお店、場所は神保町交差点のまん前、地下鉄の駅を出てすぐだというのに、ここを待ち合わせ場所に指定して人に会えたためしがないという、隠れ家っていうか何ていうかなお店です。

靖国通り沿いにある「壱眞珈琲店」とならび、神保町の「ガルリカフェ系カフェ」四天王のひとつです(勝手に命名)。「ガルリカフェ系」とは別にそこのチェーン店というわけではなく、重厚なカウンター中心の店構え、カップが凝っていて、珈琲の抽出法に一家言あり、黄色主体のライティングで暗めの店内、どちらかというと女性好みの内装、というカフェでございます。 
ちなみにあとの二つは「プリマヴェーラ」と「ガルリカフェ」です。

こちらは地下にあるうえ分煙ではないので、居心地がいいかどうかはひとえに他のお客さんの喫煙状況にかかっているのですが、今のところあまり燻された経験はございません。濃い目の珈琲が好きな方にはお勧めです。

↓のHPに内装など詳しく出ていますのでご覧になってみてください。

千代田区神田神保町1-12-1富田メガネB1
平日  10:00~19:30
土・祝  12:00~19:30
TEL:3294-8597
HPはこちら
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by silverspoonsjp | 2004-11-19 22:49 | Trackback | Comments(8)

【江戸川橋】リムアート

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(←写真はお店のHPから)

注意!】 2005年5月、お店は恵比寿に移転になりました!
池袋のcafe pauseで、陳列してある本の入手先を尋ねましたら、教えてくれたお店です。カフェに本を貸し出し、貸し出し先に販売も委託するという新しいビジネスモデルを展開しているようです。

書店は江戸川橋の駅を出て5分も歩くと見つかります。かなり地味なエリアであるこの駅で、ちょっと変わった服装をした人が降りると、たいていここへ来るみたいです(笑)。東西線早稲田駅からも来られます。

1階がギャラリー兼書店、3階はギャラリー兼カフェになっており、床が白木、壁を白に塗ってあるほかは、全体として飾り気のない、美術大学のアトリエみたいな雰囲気のお店です。

置いてある本は美術書のみですが、豪華な特装本などではなく、ファンシーではないにしても、ちょっと雑貨的で洒落た雰囲気のあるものです。どれも素敵で迷いましたが、1冊、チェコで出版されたこの本を買いました。


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ギャラリー併設のため、大きな展示があると書店は閉めてしまうそうです。

12-20時
木曜休
詳細はHP↑から。
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by silverspoonsjp | 2004-11-17 22:12 | 書店めぐり国内編 | Trackback | Comments(0)

【神保町】松村書店

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ぼけーっと靖国通りを歩いていたら、突然この看板にぶち当たってびっくり!凄いインパクトじゃございませんか?書店の名前には見覚えがあるけど、きっと関係はないはず…と思いつつ、この笑顔につられて路地を入っていくと、瀟洒なビルの2階にお店がありました。

階段に立てかけてある看板は正しく以前の老舗のもので、やっぱり関係がありそうです。洋書、美術書主体のコージーなお店をぐるっと見渡したあとで伺うと、似顔絵の主が事情を説明してくださいました。こちらは先代が別館として考えていらした場所だったのだそうですが、先代が亡くなった関係で、本館の方を手放してしまわれたのだとか。

神保町は、アメリカ軍の爆撃は免れたけど地上げ屋の襲撃に負けた、とはいつも言われることですが、同業として継ぐなら何か配慮があってもよさそうなものなのに…跡を継ぐ人がいるにもかかわらず、代替わりで古本屋さんが無くなってしまったら、それはそれは悲しいことです。

ここで私がもっとお金もちだったら、じゃ、この棚一段包んでください!と言うところだったんですが、残念ながらそういう訳ではないため、一冊だけ(しかも幾らでもない本…)をお願いしました。にもかかわらず、大変丁寧に応対してくださって嬉しかったです。

神保町1-11 佐藤ビル2F
3295-5678
日・祝休(営業の場合もあり)
11-19時
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by silverspoonsjp | 2004-11-16 21:58 | Trackback | Comments(2)