本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
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何だろう、と思わせる美しい表紙が印象的です。

表題作は、熱風の惑星サラーハで風を呑んで暮らす生物たちの物語。
表紙の絵は彼らを描いたものです。
彗星の衝突を予見した彼らは、かつて老ヴォールの話していた「別のサラーハ」を思い出します。滅亡の前に何とか他の世界と交信したい…そんな彼らの切ない願いは叶うのでしょうか。

  降伏の点滅を確認すると、クーリシュは降下し、ソンボーの下に回り込んだ。
  「やあ、ソンボー。六百五十日前は世話になったね」
  「クーリシュか。気まぐれで乱気流から助けてやったのが仇になったな。あの時の礼がこの仕打ちか?」
 「恩を仇で返したりはしないよ。今日は喧嘩じゃなくて話し合いに来た」
  (中略)
 「夜側に行って嵐から離れよう。食事はあきらめておくれ」

  
会話のやりとりになぜか宮沢賢治の「やまなし」を連想しつつ、ラストシーンではSFを読んでて初めてボロ泣きしてしまいました。

他にも、陸のない惑星へ墜落してしまった男の物語「漂った男」など4編が収録されています。巻頭作品「ギャルナフカの迷宮」を読むと、努力、友情、勝利をそのまま小説にするっていうのは何だかなーと思わなくもないんですが、ヘンに斜に構えてるうえ暗くてジメジメ、希望のないSFばっかり読んでいると、こういう楽天的な、人間の良識を信じるタイプのお話にしみじみしてしまいます。

そうですよ、SFには明るい未来や人類の知恵を讃えるものだってたくさんあるんだから…。

ISBN 4150308098
早川文庫
小川一水 著

中編
ハードSF度   ★★★☆☆(「竜の卵」を★5とカウント)
ファンタジー度  ★★☆☆☆ SF(サイエンス・フィクション)度 
個人的好み   ★★★★☆(表題作がとても好き)

〈お好きかも〉
日本人作家の作品が読みたい方
叙情的な作品が好きな方
トラウマになるような暗い作品はイヤな方
ジュブナイル系の読みやすい文体です。

追記:今頃気づいてすみませんが、本書所収の「漂った男」が2006年度星雲賞短編部門を獲得しました。おめでとうございます!

その他のオススメはこちら
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by silverspoonsjp | 2006-07-29 02:10 | センス・オブ・ワンダーの本 | Trackback | Comments(0)

本を朗読する

皆様こんにちは。今ごろになって梅雨が戻ってきたようなお天気でございますね。

さて、「声に出して本を読む」「朗読を聞く」というのは、お子さんがいらっしゃるご家庭ならともかく、普通はあまり機会がないですよね。

「指輪物語」愛読者の皆さんで朗読会をやっていらしてお邪魔したこともあるんですけど、どなたもとてもお上手(*^^*)。あんな風に読めたらなあと思っておりましたところ、NHKで講習会があるというので覗いてまいりました。

会は世田谷の砧にあるNHK研修センターで行われました。講師の先生を囲んで1日がかりです。発音訓練とか腹筋とか、やるのかなあと思っていたら、全然違いました。

現代文の朗読の基本というのは、いかに普通に話すように発音するかに尽きます。言うと簡単ですが、やってみるとこれは至難の業です。

第一、書き言葉と話し言葉は違うので、文字で書いてあるものは大抵の人が「読んで」しまいます。自分では気が付きませんが、「読んで」いると、全体に「赤城の山は今宵かぎり…」みたいな「節」がついているんです。

また、学校演劇などをやったことのある人は台本を読むときのようなヘンな癖がついているので、本を読むと非常に不自然に聞こえます。

これをどうやって直すのでしょうか?

まず、日本語のアクセントについて説明があります。「橋」「箸」「端」のアクセントの違い、わかりますか?最初の「橋」と最後の「端」は単語だけ発音するときは同じですが、助詞の「を」を後ろにつけるとアクセントが変わります。

次に「プロミネンス」についての説明です。この言葉、私は初めて聞きました。文章の中である単語をくっきりさせたいときの「強調」という意味で、例えば

これは 赤い 花

という時、強調したい単語を少し高音で発音する、というやり方です。
早速皆練習しましたが、「これ」を強調するのが一番難しかったです。「これ」を強調するつもりで、「は」を強調しちゃうんですよね…。

そしてイントネーション。 
朗読の場合、聞いている人は耳だけが頼りです。意味のつながりはイントネーションによって左右されるので、これを間違えたら大変です。

「本はおいて、いこう」
「本は、おいていこう」

のイントネーションの違い、わかりますか?受講生たちはもちろん違いがわかっていましたが、実際発音してみるとどちらも同じに聞こえちゃう(…)

標準語をしゃべる人でも、長い文章を読んでいると、後ろに行くにしたがってイントネーションがどんどん下がっていってしまいます。

「緊急の措置をとる必要があると言っています」

というように、最後の「言っています」に前の要素がどんどんかかっていく文章では、途中を切ってしまうと意味が変わってしまいます。切らずにどう読むか。難しいー!

ニュース原稿みたいな文章ならまだしも、文芸作品、ことに日本の作家の書く文章は、後ろにベタベタと要素がかかってゆく「緊急の措置」系が非常に多いようで、意味のつながりをまとめて朗読するのにはかなりの困難が伴います。

それから、他の受講生の練習を聞いていると、20代以下の人たちは全員、自分でも気づかないうちに語尾を伸ばしていました。すごく極端にいうと

「これはぁ 赤いぃ 花」

という感じです。演劇をやってる人にもこの傾向がありますが、なぜこれが耳障りなのかというと、この後ろを伸ばすというしゃべり方は、「我を通す」「念を押す」ときのものだからです。(だから、自分の言ってることを強調しようとして助詞にアクセントを置くのは逆効果だということです)
しかも、語尾のばしをやると、それに続く語の出だしがどんどん下がっていってしまい、聞きづらくなります。気を付けないと…

1日がかりだったけど、こりゃ奥が深いな、と思って終わってしまった研修でございました…。
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by silverspoonsjp | 2006-07-17 10:52 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(4)
銀座松坂屋の地下二階にインテリアショップがあるんですが、その一角に設けられた本屋さん。真ん中に平台を置き、三方を白い書棚で囲んだ小さなスペースですが、とても気に入っています。好きな理由は、

・置いてある本がきちんと選ばれた、良質な本ばかりだから。
 配本されたから並べている、という受動的な品揃えでなく、手元に置きたいような本を揃えています。

・棚分類に工夫があること。
クレパスで描いたような書き文字で、旅、とか東京、いかにも読みたくなるジャンル分けになっています。

・開かれたスペースであること。
インテリアショップの一角にあるので、本に用事がない人でもひょいと立ち寄れます。

平台ではヴィム・ヴェンダースの尾道写真集、シャンテシネの映画、の2つの特集が展開されていました。大型書店に行くと疲れちゃう人に心よりお勧め致します。

finerefineのHPはこちら。「finerefine's clip」というコーナーに素敵な本の紹介があります。
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by silverspoonsjp | 2006-07-16 20:24 | 書店めぐり国内編 | Trackback(1) | Comments(0)

図書館の学校

「図書館の学校」という雑誌、私は初めて読みました。

NPO会員向けの雑誌らしく、発行母体のスタンスが今ひとつわからなくはありますが、本好きが読んでも面白い記事が満載。

フランスで行われている、高校生が審査員の文学賞「ゴンクール・デ・リセアン」のレポートは感動的ですらありましたし、永江朗さんの「本はどのように生み出されているのか?」といった連載記事も興味深いです。私が見た2006年の71号では、「読書ばなれの根拠は?」というテーマで、いわゆる「読書ばなれ」とその根拠になるべき読書調査との関係について鋭い考察がなされています。

と、マジメぶりっこしてますが、実は記事の中でも特に、市立室蘭図書館長さんの日誌が気に入ったんでした。

本を借りに来た女子高生。おばあちゃんから小林多喜二の「蟹工船」を勧められ(すごいよ、おばあちゃん!)、「カニ光線」のレーザーは分かるけど、「カニ」って何だろうと思ってた、という話。


「カニ光線」!


すごく読んでみたいかも。
きっと舞台は道頓堀ね(それは「かに道楽」や、ちゅうねん)。
すぐ映画化もできそうだわ!どうですか、松竹さん!

「図書館の学校」のHPはこちら。公立図書館や大学図書館では閲覧では、閲覧できるところもあるようです。書店に置いても結構売れるのでは?と思いますが…。
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by silverspoonsjp | 2006-07-10 20:45 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(4)

ゼロ番ホーム

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京都駅で嵯峨野線に乗ろうと、電光掲示板を見たら33番ホームだった。

33番?

京都駅ってそんなに大きいんだ…と感動しながらきょろきょろしたけど15番以上の数字が見当たらない。

しょうがないから駅員さんに聞いたら、15~29は欠番で、0番線と同じホームが30番になってると言う(構内図を見ると、1番線もない)。
ヘンなの。

0番線っていうのも凄いなあ…。
ハリー・ポッターの9と3/4番線ホームと良い勝負かもしれない。
ここから乗ったら関空に行くそうだから、ある意味似た者同士かも…。

「ゲゲゲの鬼太郎」で売り出し中の米子駅にもゼロ番線ホームがあって、こちらは「霊番」のシャレだそうですが。

京都駅構内図
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by silverspoonsjp | 2006-07-06 23:16 | プチ日記 | Trackback | Comments(0)
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ワールドコン勝手に応援企画と致しまして、面白かったSFをオススメするシリーズ企画を作ってみました。その1とか言って、思い出したようにたまーに続きが登場するかと思いますが、その辺は適当適当。

皆様からのオススメSFのTBも歓迎致します。(お願いしておいて何ですが、迷惑TB対策を設定してあるため、こちらへのリンクが入っていないとエラーになる場合があります。申し訳ありません)

なお、個人的に好きなSFについての記事はこちら

さて、記念すべき第1回はレイ・ブラッドベリの
 「ウは宇宙船のウ」
でございます。

SFはほとんど読んだことがない、という方にはこのあたりが入門として良いかも。

原題は‘R is for Rocket’。
短編を集めた作品集です。

Rocketって言葉自体、何となくノスタルジックな響きがありませんか。
ちょうど人類が宇宙に初めて飛び出す頃に書かれた作品なので、この本に登場する「ロケット」には夢と憧れが詰まっていて、世間様の宇宙熱はとうに冷めてしまった2006年に読み直すと、ああ、古き良き時代だったんだなあと妙な感慨にふけったりしてしまいます。

16編の作品のほとんどには、タイムマシンやロケットなどSFらしい小道具が登場しますが、お話の中心になっているのは、未知の世界への瑞々しい歓びや憧れ、それを身近な人たちと分かち合う楽しさ、などなど。

ちょうどO・ヘンリーのような、ちょっと昔のアメリカの短編の読んだときみたいに、何かしら救いがあって、でもちょっと悲しい、という気分になります。

それに、例えば本書に収録の「いちご色の窓」なんて作品を読むと、舞台が火星に移っても、この人たちの心性は開拓時代の頃から変わらないんだな、なんてことも見て取れる気がします。

萩尾望都によるマンガは原作の雰囲気を良く伝えている、というかひょっとするとそれ以上の仕上がりかもしれません…

ISBN4-488-61205
創元SF文庫
大西尹明 訳

短編
ハードSF度   ☆☆☆☆☆(「竜の卵」を★5とカウント)
ファンタジー度  ★★★★☆ SF(サイエンス・フィクション)度 
個人的好み   ★★☆☆☆(‘いかにも’なSFではないので★は少ないけど
                 ええ話や…という感じで上手いと思う)
〈お好きかも〉
叙情的な作品が好きな方
SFは理屈っぽいから苦手、と思ってらっしゃる方
O・ヘンリーのファン
アメリカ短編集が好きな方
ミステリーファンも好きかもしれない
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by silverspoonsjp | 2006-07-04 22:54 | センス・オブ・ワンダーの本 | Trackback | Comments(0)
商売がら一番怖いもの。
それはコレ→です。
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〆切地蔵!

悪病に取り憑かれてるヒマなんかなかろう!というココロでしょうか(違うと思う)

意外にも関係者がお参りした痕跡はございません。
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by silverspoonsjp | 2006-07-02 21:33 | プチ日記 | Trackback | Comments(4)