本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
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モラルと裁量のつづき

8月28日の記事にコメントをありがとうございました。
お返事を書き始めたのですが、長くなったのでエントリーに致しました。もう少々お付き合いくださいませ。

モラルの面で問題のある記事を掲載しているのは、一社だけではありません。こと動物愛護に関して言えば、意識がどんどん変わってきていますから、むしろ、ようやく問題として認知されてきたというべきでしょうか。もちろん、昔の認識に逆戻りするようなことは、あってはならないと思います。

一方で、作家に世間並みの常識を求めることが果たしてどうなのかという疑問は常にあります。

作家はジャーナリストではなく言葉を使う芸術家ですから、真実や社会正義を追究する立場にはないわけです(ただし、同じ社会に住んでる以上、最低限守るべきルールはあるので、何をしてもいいという意味ではありません)。

公序良俗から言えば受け入れがたい、不倫だの食人だのドラッグ吸引だのの体験談であっても、出版にノーというか迷うというのはそういう点においてです。さらに言えば、言論の自由は最大限保証されるべきであり、どこで出版不可の線を引くかは悩ましいところです。

私なら女性を侮蔑するような内容の本は書き直しをお願いするでしょうが、男性編集者なら気づきもせずに通してしまうかもしれません。ドラッグや飲酒、喫煙を賛美するような本を出してよいのか?偏見を助長するような本を出してよいのか?私の答えはノーですが、市場にはそんな内容の本があふれています。また、検閲まがいの行為を嫌い、言論の自由の方を重くみる出版社だってあるでしょう。

ただし、「これほど問題があっても出版する」というのであれば、内容に公の場に出すだけの意義を認めたからということになります。つまり、社として流通を容認したわけであり、著者の作品だから出版社は関係ない、とは言えないでしょう。内容に責任を持たなければいけないのは当然です。

さらにいうと、単行本ならば、ある程度選択が働きますけれども、新聞の場合は定期購読していれば、いやでも目に入ってしまいます。ですから、いくら署名記事でも、内容の確認や紙面掲載の是非は厳しく検討するべきだと思います。当然、記事を掲載するかどうかは新聞社の裁量なのですから、載せたことに対して責任があるのは当然だと思います。ですから、掲載について抗議を受けた場合、社としては妥当な内容と判断して掲載した、と答えるのが筋ではないでしょうか。
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by silverspoonsjp | 2006-08-31 23:59 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(3)

モラルと裁量

皆様こんばんは。

時事問題はこの場にはあまり持ち込まないつもりでしたが、今回は本と無縁ではない話題で、かなり考えさせられたので取り上げてみました。

ご存じの方も多いかと思いますが、「日本経済新聞」に掲載されたエッセイに関することです。
この問題についての「毎日新聞」による解説はこちら↓です。

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060824k0000m040165000c.html

いつまでリンク先が保存されているかわかりませんので概要を記すと、小説家が新聞紙上に寄稿したエッセイが「飼い猫を避妊するより、敢えて子猫を処分することを選んだ」という内容だったため、新聞社に抗議が殺到している、というものでした。

この問題について、私は新聞社に抗議をされた方から伺って知りました。エッセイを書いた本人はもとより、このような文章を掲載した新聞社にも社会的責任がある。実際に飼い猫の保護にたずさわり、いろいろご苦労もされている方のことですから、このように思うのは当然のなりゆきです。

ただ、私がここで考えようとすることは内容の是非ではなく(もちろん、内容に非があると思う人が多いから問題になるわけですが、いったん置いて)、掲載の是非についての問題です。

自分が新聞社の立場だったらきっと困っただろうな…というのが、話を伺った直後の偽らざる感想でした。エッセイの作者は問題提起を目的として書いたという趣旨のことを冒頭で明言しています。そうなると、このエッセイの掲載を断るということは、問題提起をする自由を奪うということになりかねません。しかもこの欄は著者の名前が出る記名記事なのです。

マスコミがスポンサーや圧力団体の意向にへつらって、記事を掲載するまえに自主規制してしまう…という書き手側の怨嗟の声はこれまでにも聞いたことがあります。しかも、相手が直接抗議してこないというだけで、書く側のモラルとしてどうかと思う記事は他にもたくさんあるではありませんか。

しかし、そこまで考えたところで、私は思い直しました。これが記者の書いた文章なら、恐らくこのままでは掲載されないでしょう。社の方針としては載せないものを、記名原稿なら載せるというのもおかしな話です。いまどきは忘れてるのかも知れませんが、新聞がまだ社会の木鐸、天下の公器なのだとすれば、動物愛護の精神にもとるような文章をフリーパスで載せてよいとは思えません。

これほどネット上にタイムリーな情報が溢れているというのに、まだ既存メディアに存在意義があるのだとすれば、それは内容にチェック機能が働いていると読み手が信頼を寄せているからではないでしょうか。それを自ら破壊しようとは…。

しかしそれでもなお、心の片隅では迷うところもあるのです。新聞社として、何らかのコメント付きだとしても載せてはダメなのか。新聞ではなく、雑誌だったら?この作者個人が単行本として出版したいと言ったら、出版社はノーと言うのか?

否が圧倒的にせよ、いちおう賛否両論ある問題についての原稿は、提出された側なら、どう考えれば良いのでしょうか。
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by silverspoonsjp | 2006-08-28 23:02 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(4)
こんばんはー。

かなり前のものですが、今日、指輪仲間の皆さんとお話してたら、意外に知られてなかった動画ネタです。どんなものかお知らせするとお約束したので、こちらにURLを載せときます。

それでは、以下の3本をお楽しみに!んがぐぐ。

1.ボロミアの透明電話
これを見て以来、エルロンドの会議の場所でいつも笑っちゃいます(いろいろパロディにされてるシーンではありますが…)。今度、劇場でLotRを上映するときはOFF電のお知らせに使ってほしい(爆)
動画はこちら

2.オークさんに連れられて行っちゃった…
レゴラスの必死の形相にちょっとビビってるアラゴルンが一番おかしかったと言ってもいいですか。
動画はこちら

3.良い子はもう絶対絶対しません!
MTV Punk'dから。「どっきりカメラ」みたいな番組です。
今回の標的はイライジャ・ウッド。わたし相当ファンなので、出演作とかビデオクリップとかずいぶん見ましたが、今まで見たうちでは最高でした。斜め上からのアングルも良かったし、首は細いしね!(真っ正面から撮ると、すごく太く見えるのに…つまり、顔がそれだけ小さいということですな)。演技っぽく見えなくもない…けど、どうなんでしょう?

素だとすると、えーーーーーーっと...いたいけな乙女子供をいぢめちゃダメじゃないですか。むしろリブちゃんの代わりに彼がエルフの王女さまをやった方が似合ってたんじゃないでしょうか(^^;)
動画はこちら

3の内容の説明はこちら
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by silverspoonsjp | 2006-08-19 23:57 | プチ日記 | Trackback | Comments(12)
皆様こんばんはー!台風一過、東京はさっぱり涼しくありませんが、如何お過ごしですか?

さて、翻訳をするには外国語はもとより、まずは日本語能力を磨かないとダメだなーと痛感していることもあり、このたび俳句のワークショップに参加して参りました。

実は私にとりまして、俳句は大いなるトラウマ。今の季節の季語って何なんでしょー?とか、切れ字って何だったっけー?とか、基本がまるでなってないくせに、芭蕉ってお庭番だったんだよね?とかクダラないトリビアはよく仕入れてる、といったことは些事でありまして、第一、どんな俳句が良い俳句なのか見分けることができないという、致命的な欠陥があるのであります。

よく教科書に載ってる

鶏頭の 十四五本も ありぬべし

とか

桐一葉 日当たりながら 落ちにけり

とか、読んだ日には、感想は一言、

で?

いや、これではオトナたるもの恥ずかしいではないですか。前々より、俳句のわかるカッコいいオトナになりたい!と憧れておりましたので、渡りに船とワークショップに参加してみました。

ワークショップは中学校の国語の授業で俳句を教えると?という設定で進みます。ハッキリ言って中学生レベル以下の私は戦々兢々としておりましたし、第一、俳句なんて教わってできるものなのか疑問に思いつつ臨んだのですが、結果としては大変面白かったです。

初めに、子供たちの作った俳句が数十句並んだプリントが配られます。各句のところどころが虫食いになっていて、そこを埋めていく趣向です。30人ほどの受講生がいましたが、意外に入る言葉はバラバラになるものですね。たとえば、

のぼりぼう のぼっていくと ○○のそら

あさがおが あさつゆのんで ○○○する

皆さんなら何を入れますか?(答は記事の最後)

最初の句なんてなかなか良いんじゃないの?と思ったんですが、松尾芭蕉のコスプレ 再現衣装に身を包み、熱血指導してくださった先生によると、季語を置き換えてしまえるような句は検討の余地があるとか。こんな風に実例を通して俳句の楽しさを学んでいきます。

次のステップは、この例句の中から1語を選んで、残りの語は全部変えて別の俳句を作る練習。とは言ってもすぐには無理なので、選んだ語から連想できる語を考えるゲームをして、そこからイメージを掴んでいきます。

その次は、いよいよお題が出て創作。講師の先生も実例を挙げてくださいましたが、自分では良い句だと内心思って教室で示すと、子供たちから鋭い指摘を受けてギャフンとなった話などをしてくださり、大笑いでした。そして最後に短冊に自作の俳句を書いて回し、各人が良いと思った句を詠んで講評する「句会」が催されます。全然気に入ってもらえなかったらどうしよう…と、ものすごくドキドキしましたが、選んでくださる方がいてホッとしました。

講師の先生は学校で国語を教えていらっしゃる方ですが、さあ書いてごらん、詠んでごらん、話してごらんでは指導ではない、どうやって書かせるか、読ませるか、それを考えるのが教育なんだとおっしゃってました。さすがですねー。こういう先生に習っていたら、きっと俳句が大好きだったでしょうに!

一瞬たりとも退屈しなかった俳句の授業、すっかり俳句のトリコになった3時間でした♪皆さんも夏休みの遊びとして句会なんて如何でしょうか?

穴埋めのこたえ
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by silverspoonsjp | 2006-08-09 23:29 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(9)
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小説の面白さ、というとストーリーの面白さと同義のように考えがちですけれども、「星を継ぐもの」の面白さはもうちょい違うところにあります。

もちろんストーリーも面白いです。
イギリスの科学者ヴィクター・ハントは、突然アメリカへ呼ばれます。
理由は、月面で発見された遺体を分析するため。
何をそんな大げさな…と彼ならずとも思いますが、チャーリーと名付けられたこの遺体は、なんと5万年前のものだったのです。
なぜそんな大昔に人類が月にいたのか、そもそも「チャーリー」は人類なのか…。

この謎を解くため、古生物学、数学、言語学…等々のエキスパートが仮説を立て、議論を進めていくくだりが物語の中心になっていて、その過程がエキサイティングで面白いんです。

「サイエンスフィクション」たるゆえんが舞台や小道具だけではなく、「科学的な手続きによって議論を進める」という物語の進行そのものにあるのが斬新。
読み手も、自分もメンバーとして真相究明に参加しているような、臨場感あふれる読書体験ができることでしょう。

沈着冷静なハント、切れ者のコールドウェル、科学者魂あふれるダンチェッカーなどキャラクターも魅力的ですし、遺品が解読されていくにつれ、ただの分析対象でしかなかった「チャーリー」にも親しみが湧いてくるのがまた不思議です。

エピローグの余韻も、爽やかな読後感を与えてくれます。

ダンチェッカーの発言から取られたものと思われる、本のタイトルも印象に残ります。原題は“Inherit the stars”。うまい訳ですね。

ジェイムズ・P・ホーガン
東京創元社
ISBN 4-488-66301-X

長編
ハードSF度   ★★★★★(「竜の卵」を★5とカウント)
ファンタジー度  ☆☆☆☆☆  
個人的好み   ★★★★☆

〈お好きかも〉
ミステリーが好きな方
SFらしいSF作品を読んでみたい方
重く心に残るよりも、爽やかな読後感を求める方

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by silverspoonsjp | 2006-08-04 21:17 | センス・オブ・ワンダーの本 | Trackback | Comments(4)