本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
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<   2006年 11月 ( 7 )   > この月の画像一覧

とある官庁に行ったら、国会答弁の様子が流れていました。音だけしか聞こえませんでしたが、切れ切れに聞こえる内容だけでも、背筋が寒くなりました。

自国の国旗や国歌を愛さないのは国際人として恥ずかしい、とか。
今だに卒業式で国歌を歌わせない学校がある、とか。

民主主義の国でこんなこと言う人がいるのが恥ずかしいですよ、私は。
ま、民主主義だから何でも言っていいのは、ありがたいですけどね。

誰しも郷土は誇りに思うし、日本国民なら強制されなくたって日本を愛しているでしょう(と私は思う)。それをわざわざ「何かに服従する」という形で示させようとするからには、きっと何か裏があるはず。

強制に逆らうことができない雰囲気を作ろうとしてるのはもちろん恐いけど、
「愛国心を養う」本当の意図が、別のところにありそうなのが一番恐い。

大抵の国では、愛国心を強調するのは戦争をするため。
愛する祖国のために、なぜか遠い砂漠の国で死んだアメリカの人たちのようにはなりたくない。

国の方針にちょっとでも逆うと「非国民」よばわりされるようでは、冷静な判断なんか出来ません。「愛する者を守るため」「愛する祖国のため」なんて甘いキャッチコピーに騙されて、関係ない戦争に首を突っ込むと、それで得をする人たちはともかく、長い目で見れば、結局日本国民のためにはならない。しかし、国益にならないとわかっても批判できない。つまり全然愛国になってない。その結果が、大量の国民の犠牲と負の歴史遺産なんて、一度失敗すれば十分です。

いまの国歌も国旗も、負の歴史が染みついている。
周りにとやかく言われたくないっていうなら、変えたらいいじゃないですか。
日本はクリエイティブな国だもの。いくらでも良いのができると思う。
そしたら私も胸を張って歌います。

いつまでも日本が悪口言われるっていうけど、そりゃ言いますって!
日本だっていつまでも「ヒロシマ・ナガサキに原爆を落とされた」って抗議するでしょ。
抗議しない方がおかしい。
日本が抗議するのは、地球のどこかで同じ惨禍が起こって欲しくないからだと信じてます。

村上春樹さんが書いてたけど、「上を向いて歩こう」が国歌だったら嬉しいな。
暗い?じゃ、「幸せなら手をたたこう」で手をうってあげてもいいです(日本の曲じゃないみたいですが)。そしたら皆で歌えるもんね。日本の人だけじゃなくてもね。
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by silverspoonsjp | 2006-11-23 03:16 | プチ日記 | Trackback | Comments(18)

大掃除 退却編

さー、準備編に続けて、行きますよ!

2.下ごしらえ編
・掃除を始める前までに、ストックの野菜などは使いきっておきます。
 冷蔵庫は空っぽに。
・カーテンを全部外して洗濯機にぶち込み、水を張ります(縮むタイプのはやめておきましょう。次買うときは、自分で洗えるカーテンにしましょうね)。
・ブラインドを洗う人は、外して洗剤とお湯を張った湯船につけます。
・窓を全部開けます。
・洗面器にお湯を張っておきます。

3.最初に手を付ける場所
・それは、台所です。
 シンクを洗って、お湯を張ります。
・電源を落とします。
・換気扇を外して、シンクのお湯につけます。
・ガスレンジなど、汚れのひどい箇所をから拭きし、洗剤を吹き付けます。上からティッシュをかぶせて湿布のようにします。
・照明も汚れていたら、同じように湿布します。
・電源を戻して、とりあえず、これでいったん退却~。
・洗濯機を回します。

4.次に手を付ける場所
・一番奥の部屋です。
・掃除用具一式と洗面器を持ってきてください。
・段ボールを持ってきて、組み立ててください。
 1つはこれからも使うもの、1つはもう使わないもの、もう一つはよくわかんない♪もの用です。
 押入があれば押入、引き出しがあれば引き出しの、一番上の棚から始めます。
家具以外、全てのアイテムをこの3つのどれかに入れてください。(入らないサイズのものは、箱の手前に置く)。
・使わないものの段ボールがいっぱいになったら、即、外へ出してください。わかんない♪ものは家がどんなに大きかろうと、段ボール一人一箱限りです。
・ものを動かした場所をすかさず掃除します。棚、棚板、引き出しなど。から拭きを忘れずに。
・使うものだけを元の場所に戻して、部屋全部の作業をします。
 終わったら、わかんない♪の箱を次の部屋へ移動。

・次に、天井に掃除機をかけます。はたきがけをすれば尚良し。
 掃除機の場合、「はばき」アタッチメントがあると便利。
・台所用洗剤を使って、照明器具を拭き、雑巾で水ぶき、から拭きをします。
・新聞紙で窓を拭きます。インクの油分で汚れが落ちます。
・サッシの枠などをから拭き。溝は歯ブラシを使ってこすります。
・机や電気製品を拭きます。
・床を掃くか、掃除機をかけます。
・フローリング・畳ならから拭きします。ワックスを掛けたい人は、全ての掃除が済んでから。

居室はすべてこの要領。

5.お風呂の掃除
・ここも基本は奥から外、上から下です。たいていのお風呂では、外とは、居室側になりますが…。掃除機を持って入れるようなら、換気口の埃を吸い取っておきます。
・ブラインドを漬けておいた人は、すすいで外に干します。
・壁が汚れていたら、洗剤をかけて湿布しておきます。マスクをして作業した方が良いでしょう。
・湯船をスポンジで洗います。お湯で十分落ちるはず。温度が調節出来る人は44度にしてくだ さい。脂を分解します。どうしても落ちなければ、お湯に重曹を溶かして漬けておきます。
・洗面台を掃除します。
 要らない備品、試供品などはこの際処分。
 洗面台の汚れは歯磨き粉と歯ブラシで落とします。
 鏡や蛇口など、金属の部分はナイロンストッキングで磨くとピカピカに☆
・トイレも同じ要領で。

6.台所の掃除・漬けておいた換気扇や湿布をした箇所は熱いお湯ですすぐと、簡単に汚れが落ちると思います。
・電源を落として、換気扇を取り付けます。電源を入れます。
・吊り戸棚、シンク周りのアイテムを、段ボール箱に仕分けします。期限切れのもの、使わない鍋・食器などは「使わない」の箱へ。モノを移動した場所はすばやく掃除します。
この後も使うものを元の位置へ戻します。
・食器棚も同じ要領で整理します。残すものが決まったら洗い、熱いお湯ですすぎます。
 ガラスのコップなどは重曹を使うとビックリするほど綺麗になりますが、粒子が非常に細かいとはいえ磨いているということですから、正確に言うと、細かいキズをつけてることにはなるんですが…。乾いたら食器棚にしまいます。
・シンクを洗います。落ちにくい汚れは歯磨き粉をつけて、歯ブラシで磨きます。
・最後に、ストッキングで拭くとピカピカ☆
・フリーザーの中を拭きます。
・床を掃除して終わり。

7.玄関の掃除
・靴箱も、要るものと要らないものを仕分けし、棚を拭きます。
・窓を拭いた新聞紙を水に濡らして玄関に落とし、外へ掃き出します。(拾っておいてね)

8.カーテンをかける
・乾いたカーテンをかけ直します。

9.段ボールの整理
・「使わない」ものの段ボールを開け、リサイクルできるものは「よくわかんない♪」に移動します。残りはもったいないけど、処分しましょう。分別してゴミ袋に入れます。
・「よくわかんない♪」には1ヶ月以内の時間がとれる日の日付を書き、部屋の隅に置いておきます。その日になっても使わないものは結局死蔵する確率が高いので、思い切って処分しましょう。
・思い切ってモノを減らしていれば、置き場所を工夫して部屋を使いやすくすることも可能です。

お疲れ様でした~。
ちなみに友達ですが、モノを仕分けして捨てないと掃除できない、と言ったら、考えとく、と言われてしまいました。

もちろん、何もモノがない家はすっきりしてるといえばそうですが、実は飾り付けのセンスがないから、モノを減らすしかないということなんです。
モノがたくさんあって、なお片づいた感じに見える、あるいは居心地良い感じがする、というのはとてもステキですが、上級者のテクニックで、私には到底真似できません。そういうお家にお邪魔すると、羨ましいですけどね…ちなみに、一人暮らしのころの私の部屋は、病室のように色気がないということで、名字を冠して○○病院と言われていました。すっごい居心地悪かったらしいです。
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by silverspoonsjp | 2006-11-22 00:11 | プチ日記 | Trackback(1) | Comments(6)

大掃除 準備編

クールビズになってから、半袖の仕事着に出番が増えました。
しかし冬はまだまだです。
年々、冬物の出番が少なくなってます。何しろ、電車に乗った瞬間から焦熱地獄。駅まではぶるぶる震えながらも、コートは着ないで過ごします。会社も暑い!晩秋なのに!!

そのうえ、今年は秋が長いような気がします。
すごく寒くなる日もありますが、なぜか半袖オックー!みたいな日もあって困りました。
でもさすがに11月も半ばになって、すべての夏物はしまいましたけど…

年に二回のこの衣替えの翌日が、私には天国の日なのです。
衣替え、それは来年はもう着られないなぁという服や、ヨレヨレになったタオルを処分する日。
大量の雑巾が天下御免で入手できる日。そう、お掃除し放題の日なんです。

何を隠そう、私は掃除が大好き!!
いえ、私の家は散らかってますけどね(おや?)。
周りにもいませんか、しょっちゅうリスのように片づけてる人が。あれです、あれ。

趣味の欄に「掃除」って書くのは止めた方がいいわよ、と就活担当の人に言われたので、さすがにそれは止めましたけど。(←今の人にはなぜだかわからないでしょうが、家事が好きと思われると、どうせ寿退社組だろうと、総合職にしてもらえない時代もあったんですよ…遠い目)
休みが2日続けてあったら、1日は掃除をしていたい、今日この頃でございます。

さて、先日、趣味は掃除と聞きつけて、友達が「マジで掃除に来て」というので、マジで出かけました。

何かの(何のだ…)ご参考になるかもしれませんので、私の段取りを詳しく書きましょう。
プロのハウスキーパーの皆様が見れば、当たり前じゃないの…と言うようなことですが。

1.道具を用意
【服装】
・エプロン…思うさま掃除をするため☆
・マスク…掃除した次の日、風邪引くことありませんか。埃は風邪の元です。
・三角巾…同上
・手袋…念のため軍手。洗剤に弱い人は使い捨てのメディカルゴム手袋1箱があると重宝します。

【道具】
・ぞうきん…古タオルなら縫わなくてよい。10センチ角に切ったものと5センチ角に切ったもの
        ぬらして使う用とから拭き用。
・スポンジ…お風呂用と台所用2個
・破れたナイロンストッキング
・割り箸
・使い終わった歯ブラシ
・ティッシュ一箱
・新聞紙
・段ボール箱、一部屋につき3個(荷物が少ない人は3個でOK)
・掃除機…「はばき」(はたきとして使えるアタッチメント)があると、とても便利
・洗面器2個
・洗濯機
・ゴミ袋

【洗剤】
・重曹一箱…コショウびんに入れておくと便利
・歯磨き粉
・家庭用洗剤…何でもいいですが、アルカリ性のもの。オレンジの皮から作ったのが好きです。

【その他】
・タンス用の虫除け
・食器棚や靴箱に敷くシート
・台所に貼る汚れ防止シート
…など、取り替えるもの。

さて、いよいよ取りかかるワケですが、ここでもう一つ、先に決めておくべき段取りがあります。
それは、全部の部屋を掃除するか、一部分にしとくかということ。

全部の部屋なら、一番奥の部屋から始めます。
一部分なら、すぐ効果の出る小さな部屋(洗面所やモノの少ない部屋)をやってみます。

というところで、長くなったので次のエントリーに続く。
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by silverspoonsjp | 2006-11-21 23:14 | プチ日記 | Trackback | Comments(6)

年末に向けて。

ホントについてなかったトホホな2006年もようやく終盤にさしかかって参りました。早く年が変わってくれと思う心がそうさせるのか、思わず手帳売り場で足が止まってしまいます。皆様は来年の手帳をもう準備なさいましたか。

いつも使うのが決まってればいいんですが、ぴったり合うのがないので、毎年苦労します。
え、どんなワガママ言ってるかって?
私の、手帳に対する要求はですね、

1.月間スケジュール欄中心で使いやすいこと。
2.軽くて薄いこと。
3.A6サイズ。

の3つだけ。これだけなのに~!

私だって「ほぼ日手帳」には、憧れております。
でも、結局荷物が軽くなるという誘惑には勝てません。どうせ書かないし。ってことで、手帳は出来る限り薄くしてます。月間スケジュールだけという手帳もかなりたくさん種類がありますし。

ただ、その月間スケジュールがなかなか難しいんです。
私の仕事は、事前にいつが休みか決めておけないのです。だから、私用はなるべく月単位で最大限メモしておいて、その日スケジュールが空いたら実行する、という風にしてます。
それから、月の予定も一週間単位で把握できるように、ブロックタイプがいい。

ただ、たいていブロックタイプは余白がないので、やりたいことをメモするのに苦労するんです。そこで、ここのところ数年使っていたのは、月のスケジュールの上にメモ欄がいっぱいあるコレ。フランクリン・コヴィーのプランナー。なんか今年は異常に恥ずかしい表紙になってますね…。
カバーを取ればシックなんですけど…(- -)

別にこの手帳で「七つの習慣」を身につけようと思ったわけじゃなくて、月間スケジュールのページが使い良かったんですよ(リンク先のページの下の方で、月間スケジュールのレイアウトが見られるようになってます)。

ただ、私はウィークリーは使わないので、その分厚いのがもったいないといつも思ってました。あと、縦長すぎるのが嫌い。もうちょい横幅があれば、書き込みしやすいのに…(←実は結構うるさい?)。それに、この手帳の精神?にそった書き込み欄が設けてあるんですけど、使わない人には邪魔なだけ。

で、去年はアーテミスの絵はがきが入るサイズのクリアファイルがついてるタイプにしました(去年はもっとシックな柄がありましたが、今年はちょっとゴタゴタしてる気がします)。

これは、土日が続いてないのが使いづらかったんですが、薄くてどんなバッグにも入るし、後ろのクリアファイルのページが以外に使えて重宝したのと、カバーがツヤ加工だったので使いやすかったです。

最近は、カバーがマット加工の手帳が多いですけど、キズがつくと却って目立つし、見返しにポストイットが貼れないので不便。

で、今年も引き続きアーテミスにしようかと手帳売り場に行ったところ、バーチカル・タイプの良いのがあったので、ついそちらに浮気してしまいました。
Lab Clipというメーカーの飛行機シリーズなんですけど、私の買ったのは黒で、リングじゃなくて平とじのもので、HPに出てません。これから載せるのかしら…?

最近時間の使い方がルーズになってきたので、一週間どういう風に時間を使ったかちゃんと確認しとこうと思って…。(去年までこれをしなかったのは、3時間の映画を観る、とかロクでもないことしてたせいかも・地下核爆)

本当いうと、旅行日記用に愛用しているRollbahnのリングタイプが、広がらないし、ファイルはついてるし、リングの部分に筆記用具を差しておけるので一番使いやすいんですが、お客さんの前でスケジュールを書き込むとき、くだけすぎてて失礼かもと心配だったのと、ひと月使ってると表紙がヨレヨレになったので手帳代わりにするのはやめました。

自分でカスタマイズしてプリントアウトして使えばいいんだろうけど、手帳用の紙は手に入らないし、製本できないのが難ですね。さりとて、システム手帳は重いし…。どなたか名案をお持ちの方、教えてください!

ここで、ささやかなアイデアを…。

ポストイットを使う
その日にやりたいこととか、読みたい本のタイトルなどは、スケジュールのページには書かず、1件ずつポストイットに書き出して、開けてすぐ目立つ見返しや扉に貼り込んでいます。

すぐ出来ることは小さな付箋に書き、用事が済んだら剥がします。
いつか出来たらいいなあと思うことは、大きな付箋1枚にいっぱい書き出して、実現したら消していきます。やりたい、と思っていることを書けば、いつかは実現するものです。宝くじに当たりたいとか、他力本願の項目はダメですよ…。

乗り換え路線図を追加する
東京の交通は複雑なので、所要時間を割り出すのは大変です。乗り物に乗っていたりして携帯で調べられないことが多いため、100円で情報誌(「賃貸住宅情報」がいいみたい)を買って、折り込みの所要時間つき路線図を入手し、手帳に挟んでいます。

アイデアついでのおまけ・大学ノートを使ったメモの取り方
この方法を参考にして議事録を書いていますが、ものすごく便利です。

皆様も手帳を使うとき、いろいろ工夫していらっしゃると思います。どうぞアイデアを教えてくださいね!
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by silverspoonsjp | 2006-11-18 23:48 | プチ日記 | Trackback(2) | Comments(2)
ルーマニアの作家、ミルチャ・エリアーデの作品集。

収録されている11編のうち、一番有名なのは「ムントゥリャサ通りで」でしょうね。ただ、この話は手強いので、他のを見てみましょう。

「十四年昔の写真」
この作品は、奇跡を起こすという説教師のもとへ、彼のおかげで妻の病が治ったと感謝しに来る男の物語。男は外国人で言葉が上手くない、という設定になっていて、何とももどかしい会話が展開します。

回りくどく、なかなか核心に入らないモノローグ、周りで聞いている者たちの苛立ちと勝手な解釈、実際に起こった出来事は何だったのかという考察…この辺、「ムントゥリャサ通り」と同じ手法ですが、短いだけに輪郭がはっきりしています。男の言っていることは、本人にとっては紛うことなき真実なのに、聴衆や、話に登場する人物にとっては全く違う意味合いを持っているのです。

これこそが幻想文学だと言われれば、はぁそうですか…と言うしかないんですけど、どうも私にはファンタジックな空想物語とは読めないんです。私の幻想文学の定義が間違ってるのかもしれませんが…。

エリアーデは宗教学者だそうですが、「十四年昔の写真」で描いていることは、宗教というものの本質を突いてるんじゃないかと思いますし、実は人間の認識の仕方をものすごくリアリステックに描いたとすれば、こうなるんじゃないかという気がするのです。

この本の詳しい内容は、作品社のHPにてどうぞ。

ミルチャ・エリアーデ 著 
住谷 春也 編 
作品社
四六判  555ページ 5,040円
ISBN 487893576
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by silverspoonsjp | 2006-11-06 22:42 | センス・オブ・ワンダーの本 | Trackback | Comments(0)
今回は、SFとしてはかなりの異色作。

いちおう、プロローグからエピローグまで一つのまとまったストーリーになっているのですが、各章が短編として発表されているため独立しています。お話は毎回、アフリカの部族・キクユ族に伝わる寓話から始まり、とても易しい語り口なので、軽い気持ちでひょいひょい読めてしまいます。

キクユ族は、ケニアの国民として現代的な生活を享受しているのですが、民族文化は絶滅の危機に瀕していました。ヨーロッパ風の服を着て、ヨーロッパの機械に囲まれ、ヨーロッパの宗教を奉ずる「えせヨーロッパ人」に成り下がった同胞を救おうと、キクユ族たちは「キリンヤガ」という、一つの理想郷を作り上げます。

そこでは人々は伝統的な価値観に従って、昔ながらの暮らしを守り、自然のままに、他の文明に汚染されていない純粋なキクユ族として生活しています。

しかし、いかなユートピアとはいえ、人のいるところには争いもあり、困った出来事も起こります。そんなとき、村の長老にして畏敬の対象であるムンドゥムグ(祈祷師)、コリバが、叡智によってそれを鎮めていくのですが…。

文明に侵されていない知恵ある人々の話というと、「パパラギ」とか、「カスタネダ」シリーズあたりを連想しますが、この物語にも似たような箇所があります。たとえば、人々に害をなすハイエナを退治しようとして、コリバの制止も聞かず、村人たちは外の世界から狩人を呼び寄せてしまいます。しかし、コリバが予想したとおり、ハイエナよりも狩人の方が、始末に負えない害悪だったのです。彼を体よく追い払い、平和な村を取り戻そうとするコリバの知恵とは…とか。

え、全然SFじゃないじゃん…とお思いでしょうが、「キリンヤガ」の世界はもはや地球上には作れず、テラフォーミングした小惑星上に設置されているのです。この世界は〈保全局〉と、コリバの努力によって、外部世界の干渉を受けないよう慎重にコントロールされていますが、なじめないものは、宙港からよその世界へ出て行くことができます。

いつでも外部世界と接触できる可能性を持っていながら、ある文明を元の姿のままに保っておくことができるのか…SFならではの壮大な実験が始まります。

さて、人々が宇宙に行く時代に、昔ながらの生活をするというのは、生半可な決意ではできません。昔ながらの掟に従うということは、病気になっても頼れるは薬草と祈祷だけ、雨乞いには生け贄を捧げ、生まれた赤ん坊も必要とあらば殺してしまうということです。干渉しないと約束している〈保全局〉さえ、生まれた赤ん坊を殺すのは残酷だ、他にも方法はあるはずだ、と使者を送ってよこします。

しかし、コリバは頑として干渉を拒否します。彼はこの世界ではただ一人、キクユの文化も知り、直接ヨーロッパに留学もしている人物です。原始的な状態におかれている同胞と違って、コンピュータを通じて〈保全局〉とコンタクトを取り、データベースにアクセスしたり、惑星の気候を変えたりできる権限を持っています。

この世界はすべて微妙なバランスの上になりたっている。長いキクユの歴史が決めた掟にあることは、必ず何か意味があることなのです。ある一部分だけと思って変えてしまえば、全てが狂ってしまう。

彼のそんな論理は、「文明化」された使者には理解不可能でした。しかし、結局は不干渉の原則が勝ち、赤ん坊は殺されてしまいます。

「えせヨーロッパ人」の末裔たる現代日本人として、最初のうちはコリバと一体化して、こんな難問にぶつかったらどうするだろう、と楽しんでいたんですが、作者レズニックは、そんな、のほほんとした状態に読者を安住させてはくれません。

たとえば、キクユの掟によれば、女は文字の読み書きを習ったりしてはいけないし、あれこれと制約があります。こちらはたちまち21世紀の現実に引き戻され、今でさえ不自由なのにキリンヤガなんて…とコリバを非難する側に回ってしまいます。彼の求めるユートピアの栄光は消え失せ、ディストピアの影がちらつき始めます。

いや、ちょっと待て。

コリバは人々に話すとき、いつも寓話を使います。聞く人が正しくその意味を受け取っているかどうか、確かめながら。

では、さっきまでの読み方は?「キリンヤガ」の受け取り方としては違うのかもしれない。

一人だけが真実を知り、他を善導していく社会が理想の社会なのか。
もっと知りたいと思うことは罪なのか。
誰かにとってのユートピアが誰かにとってのディストピアとしたら、全員にとってのユートピアはあり得るのか。
ユートピア社会が到来したら、あとは永遠に変わらないのを願うことが良いことなのか…

単純なお話のようなのに、いつまでも疑問は尽きません。ヒューゴー賞、ローカス賞2冠も納得の名作です。あ、念のために付け足しますが、作者レズニックはシカゴ生まれのアメリカ人です。

マイク・レズニック著
内田昌之 訳
早川文庫

長編(シリーズものの短編を集めたもの)
ハードSF度   ☆☆☆☆☆(「竜の卵」を★5とカウント)
ファンタジー度  ★★★☆☆  
個人的好み   ★★★☆☆

〈お好きかも〉
民間伝承に興味のある方
ユートピアもののファンの方
「オリエンタリズム」とか文明論がお好きな方

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by silverspoonsjp | 2006-11-05 23:54 | センス・オブ・ワンダーの本 | Trackback | Comments(4)
サイバーパンクといえば、やたら訳語にルビがついている話…と思っていたので、数人の訳者が分担した、ルビ控えめな(!)この短編集を読むと、まるで別人の作品集のようです(笑)。

私の個人的な好みからいうと、浅倉久志さんの訳文が一番読みやすいせいか、浅倉さんが訳した「辺境」「ニュー・ローズ・ホテル」「冬のマーケット」が好きなんですが、特に「ニュー・ローズ・ホテル」はまるっきりハードボイルド文体で訳されているせいか、同じ作者の作品とは思えません。とはいえ、この本を最後まで読んでみると、巻頭の黒丸尚さん訳「記憶屋ジョニイ」のワケわからんぞサイバーパンクな訳文が懐かしくなったりします。これがきっと中毒症状というものなのでしょう(爆。

ということで、原著“Burning Chrome”は遠くなりにけり、もう20年以上前の作品ではあっても、収録作品「ガーンズバック連続体」に描かれた世界よろしく、古びることもなく、色あせることもなく、再読に耐える小説だと思います。

電脳世界に自らを没入させる「サイバーパンク」な設定はなくとも、ギブスンの作品らしい、孤独な主人公たちが点在する寂しげな風景は、秋に読むにふさわしいのではないかと思います。

たとえば、「辺境 Hinterlands」。

〈ハイウエー〉と呼ばれる、謎の空間へ入った者たちは、第一号のオルガを初め、みな精神に異常を来たして帰還します。彼らを世話する〈代理〉である、主人公トビーの感慨-

オルガは、どこをどうしてか、この成り行きを見通していたにちがいない。そこまで見ぬいていたにちがいない。オルガはあそこへの道を、自分がいた場所への道を、われわれに知らせまいとした。もしわれわれがそれを見つけたら、行かずにはいられなくなるのを知っていたんだ。いまでさえ、あれだけのことを知りながらも、まだおれは行きたくてたまらない。けっして行けることはないのに。

たとえば、「冬のマーケット The Winter Market」。

自分が何をしたいのか、つねに知っている女、リーゼ。彼女の思考から生まれたゲーム「眠りの王」は三百万コピーを売る大ヒットとなります。編集に携わったケイシーの思い-。

これまで何万人の、いや、ひょっとしたら何百万人の驚異的なアーティストが、ここ何世紀のあいだに、沈黙の中で死んでいったのだろう、と思わず考えたくなる。彼らはどうころんでも詩人や、画家や、サックス奏者にはなれないが、自分の中にこの才能、この精神的な波形をかかえていて、あとはそれをとりだしてくれる回路さえあればよかったのだ…と。

ご覧の通り、この人の書く文章には、薄暮から夜にかけて、地下のライブハウスに沈んでいく歌声のような、独特の雰囲気があります。ロックでいうとヴェルヴェット・アンダーグラウンドの曲を思い出すなあと思ったら、ルー・リードが好きだと解説にあったので、なるほどねと思いました。

ウィリアム・ギブスン著
浅倉久志 他 訳
早川文庫

短編
ハードSF度   ☆☆☆☆☆(「竜の卵」を★5とカウント)
ファンタジー度  ☆☆☆☆☆  
個人的好み   ★★★★★

〈お好きかも〉
三度のメシよりサイバーパンクな方
やっぱりルビが好きな方
ギブスンのファン

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by silverspoonsjp | 2006-11-03 23:51 | センス・オブ・ワンダーの本 | Trackback | Comments(4)