本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
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皆様こんばんは。長のご無沙汰でございました。
今年はちょっとウチのが病に倒れた上に、再発を心配しすぎたあまり私まで倒れ、本当に自分でも何やってんだかなーでございました。心配したって治るわけじゃないのにね。おかげでアレコレと滞り、ご迷惑をお掛けした皆様、申し訳ございませんでした。

と言ってるうちに、もう今年も最終日ですが、有終の美で、
今回は一番好きな本で締めたいと思います。

動物のことばが話せる獣医さん、ドリトル先生シリーズの1冊です。
小さい頃、井伏鱒二訳でお読みになった方も多いことでしょう。

このシリーズの英語版は、いろんな出版社からいろんな種類のものが出ているのでどれを選ぶか本当に迷うのですが、今年読んだのは、
Bantam Doubleday Dell Booksから出されたバージョンです。

ペーパーバックでお安い本なのですが、
きちんと原作者ロフティングの挿絵がページいっぱいに使ってあり(←これ重要)、一見分厚く見えますが、驚くほどサクサク読めます。

厚い本だと途中でイヤになっちゃうことあるでしょ?
この本は2見開きか3見開きで1章が終わるように、
原文を上手く圧縮したり、レイアウトを工夫して作ってあり、
そんなに短い割に、どの章もわかりやすく、続きが読みたくてしょうがないような感じにまとめてあります。
これがサクサク読める秘訣なのです。

どの程度オリジナルと近いのか、比べてみようと思っていたのですが、
いまだオリジナルが手に入らずにいます。
第一、ネット書店の書誌情報では、どれがオリジナルなんだか今ひとつハッキリしません。
確実に著者によるイラストが入っているのがどれかも分かりづらいし…。
復刻版というのは間違いがなさそうですが、日本語版の底本になっているのは、そのバージョンではなさそうです。

説明を読む限りでは、オリジナルが書かれた当時の描写に差別的な内容があるために、いま普通に流通しているものには、多かれ少なかれ、手が入っているのだそうです。
だからといって、挿絵を全面的に差し替えなくてもいいと思うんだけど、ああ、挿絵にも差別的なものがあるんですね、きっと。

こういう場合、オリジナルを変更すべきという意見、変えるべきではないという意見、どちらの立場も分かるので、コメントは控えさせて頂きます。
巻頭にエクスキューズを置いて、文章はオリジナルというのは妥当なようですが、子ども向けの本という性格を考えるとベストなのかどうか…

前置きが長くなりましたが、いくつになって読んでも、本当にこの本は面白いですね。

私は、いつも抜群のアイデアを考えついてドリトル先生の窮地を救う、オウムのポリネシアが大好きで、他の登場人物はすっかり忘れていましたが、そういや本の語り手はトミー・スタビンズ少年だったんですよね…。

読んだ年より上の設定だったので(しかも今読んでもすごく大人びてるし)、
自分にとってはドリトル先生と同じくらい遠い世界の人に感じてました。
今の方がむしろ、スタビンズ少年の目を通して物語を見渡せるような気がします。
貧しくて学校にも行かれなかったスタビンズ少年ですが、
音楽を愛するお父さん、優しいお母さんに大切に育てられたというあたりが、
お話のトーンに大きく影響しています。

それにしても、お母さんの英語の丁寧なこと、オリジナルでもこうなんでしょうか…。

英語版の全編でいちばん興味深かったのはこのシーン。
スタビンズ少年が、自分も動物のことばが話せるようになるかどうか、
ポリネシアに尋ねるシーンです。

“Do you think I could ever learn the languages of animals?”
“Well,it depends,Are you clever at lessons?”
“I don't know” 

スタビンズ少年は学校に行ったことがないので、
授業についていけるのかどうかわかりません。
ポリネシアは学校に行ってるかどうかは大した差ではない、
と少年を慰めた後、こう聞きます。

“Are you a good noticer?
Being a good noticer is terribly important”


物事を観察する力があるかどうか…博物学者になるには、
確かに大切でしょうけど、ことばを学ぶにも、大事な能力なんですね。
さすがポリネシア!

と、まあ、簡単な英語で結構深い内容のこのお話、
懐かしい皆様にも、初めて読む皆様にも自信を持ってオススメ致します。

ということで、皆様、どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。

N.H.Kleinbaum編
4.5USドル
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by silverspoonsjp | 2010-12-31 23:11 | 英語の本
ひごろ(SF以外の)小説はほとんど読まず、(SF以外の)小説を読むとなったら重箱の隅をつつくようなところばかり熱心に追求しているのでございます。

世間にお仲間は少なくないと見え、小説に出てくる何ソレを取り上げて一冊にした、という本は探せば結構あります。まあ、普通はレシピとか、小説の舞台になった場所とか、そんなものなんですけど、もう少し考現学的な部分に注目した本を面白く読んでます。以前、インテリアで読むイギリス小説という重箱隅本をご紹介しましたが、あんたも好きね、の類書がこちら、イギリス「窓」事典でございます。

こちらは前者よりさらに隅度がアップしており、登場する窓の用語は300以上、取り上げた小説は187におよびます。も、ち、ろ、ん、「指輪物語」も取り上げられています(マニアックな箇所ですが)。

しかし、気になったから「窓」を集めただけなら、単なる趣味の本ですけど、思うに、インテリアが英国の人の内面を表すものだとすれば、外との境界であり、しかも自分は中にいながら、あたかも外とつながっているかに思わせてくれる「窓」というものが、小説の中でどのように使われているかをテーマに据えるのは、なかなか上手い着眼点ではないでしょうか。

「上げ下げ窓」(sash window)の説明を見ると、この窓の細部の名称から、材料も含めた歴史的な変遷、なぜこの窓が珍重されたか(換気のしやすさや窓辺に花を飾るときに邪魔になりにくいなど)の考察、「まだらの紐」を含む、このタイプの窓が登場する小説の一節が紹介されています。

「フランス窓」(French Window)の項目を見ると、サキの「開いている窓」の引用があり、このタイプの窓でなければならなかった理由が解説されています。

ただ、名称の説明の項目では、この「フランス窓」のように、なぜ小説中に登場するのが「そのタイプの窓」でなければならないのか解説しているのは例外で、ほとんどは窓自体の説明と、小説の引用だけで終わってるのはちょっと残念です。紙幅の関係もあるんでしょうけど…。ただし、映画で窓が出てくるシーンについて言及している時は、割合突っ込んだ解説が載っています。

特に面白く読んだのは補遺の「窓の歴史」以降で、windowの語源(「風」の「目」)から始まり、ガラスがなかったころの窓、ガラスの窓…と続きます。

そうそう、日本の窓もガラスの前は「紙」だったんですよね…家に和室がないから忘れてましたけど。イギリスではリンネルや油紙、牛の角を薄く切ったものなどが使われていたそうです。ガラス窓は高価で、留守の時は取り外して保管し、引っ越しの時は外して新居にもっていったとか。18世紀になってもまだまだ貴重なものでした。

そんなに高い贅沢品なので、窓には「窓税」という税金がかけられていました。取り付けられた窓の数に応じて税金がかかる仕組みで、しかも所有者ではなく居住者から徴税したため、税金を払えない店子が窓をレンガでふさいでしまった跡が今も残る建物もあります。税金対策のためか、検査が入るときだけ窓をふさぐという荒技もあったという話は、今も昔も変わんないなーといったところでしょうか。

しかし、一番ビックリしたのは、この信じられない税金「窓税」、名前こそ「窓銭」ですが、中世・近世のニッポンにもあった、というくだりでした。

こういう本、持ってて悪くないと思うのですが、お値段がビックリ税込9600円、まさか窓税included?(ああっ!ガラスを振り回さないでくださいっ!!)個人で買うにはちょっとした勇気が必要です。470ページもあるし、良い紙を使っているので法外とは言えないけど、それにしてもねえ…。

三谷康之著
日外アソシエーツ
A5判 470ページ
4816920757
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by silverspoonsjp | 2010-02-13 22:37 | 素敵なヴィジュアルの本

ヨコハマ野暮用紀行

a0003079_22571387.jpgちょっと野暮用がありまして、横浜に行って参りました。三連休なので混んでるかなと思ったらそうでもなく、ついでだからちょっとぶらぶらして来ました。

横浜と言っても広いし、どこへ行ってもそれなりに良い所があるので、好きな場所は東京以上に人それぞれかと思いますが、私は観光客なので、関内のあたりが好きです。みなとみらい線が出来てからというもの、横浜駅周辺は素通りで、いつも「日本大通り」駅を利用しております。このあたり、昔の洋風建築がところどころに残っていて、素敵なんですよね…。

特に、絶対に立ち寄るのが横浜開港資料館(元は英国総領事館だった建物)です。展示を見るときもあるし、広場に面した喫茶室でお茶をするだけのときもあります。

もともとは、公共施設にありがちな喫茶室だったんですが、いつの間にやらオー・ジャルダン・ドゥ・ペリーというちょっと素敵なカフェに変身(写真がヘタで素敵に見えなくてすいません…ちなみに画面左下に見えるのはホントの大砲です)。パンがおいしいのと、スマートで横浜らしい接客(と私は思う)が大変気に入っております。

広場の端っこに座って、カフェオレを飲みながら街ゆく人を見るのはなかなか面白いものです。犬にチャイナドレス風(?)のコートを着せて散歩してる人とか、寒空に二の腕二の足全開で頑張ってる人とか。

それにしても横浜はオシャレな男性が多いですね。特におじいさんに粋な人が多いような気がします。銀座へ行けば、それなりに身だしなみに気を付けてるおじいさんはいますけど、横浜みたいに、ハンチングに皮ジャンが決まってるおじいさんとか、ピンクのギンガムチェックを大胆に着こなして、自転車で颯爽と通り抜けるおじいさんとかは見ませんねえ…。これが土地柄というものでしょうか。

近くには、これまたレトロでこじんまりしたフレンチもあるし、新聞博物館というまたまたレトロな建物もあるし、この辺でうろうろしてるだけで半日終わってしまいます。

せっかく来たからちょっと中華街に寄って帰ろうと(ひと駅ですが、歩いても10分かかりません)いつもと違う門へ向かったら、初めてみる立て看板が…

a0003079_2258360.jpg
世の中、いろんな押し売りがあるけど、これは初耳です。
確かに試食してけってうるさかったけど、もっとスゴイ人がいたんでしょうか…
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by silverspoonsjp | 2010-01-10 23:18 | プチ日記

お申し込みは今すぐに!

いきなりですが、お知らせです。

ご存じの方には懐かしい、初めての方には感動の
帰ってきたエルフ語講座、10月17日(土)に開催の運びとなりました。
あと定員に若干名空きがあるそうです。
詳細はこちらまで。

思いっきり学会とぶつかってるし(泣 (っていうか、先生大丈夫なのかしら…?)
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by silverspoonsjp | 2009-09-29 21:10 | プチ日記

天皇陛下の全仕事

知ってるようで知らないのが天皇陛下のお仕事。

ということで、宮内庁担当記者だった著者が、
天皇陛下の日常業務について解説している本を読んでみました。

社会科でも習ったし、報道されているお仕事もあるし、その大変さは
だいたい予測がつきますが、それを上回る激務です。

思いもよらない仕事が重要な事もあります。たとえば、国体や植樹祭など決まった行事への出席。これらは各県持ち回りで開催されるため、地方を訪問することになるわけですが、なんと、飛行機なら空港まで、新幹線なら東京駅まで、首相がお見送りに来るそうです。(知らなかった…)

他にも、国家の象徴としての立場から、あれこれ気を遣わなければいけない点があり、その辺も考えるだに大変そうです。

それにしても、何がキツイって、「天皇の国事行為」と決められている仕事は、入院か外遊でもない限り、他へ投げられないことあたりでしょうね。
国会を召集するとか、総理大臣を任命するとかは、そうしょっちゅうはないでしょうけど、法律や条令を公布するとか、栄典を授与するとか、細々したものが結構あり、書類の決裁だけで週2回、午後かかりっきりになってしまうそうです。

事務仕事以外にも、接見とか、奉仕団の人への挨拶とか、気疲れしそうな仕事がてんこ盛り。週休二日にならない週も多く、代休もままならない。
この状態が定年もなく、退位するまで続くんですよ。
法律によって「生活のかなりの部分がほぼ自動的に決定済み」な生涯とはどんなものなのか、想像もつきませんが、本書で見る限りでは、本当にお気の毒な印象です。

おかげさまで日本の伝統が守られている面はあるのでしょうが、
(とかいって、実はほとんど明治に作られた伝統だったりするけど)
だからってこれで良いのかという気はします。
日本で一番「滅私奉公」してる人が今上陛下とは(泣

ここで図らずも、数年前に日本でも公開された、スティーヴン・フリアーズ監督の「クイーン」を想い出してしまいました。イギリスのエリザベス現女王を主役にした映画です。

映画の中では、労働党の党首であり、ある種究極の反対勢力とも言えるブレア首相が、エリザベス女王には敬意を持って接する姿が描かれていました。女王は、自分の義務と役割に忠実であろうと努力し、公人として自らを律しています。その姿勢からは、おのずと品格がにじみでています。
 
自分の都合より義務や原則を優先するとは、言うは簡単ですが、いろいろな意味で難しいことだと思います。女王も戦中・戦後の厳しい時代をくぐり抜けてきたので、「不自由な生活」にも耐えられるということはあるのでしょうが…。

ただ、品格を保つということはその一方で、失うものも大きいと、映画を見たときには感じました。ある決められた秩序からはみ出さず、変えるよりは忍従によって自分を律する姿勢は崇高ではありますが、これからの未来、それだけでやっていくのはなかなか難しそうな気配です。

本書は「クイーン」とは異なり、天皇陛下の信条や発言などが取り上げられる訳ではなく、ほとんどがお仕事の内容について淡々と記しており(仕事を通じて人柄を描いている箇所もありますが)、好感のもてる書きぶりです。

講談社現代新書
山本雅人
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by silverspoonsjp | 2009-03-08 22:36 | センス・オブ・ワンダーの本

執事ジーヴス

羊カフェに行ったからという訳でもないでしょうが、
最近、いまさらながらジーヴスものにはまっております。
勢い余って、ドラマのボックスセットまでイギリスから取り寄せてしまいました。

物語の舞台はロンドン。時代はいつだか良くわからないのですが、
シャーロック・ホームズだったらこう推理するに違いない…てな会話が出てくるのと、バルカン半島で小競り合いが…みたいなセリフが出てくるので、ホームズよりは後で第二次大戦よりは前でしょう(何を考察してるんだか)。

ロンドンのフラットで悠々自適に暮らす、自他共に認めるボンクラなお坊ちゃま、
バーティー・ウースター(なんかこの設定、リアル世界で聞いたことあるような)。
賭け事、スピーチ、服のセンスもまったくダメダメなくせに、人から頼まれると嫌とは言えない性格で、
その人柄の良さと家柄の良さが災いし、
自分とは関係のない数々の揉め事に、常に巻き込まれているのであります。
しかし、ああ、神は見捨て給わず、そんな彼をいつも鮮やかな計略で助けるのが、燕尾服を着たどらえもん 諸葛孔明のようなバレット(和訳は「執事」となってます)、
ジーヴスなのであります。

しかし、このジーヴス、ご主人の問題を解決しつつもさりげなく自分に有利に事を運んだりして、切れ者なだけに性格もなかなかクールで、
一筋縄ではいかない人物なのを、バーティーの間抜けっぷりが上手く中和していて、そこがシリーズの一つの魅力になっています。

いちおうユーモア小説ということになってるらしいんですけど、エピソードが笑えるというよりは、表現とか、間がおかしいんですよ。

私は最初、英語(少しやさしく書き直したバージョン)を読んだのですが、
主従の会話がそれっっぽくて本当におかしいです。
たとえば、フランスにバカンスへ行ったバーティーが帰宅して、
(ジーヴスはアスコット競馬が気になるといって同行しなかった)、
久しぶりにジーヴスに会う場面。

バーティー:Well,Jeeves,here we are,what?
ジーヴス :Yes,sir.
バ:I mean to say,home again.
ジ:Precisely,sir.
バ:Seems ages since I went away.
ジ:Yes,sir.
バ:Have a good time at Ascot?
ジ:Most agreeable,sir.
バ:Win anything?
ジ:Quite a satisfactory sum,thank you,sir.


こういう会話を面白げに翻訳するのは至難の業でしょうね。

国書刊行会から何冊か訳本が出ています。
日本語版は、こなれてない部分があったりもするのですが、
なかなか頑張って訳してると思います。たとえば、バーティーの服のセンスに関する、こんな箇所…

僕は自分の部屋に直行し、カマーバンドを引っ張り出して腹に巻きつけてみた。
僕が向き直るとジーヴスが驚いた野生馬みたいにあとずさりした。
「失礼ですが、ご主人様」彼は声を抑えて言った。
「まさかそれをご着用で人前に出られるおつもりではいらっしゃいませんでしょうな」
「このカマーバンドか?」僕は軽く受け流すと気楽な、屈託のない調子で言った。「そのつもりだが」
「それはお勧めできかねます、ご主人様。本当にいけません」
「どうしてだ?」
「ご印象がにぎやかきわまりすぎでございます」


にぎやかきわまりすぎ(爆)
いいでしょ、これ。

60冊くらい出てるらしいので、全部読むのは大変そうなんですけど、
とっかかりとしては短編の方が飽きなくていいと思います。
上のリトールド版は強く強く推薦しておきます。
ジーヴスもの以外にエムズワース卿のシリーズが含まれており、
どっちかというと私はそちらのシリーズの方が好きだったりします。
ロンドンが大嫌いで田舎の居城を愛する卿の静かな生活をぶち壊す、やかましい村人や妹のコンスタンツェ、頑固なスコットランド人庭師などなどが活躍する、いかにもイギリスなお話です(未読ですが、文藝春秋から「P・G・ウッドハウス選集」として、訳本が出ている模様)。
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by silverspoonsjp | 2009-02-01 00:18 | 英語の本

モーリス&Co.の見本帳

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2009年1月24日から開催の「生活と芸術-アーツ&クラフツ」展、ようやく東京へ巡回して参りました。

場所は上野の東京都美術館なので、混んでるかなーと思ったら、意外に人も少なく(寒かったですしね)、かなりじっくり見ることができました。モリスの住んだレッドハウスの再現展示やテキスタイルのパターン画、盟友バーン=ジョーンズの絵などおなじみのものもあれば、アーツ&クラフツ運動の影響を受けた、グラスゴーのマッキントッシュやウィーン・日本での展開まで含まれてなかなか盛りだくさんの内容。特にウィーン分離派ファンと致しましては、封筒やポストカードを見ることができて思わぬ収穫。

そして、当然、モリスと言えば本も気になります。詩の本など、初めて見る美しいものもありました。どうも用紙も普通の紙じゃなさそうだと説明をよく見ると、「リネン紙」となっています。それもかなり気になりました。

しかし、一番魅了されたのは、売店に売ってた、モリス商会の壁紙の見本帳です。現在、壁紙を生産しているのは別の会社だそうですが、日本の輸入元が、実際の壁紙の見本を貼り込んだ、とても綺麗なコーディネートブックを出しているのです。
(実物の写真が見たい方はこちら。

さすがに良いお値段だったので、眺めるに留まりましたが、眼福眼福。
展覧会は2009年4月5日までやってますので、お時間の合う方はぜひ。
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by silverspoonsjp | 2009-01-25 23:54 | 素敵なヴィジュアルの本

第九の季節 第4楽章

本日某所にて、イギリスのクリスマスのごちそうって何ですか、と質問したところ、こんなのがある、と教えてもらいました。その名も「マルチバード」といい、こんなものです。

親ガメの背中に小ガメが…じゃなくて、大きな鳥の中に小さな鳥を詰めて、そこにまたもっと小さな鳥を詰める…というもので、なんと↑上の記事では12種類もの鳥が入ってます。その話を聞いてたアメリカの人が、じゃ、一番外側の鳥はダチョウ?とせせら笑ったところ、「いや、白鳥だよ!(swan)」と澄まして答えてました。イギリスでは白鳥は全て王様のもの。特別な許可がないと食べられないのですが、ケンブリッジはその特別な許可をもらってるのだとか(←ヒアリングに自信がないので、間違ってたらすみません)。

私はそれを聞いて、エリザベス女王から中国に贈られたハトの話を思い出しちゃいました。大事に飼われてたそうなんですが、逃げ出したら現地の人に食べられちゃったらしい(前にも犬を贈って食べられちゃった(らしい)のに、懲りないな、イギリスも…)。食べちゃった人は地元警察に逮捕されたそうですが、被告に警官はじめ皆がした質問は「で、おいしかった?」だそうな…。

そういや、第九の話でしたね…

勝利の美酒に酔った先の副将軍・ツム爺ご一行…もとい、勇士たちが行進してゆくと、ひとしきり、オーケストラの演奏のみになります。戦場になり響くラッパか銃声のように、フルートとオーボエ、第一バイオリンの♪ぱぱーん、ぱぱーん♪という和音が入り、弦楽器は細かく音を刻んでいきます。ある指揮者はここの不安定な和音を、ローマ軍の戦車が車輪を傾けながら疾走する情景をイメージして…と指示していました。

この戦車競技の間、合唱団は「フロイデ!」を叫ぶために、うずうずしながら待っているのですが、入りのタイミングがなかなか難しい。

オーケストラがにわかに音量を下げ、オーボエとファゴットが、♯レーミファ、半音下げてレーミファ、最後にホルンが乗っかってファーソラときたら、やおら「フロイデ!!」と出るんですが、指揮者の先生によりますと、そのココロは…

「勝利の美酒にほろ酔い加減のオトーチャンが、手みやげを下げて千鳥足で帰ってくる!(♯レーミファ)」
「さすがに午前様なんで、家に着いたら電気も消えてて、一気に酔いが冷める(レーミファ)
「と思ったら、電気がついて、小さな娘がパパー!!と抱きついてくる!」(ファーソラ)そらきた、
「フロ(ロはいつもの倍巻き舌に!)イデ!!!」

この流れでお願いします。

この後は華々しく、「第九のメインテーマ」の大合唱+オーケストラのフル演奏となります。ただ、相変わらず音が高いんだな~。1番歌ったら息が切れちゃって、2番は声が小さくなる人続出なので、いつも注意されます。

と、ここでト長調に転調し、拍子が2分の3に変わります。そしてここが初お目見えの、荘厳なメロディーが現れます。歌詞も一段と高尚に…またまたカワイ版から引用させて頂きますと、

いだきあえ、幾百万の人びとよ! このくちづけを全世界に!
兄弟よ!星空の上に、愛する父なる神が住んでいるに違いない。


そして、わたし的には、歌詞のこの部分があるからこそ、この歌は1年の締めくくりに歌われるにふさわしいんだと、思うわけです。

指揮者の先生がおっしゃるには、この歌はハイになっちゃってもう大変「飲めや歌えの花火大会パート」とマジメで眉間にしわが寄ってる「全世界にくちづけを!パート」に分かれており、極端に言えば、この2つでは人格も変えて歌わねばならない(ホントすか?)とのことであります。

で、ここでは男声が「いだきあえ、幾百万の人びとよ」と力強く入ると、アルトとソプラノがそれに応えて「いだきあえ、幾百万の人びとよ」と歌うわけですが、ここは男声がユニゾンになるためベッタリしがちで意外と難しく、上手く誘わないと女声がヤダーって逃げちゃうからね…といつも諭されております。

もひとつ注意されがちなのは、歌詞の区切り方。
ein lieber Vater wohnen(アイン リーバー ファーター ヴォーネン;愛する父がおわします)を、ついリーバー(息継ぎ)ファーターヴォーネンって切っちゃうんですよね。リーバーファーターで愛する父なんだから、切らないであげてよ…っていつも言われるんだけど、メロディーがちょうどそこで切りやすいんだもん。CDで聞くと、たいていどの演奏でも、ここを切っちゃっています。私たちだけが悪いんじゃないやーい!!

と居直っているうちに、いよいよ恐怖の「Adagio ma non troppo, ma divoto(アレグロ マ ノン トロッポ、マ、ディヴォート)」、すなわち「荘厳に」パートに突入致します。

後に控えしドッペルフーガより、考えようによっちゃ難しい(そして、失敗するとすれば大体ここ)、魔の12小節、いったいナニが難しいのか、それはまた続く!!(←終わるのか…?)
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by silverspoonsjp | 2008-12-14 21:54 | プチ日記
こんばんは。今日(あ、昨日になっちゃった)も今日とて忘年会な銀の匙でございます。

さて、今年2008年が日英修好通商条約調印150周年だってご存じでした?微妙に半端な気は致しますが、その記念の年に、駐日英国大使館とブリティッシュ・カウンシルが主体となって、UK-Japan2008と題して1年間、数々の日英共同イベントが催されてきました。

日本は割と英国びいきの人が多いように思うんですが、英国やコモンウェルス国、旧植民地では、日本のイメージがあまり良くない(っていうか、はっきり言って悪い)です/でした。そんなこと思ってもみなかった私は、気づいたときには結構驚きました。第二次大戦中に「敵」だったことや、当時の捕虜の扱い等が尾を引いてたようです(正直、じゃあ、あなたたちが植民地でやったことは何なの?人の事言えた義理か!と心の中で思わなくはなかったけど…いえ、それは言い訳にはならないですね、すみません)。

風向きが変わってきたのは、何といっても日本のポップカルチャー、ことにアニメが、世界的な人気を博すようになってからだそうです。全く、アニメとご当地のオタクさまさまです。

そんな話を、このイベントでIT関係の講師をするため来日した、英国人としておりました折も折、別ブログの方に、「UK-Japan 2008公式WEBサイトに、サポーターとしてご参加いただける公認ブロガー様をスカウトしております。」というナゾのコメントを頂戴したのでございます。

ふつう、いきなりこういうコメントが来たら、スパムかなと思いません?

でも、調べてみるとちゃんと事務局から来たものだったので、かなりビックリしました。こういう期間限定のイベントの事務局というのはたいていとても忙しく、問い合わせにさえ、いちいち応える暇なんかないものなんです。それを先方からわざわざコンタクトを取ってきた上に、関連エントリー名や書き手のハンドルネームもちゃんと挙げてあります。ある程度自動化してるにしても、ただ単に関連キーワードでひっかかったブログにコメントを投下しているのではなく、エントリーの内容はきちんとチェックしているようなので、かなり徹底した草の根パブリシティなことには違いありません。

広告費を投下して大量にスポット広告を打つことを「空中戦」、口コミでの宣伝を「地上戦」と言うと、最近知りましたが、今回のは「肉弾戦」って感じでしょうか…。

映画「ロード・オブ・ザ・リング」がファンサイトを宣伝パートナーと見なして情報を流していたのには、斬新な手法だと感心したものですが、今回も、この手間ひまかかるパブリシティを考えついた人に脱帽です。

速効性では大したことないのかも知れませんが、結局二国の友好のために行っている催しなのですから、個人的な英国びいきを増やしていくという意味で、長い目で見ると意義深い広報のやり方だと感心しました。

最近、雑誌が落ち目になっているということが、盛んに言われます。雑誌にはかつて、広告収入でペイしているので実は1冊も売れなくたっていいんだ、と言われていた時代がありました。その奢りが命取りというか、広告主ばかり向いて業界外の人には上から目線、個々の受け手は眼中にない旧態依然のメディアが落ち目になるのは当たり前だなぁと溜め息と共に実感します。

と、忘年会が反省会になっちゃったところで失礼をば…

残念ながら2008年もあと数週間ですが、公式サイトはこちらから。
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by silverspoonsjp | 2008-12-06 01:59 | 本にまつわるエトセトラ
東京は今、一年で2番目に良い季節で(1番目は11月(^^)ノ←あくまでも主観です)、すがすがしいお天気です。

しかも最近、近くにピクニック好適地があることを発見。にわかに、心のウィッシング・リスト(笑)にこれまでにない単語が点滅しはじめました。

そうです、それはピクニック・ハンパー

要するに、柳行李に茶道具を詰めたものです(なんかちょっと違う)。
こんなのね↓。(写真は、optimaのページから)

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イギリスに旅行に行ったときに、ピンからキリまでいろんなタイプのものを見かけました。しかし、大抵はそれだけで優にトランク1個分以上のボリュームがあり、しかも使うあてもないので全く買うつもりはなかったのです。しかし、本格的にピクニックをするならアレがなければ…。

第三者的にはピクニックごときに形から入ってどうするかって感じなんですが、本人的には至って重大事であります。

早速、こんなサイトを見たりして、ボーナス出たら買っちゃおうかなームードに入ってしまったわけです。

で、日本でも取り扱っているお店があるので見に行ったところ、

・記憶の中のハンパーより大きい(普通、逃した魚は大きくなるのが相場ですが)
・車持ってないと到底持ち運べないほど重い(最低でもフットマンかロバは要る)

ということがわかってしまいました。もちろん、昨今の一般家庭の事情(ロバやフットマンが居ない)を鑑みて、メーカー側でもリュックサックタイプを出すとか、いろいろ企業努力はしているのですが、っていうか、そうまでして陶器の茶器セットでお茶を飲みたいですかイギリスの人?なんですが、カップはウエッジウッド、グラスはクリスタルなんてセットを見てしまっては、しかもそんな良い物は海外配送無しと知っても、紙ナプキンと紙コップの世界にはもはや戻れないのであります(いや、だから何で)。

そこで、私も考えました(GWだったからヒマなんです)。

理想の茶器セットがどこかに売ってると思うからいけない!
パンがないならお菓子を、出来合いのハンパーがないなら自作ハンパーを、自給自足すれば良いじゃないですか。

バスケット、水筒、カトラリーセット、グラス、お茶碗のセット、クロスとブランケットがあれば楽勝♪(オイオイ)

しかも、ラッキーなことに、水筒は写真にあるのと同じようなのを福引で当ててあるし。後は、それ以外のアイテムを集めれば完成(のはず)。

何年後になるかわかりませんが、揃ったら公開致しましょう。乞うご期待。
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by silverspoonsjp | 2008-05-06 23:27 | プチ日記