本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
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ようやく「10年ぶりの新作公開」フィーバーも一段落し、昔からのファンはしみじみと、新たなファンは過去作見てみようかなと情報集めをしているのではないかと思われます「スター・ウォーズ」の今日この頃。

ちゃっちい子ども騙しの映画じゃん、一体どこが面白いのよ? とおっしゃる方々には、ハイさようでございます、でも子どもを騙すのこそ大変だと思いますけどね…と流しておき、

あれマニア向けの映画で面白くない、と言われれば、ハイさようでございます、初めて観る人にかなり気を遣ってたみたいですけどね、と庇っておく。

そもそも、良識のある作り手ならば、子ども向けの作品こそ、細心の注意とエネルギーを注いで作るはず。

何しろ、子ども向けの作品は当然大人も見に来ますし(付き添いで)、小さいときに目にしたものは一生にわたって影響力も大きく、成功すれば長く名声を手にすることが出来るということは、お子様を優遇するデパートしかり、世界のジブリしかりで、日常あらゆる場面で証明されています。

…って、別に宣伝部員でもマニアでもないのに、何で自分がこんな解説をしなければならないのだろうか....と思う、ごく普通の「スター・ウォーズ観たけど面白かった」ご同輩の皆様も、いざ、じゃどこが面白かったの、と言われると言葉に詰まるのではないでしょうか。

そこに焦点を当てた、ありそうでなかった本が「スター・ウォーズ論」

この本は、巷によくある、「○○論」といいながら、その作品の分析に名を借りて、他のことを論じようとしている便乗本でもなければ、作品のオタクすぎてそれしか見えてない、という本でもありません。

「スター・ウォーズ」の面白さを、映画産業に携わる人の目から見て、映画史の中での位置づけや、興行作品としての意味合い、シリーズ自体の価値といった面から、きちんと分析、紹介、考察している本なんです。こういう本はマニアやファンでは書けません。

マニアやファンが悪いと言うのではなく、そういう「ファンの声」を読むのも楽しいものなのですが、本として出版するならば、きちんと当事者に話を聞いて書いている、こういうレベルの仕事を取り上げて欲しいものです。

とは言っても新書なので、文章は堅苦しくないし、他の映画の話もいろいろ出てきて読み応えがあります。

この本を読むといちいち、へぇ、なるほどねぇ、とか、ふーん、そうだったのか、と感心してしまいますが、それはトリビアが満載だからじゃなく、映像作品を、芸術面や技術面、興行面など、各方面から知っている人でないと書けない内容だからです。

シリーズの生みの親ジョージ・ルーカスと作品の関わりや、最初はボツだった企画が、どのように映画史に残る作品になったのか、スター・ウォーズが描いているもの何か、スター・ウォーズが作り上げた文化とは何なのか、これらが説得力を持って考察されていきます。

ジャニーズ事務所と同じくらい業界の人が恐れている、ディズニー関係の内容もしっかり入っており、ディズニーの功績について評価すべきところはきちんと押さえている点にも好感が持てますし、

著者のレベルの高さに唸るのは、同じ著者によるもう1冊のいかにもファン向けなタイトルの本、

「スター・ウォーズ フォースの覚醒 予習復習最終読本」

でも同じです。

こちらは、新作「フォースの覚醒」の公開前に発行された本なのですが、驚くべきことに、今読んでみると、ここに書かれた予測内容は、ほとんど外れていません。

もちろん、ストーリーを公開前に知っているのが重要なわけではないのですが、それが出来る人の発信する情報に信頼がおけるという傍証にはなります。

あれほど厳しい情報統制がなされていたにもかかわらず、そんなことが出来たのはなぜかといえば、ズバリ、これまでの作品を良く知っていたこと、作品に愛情を持っていること、情報を幅広く集めることができ、その取捨が正しく、その読み方が正しかったからだ、と言えるからです。

ネット上には、新作に関して無数の推測や憶測が流れていましたが、ほとんどのものは、その正しさについて製作者側がYesともNoとも言っていません。製作者側のリークもなく、こうした玉石混交の情報のなかから正確なものを選び取れるというのは、正しくプロの書き手の仕事だと感じます。

つい「予習」の方ばかり取り上げてしまいましたが、この本の「復習」部分も周到に整理され、読みやすく書かれています。ただ単にあらすじ紹介にとどまらず、当時ファンが(現在と同じように)推測していた内容や、途中で放棄された設定なども上手いこと織り込んで、公開時の雰囲気や作り手の視点なども知ることができ、興味深いです。

春休みにリピート鑑賞をする前に、あるいは、次回作をより楽しむために、または、見なかったけどちょっと気になる、という方にも、ぜひにとお勧めしたい2冊です。

「スター・ウォーズ論」 河原一久著 NHK出版新書 

「スター・ウォーズ フォースの覚醒 予習復習最終読本」 河原一久著 扶桑社
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by silverspoonsjp | 2016-02-21 18:48 | センス・オブ・ワンダーの本
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本が面白くなかったら、ほとんどの部分が書いた人の責任だけど、雑誌が面白くなかったら、それは100パーセント編集者のせい。

どんな素材を選ぶか、どう見せるか、誰に何を頼んで、何を載せ、何を載せないか。

限られた時間でこれらを的確に按配するのは難しいし、だからこそ、成功した号には心から感動します。

実は、最初特集タイトルを見たときは、全然ピンと来なかったんですけど、よくある映画紹介かな、と思ってめくってみたら素晴らしくて、初めてこの雑誌を買いました。

見開きのカラーで、冬らしいテーマをひとつ選んだ記事があり、テーマにまつわる映画が、隅のほうに控えめに載っている、というつくりなのですが、まずそのテーマというのが面白い。

普通、冬にしたいこと、というと、温泉に入りたいとか、暖炉であったまりたいとか、スキーに行きたいとか、そういうことを思いつきますが、「白い器」とか「コペンハーゲンの自転車」「帽子」とか、冬でもないし、「したいこと」でもない、というオキテ破りの記事がかなり挟まっているのに、ちゃんと冬の特集っぽく見えるのがまずスゴイ。

しかも見開きごとに、まったくバラバラな内容を扱っているのにもかかわらず、ちゃんと統一感がとれているのがスゴイ。

だから、眺めていて単調な印象がないし、「雑」な感じもしない。

ひとつのテーマは2ページしかありませんが、その中で過不足なく新鮮な情報が提供され、いい按配にテーマが展開している。

たぶん、レイアウトのフォーマットと写真の色味は厳格に揃える代わりに、内容はゆるく作っとく、という方針なのでしょう。

以前に眺めたことがある同じ雑誌の映画特集とかは、全然こんな洒落た作りではなかったので、編集した人が違うか、編集方針を変えたんだと思う。

同じ素材なのに、腕利きの料理人が作ると一味違うって感じでしょうか。

ほとんどが、読む人のことはともかく、広告が取れればいいや、みたいな印象しか与えなかった昔の女性誌に比べると、今はちゃんと中身で勝負しようという心意気が伝わってきて、ぜひこういう傾向が支持されて欲しいなと心から思います。

次号は児童文学特集だそうで、ちゃんと児童文学ファンにも声をかけて作っているらしい。同様の丁寧な誌面を期待しています。
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by silverspoonsjp | 2015-12-29 15:28 | 素敵なヴィジュアルの本
昔むかし、1957年に「雪の女王」というロシアのアニメ映画がございました。この作品があまりにも好きだったため、ディズニーのアニメ化と聞いて、これは観たくない…と思ったのも一瞬で、「ホビット」の上映館で流れた、思わずコーヒー吹いちゃう、拳握りしめて歌い踊るアメリカーンな雪の女王が♪どこまでやれるか、怖いものみたさで観に行ってしまいました。

好奇心はネコをも殺すとは、けだし名言であります。

この話は元々、女の子がさらわれた男の子を助けに行く、という時点で、すでにふつうのファンタジーとは逆の意外なパターンなのですが(ナルニアっつーのはございますが、あの話は前半がまるごと似て見える…)ディズニー映画はさらに「ディズニーだからやっぱり王道だろ」というこちらの読みを見事に外してきたので、その辺が腹黒い大人にもウケたんじゃないでしょうか。

ま、映画の中身については別ブログで書くとして(書きました。こちら)、私がちょっと驚いたのは、この話が北欧の話だったってことでした。

アンデルセンだから当然でしょ、と言われてはぐうの音も出ないのですが、だって、ロシア民話かと思ってたんだもん。予告を観ると、衣装とか小物にロシアっぽい柄が描いてあるし、チョコレートを食べるシーンがあったりするし…。

なので、かなり冒頭の部分で国王夫妻が探し出した文献がルーン文字で書かれていたほんの一瞬のシーンに目が釘づけ。他にも、石碑とか、装飾とか、トロルが出てくるとことか、よくよく気を付けて観ると、北欧っぽさの小ネタ演出がいろいろあって面白いです。

私は吹き替え版を観てしまったので、かなり情報が圧縮されているのですが、英語版を観れば、さらに小ネタが見つかるかもしれませんね。

雪だるまの名前が「オラフ」なのも、私的には評価高いポイントかな。

と、いうようなことをつらつら書いているとオタクと間違われちゃうかもしれないからやめておきますが、そういう意味で(ってどういう意味だろう)、指輪ファンの皆様も、一見の価値ありかとおもいます。取り急ぎ…。
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by silverspoonsjp | 2014-05-04 01:50 | プチ日記
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皆さまこんばんは。
改めまして、今年もよろしくお願いいたします。

さて、『ホビット』の第2作目、お正月明けに台湾で観てまいりました。
日本ではタイトル変更になったとのことですが、こちらでは「荒谷悪龍」でそのまんまでした。
(あ、日本語は「荒らし場」がメインですが、中国語では「悪龍」がメインってことですね。)

初見の感想ですが、アクション映画として飽きずに見られるので、「1」よりは面白いんじゃないかと思います。もっとも、私は3部作の2作目が一番好きなことが多いので、あまりアテにならない感想かも知れませんが…

以下、予告編でわかってしまう以上のネタバレは避けて、第一印象をレポートしたいと思います。

なお、ネタバレ上等!な方は、別ブログになりますが、こちら(→別ブログに飛ぶ)をご覧ください

☆この映画で良かったところ

・アクションシーン
・原作風味満点なスランドゥイル
・原作には1ミリも出てこないレゴラス
・ギムリ
・ギムリ母
・ビルボの「考える人」
・「考える人」以外のビルボ
・黒の言葉(例外あり)
・エルフ語(例外あり)
・ラストシーン

★この映画で良くないと思ったところ

・陶烈児
・換皮人
・レゴラスのエルフ語
・サウロンの黒の言葉
・HFR 3D

▼あまり気に入らなかったけど映画だけのせいとも言えないと思ったところ

・歌がない
・スマウグ
・ストーリー

さてと。台北滞在中に2回鑑賞しましたが、1回目はMRT剣南路近くのミラマー(HPはこちら)、3D IMAX HFRと全部入り、2回目はMRT中山駅近くのショータイム・シネマズ(HPはこちら)2Dで小さ目の部屋でした。

金曜夜20時と日曜昼間15時の回に行きましたが、いずれも、直前でも良席が残っており、興行成績が若干心配な入りでした。

ミラマーはさすがに迫力のある画面で、座席もやや後方よりの真ん中と絶好の条件でした。が、特に最初の方のシーンはHFRで見るとクリアな分、セットも人物もCGめいて見えて、どうも慣れませんでした。

ショータイムの方は、横12席、縦20席ほどの小さな部屋でしたが、六本木TOHOシネマズのプレミアスクリーンのようなちょっと高級なつくりで、こちらの方が映画に集中できました。また、こちらの映画館はお客さんの反応が素直で面白かったし、最後なんか、例のラストシーン(ネタバレのため秘す)でぱっ!と明るくなり、係員の人が「ご鑑賞ありがとうございました!」とスクリーン前に登場するのが、演出の一部っぽくて思わず笑ってしまいました。好きですね、この映画館…。

今回も相変わらず映画は長尺で、前半3分の1ぐらいはややダルい展開なのですが、エルフが登場するシーンから俄然アクションが盛り上がり、息着く間もなくラストまでなだれ込みます。そういう意味では、飽きなくて楽しめました。

ま、はっきり言って、前半はおっさん中心で画面も地味です。後半はエルフや金箔で盛った感が否めないのですが、盛りが気前良かったので勘弁しといてやろう、って感じ?

「ロード…」でボンバディルを出さなかったためにさんざん非難されたのに懲りたのか、今度はちゃんとキャラを省略しないで出したみたいですが、やっぱりボンバディルは飛ばして正解だったなと感心する仕儀となっております。まぁ、第3部へのつなぎってところでしょうか。(これで出番終了だったらいくらなんでも可哀想)

ケレボルン状態で置いてきぼりかと少し心配していたスランドゥイルは、トーリンに負けないイヤゲキャラであることが必要以上に丁寧に描写されており、第2部のおいしいところを根こそぎ持っていった感がございます。息子さんのレゴラスは大活躍だったし、上から目線バリバリの坊ちゃんキャラで「闇のエルフ」っぽい感じもよく出ていたので、エルフファンの皆様、この2人については、期待していてください。

って言ったら、期待できないのは何か、もうお分かりですよね…。ホント、予想を全く裏切らなかったのである意味感心しました。こっち系の非難囂囂はアルウェンで慣れたのかと思ったら、全然学習してないですね。顔立ちもリブちゃんに似ていたので、アルウェンの「色違い」が出てきたのかと思っちゃいましたよ。(エルフ語は上手く聞こえるのもリブちゃんと同じ?)

それに比べるとレゴラスのエルフ語はあんまりエルフ語に聞こえないんだけど、世間から隔離されてるうちに訛ったのかな…?

主役のビルボはマーティン・フリーマンの超絶技巧により、表情豊かで実にすばらしく出来上がっており、感情移入しやすいキャラになっています。あるときは勇敢に、あるときは大旦那さまらしい品格を備え、あるときは思いっきり場内の笑いを誘っておりました。ホント、上手いですね。

トーリンもときどき嫌な奴なので損な役回りですが、その分複雑なキャラになっており、ビルボの向こうを張れる名演技でした。

今回は人間も登場しました。いずれも、第2話の段階では、頑張った割にはあまりパッとしません。あれこれと嫌がらせをしてくるグリマのような役回りのアルフレッド、当初はフロドのお父さん役にキャスティングされてた方ですよね…

ストーリー全般としては、もともと子供向けのストーリーだったものを、無理やり大人用にかさ上げした感がどうしても拭えませんでした。全体が暗くてシリアスなのに、スマウグがしゃべるというのが何ともちぐはぐだし、話もほとんど単線なので3時間もよく持たせたなというのが正直な感想です。キャラは面白いし、細かいところや、画面内の動きなどに工夫があるので見どころはありますが。

とはいえ、長さも感じず(逆に、えっ、終わり!?って思わず声が出た)楽しめましたので、皆さまどうぞご期待ください!!
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by silverspoonsjp | 2014-01-11 03:22 | 「指輪物語」関連の本

The Hobbit

訳本(岩波の愛蔵版)「ホビットの冒険」がビルボ同様going off into the blue(消え失せた)になってしまったので、しかたなく原書を読み返していたら、映画を観た後だからか、何だかちょっと新鮮でした。

ちなみに映画についての直接の感想はこちらに

まずは主人公ビルボの住む、袋小路屋敷の説明があるんだけど、「壁にコートや帽子をたくさん掛けられるようにpegがいっぱいついています。ホビットはお客さんが大好きで…」と抜けぬけと描写したあと、次から次へと招かれざるドワーフが押しかけてきたり、それでもビルボはドワーフに図々しくも「シードケーキはあるかな」と聞かれると、「Lots!」と答えてしまう…映画で見たらちょっと疲れる、手を変え品を変えの繰り返しの描写は、本で読めばいかにも子どもが好きそうな感じです。

そして、映画でガンダルフも言っていた、ビルボのお母さん、ベラドンナ・トゥックのことも、改めて原書で見てみると、ビルボよりも、第一、ホビットを描写するよりも前に、詳しく説明が出てくるんですよね。

fabulous」ベラドンナ・トゥックはトゥック老の「remarkable」三人娘のうちのひとりでした。トゥック家は妖精から嫁をもらったに違いないと他家の人たちから言われていて、ちょっとホビット離れしたところがあり、一族から冒険に出た者もいたのですが、ベラドンナはブンゴ・バギンズに嫁いだ「後は」特に冒険もしなかった…これをもってガンダルフに「poor」ベラドンナと言われてるんだろうけど…どうもこの文脈からいくと、fabulousとかremarkableというのは見てくれが美人で素晴らしいというよりは、きっと豪気で「牛うなり」の異名を取った先祖にふさわしい、冒険心のある人(ホビット)柄が魅力もあり、目を引くものだった、ということなんでしょう…。

なんて、考えだしたらいつまでも本を読み終われないんですが、これを機に、改めて原作本を読んでみるっていうのも、面白いかもしれませんね。 私は俄然ベラドンナ・トゥックに興味が湧いてきたんですけど、映画に出るのは肖像だけってちょっと残念…。誰か「ベラドンナ・トゥックの大冒険」書いてくれればいいのに。
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by silverspoonsjp | 2013-01-07 00:42 | 「指輪物語」関連の本
「二つの塔」の生演奏つき上映会があります!

詳しくはこちらまで。

去年は「旅の仲間」をやったそうなので、来年は「王の帰還」をやるんでしょうね。
ローハンのテーマが好きなんで、行くなら今年だけど、指揮はショアじゃないみたいだし。
第一、ニューヨークは遠いもんね…。
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by silverspoonsjp | 2010-01-17 01:25 | プチ日記

天皇陛下の全仕事

知ってるようで知らないのが天皇陛下のお仕事。

ということで、宮内庁担当記者だった著者が、
天皇陛下の日常業務について解説している本を読んでみました。

社会科でも習ったし、報道されているお仕事もあるし、その大変さは
だいたい予測がつきますが、それを上回る激務です。

思いもよらない仕事が重要な事もあります。たとえば、国体や植樹祭など決まった行事への出席。これらは各県持ち回りで開催されるため、地方を訪問することになるわけですが、なんと、飛行機なら空港まで、新幹線なら東京駅まで、首相がお見送りに来るそうです。(知らなかった…)

他にも、国家の象徴としての立場から、あれこれ気を遣わなければいけない点があり、その辺も考えるだに大変そうです。

それにしても、何がキツイって、「天皇の国事行為」と決められている仕事は、入院か外遊でもない限り、他へ投げられないことあたりでしょうね。
国会を召集するとか、総理大臣を任命するとかは、そうしょっちゅうはないでしょうけど、法律や条令を公布するとか、栄典を授与するとか、細々したものが結構あり、書類の決裁だけで週2回、午後かかりっきりになってしまうそうです。

事務仕事以外にも、接見とか、奉仕団の人への挨拶とか、気疲れしそうな仕事がてんこ盛り。週休二日にならない週も多く、代休もままならない。
この状態が定年もなく、退位するまで続くんですよ。
法律によって「生活のかなりの部分がほぼ自動的に決定済み」な生涯とはどんなものなのか、想像もつきませんが、本書で見る限りでは、本当にお気の毒な印象です。

おかげさまで日本の伝統が守られている面はあるのでしょうが、
(とかいって、実はほとんど明治に作られた伝統だったりするけど)
だからってこれで良いのかという気はします。
日本で一番「滅私奉公」してる人が今上陛下とは(泣

ここで図らずも、数年前に日本でも公開された、スティーヴン・フリアーズ監督の「クイーン」を想い出してしまいました。イギリスのエリザベス現女王を主役にした映画です。

映画の中では、労働党の党首であり、ある種究極の反対勢力とも言えるブレア首相が、エリザベス女王には敬意を持って接する姿が描かれていました。女王は、自分の義務と役割に忠実であろうと努力し、公人として自らを律しています。その姿勢からは、おのずと品格がにじみでています。
 
自分の都合より義務や原則を優先するとは、言うは簡単ですが、いろいろな意味で難しいことだと思います。女王も戦中・戦後の厳しい時代をくぐり抜けてきたので、「不自由な生活」にも耐えられるということはあるのでしょうが…。

ただ、品格を保つということはその一方で、失うものも大きいと、映画を見たときには感じました。ある決められた秩序からはみ出さず、変えるよりは忍従によって自分を律する姿勢は崇高ではありますが、これからの未来、それだけでやっていくのはなかなか難しそうな気配です。

本書は「クイーン」とは異なり、天皇陛下の信条や発言などが取り上げられる訳ではなく、ほとんどがお仕事の内容について淡々と記しており(仕事を通じて人柄を描いている箇所もありますが)、好感のもてる書きぶりです。

講談社現代新書
山本雅人
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by silverspoonsjp | 2009-03-08 22:36 | センス・オブ・ワンダーの本
先日、ひょんなことで「2001年宇宙の旅」(懐かしい)のスチル探しをしたのですが、画像を見ると条件反射的に、あの印象的なテーマ曲、リヒャルト・シュトラウス作曲「ツァラトゥストラはかく語りき」が頭の中で鳴り響いて止まらなくなり、あー何とかこいつを止めねば、しかし、「かく語りき」って、一体何を語ったんですか?と今度はそちらが気になりはじめました(試験が目の前に迫った受験生のような、困った状態です)。

まともな人なら、じゃ、ここで一丁、このタイトルの元になったニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」を読んでみますかね、となる訳ですが、生来怠惰な 気が短い江戸っ子なため、そんなかったるそーな本、読んでいられるかぃと思って(全国1千万のニーチェファンの皆さん、私をお許しください)、つい図書館からこんな本を借りてきてしまいました。

青木健 著「ゾロアスター教史」(刀水書房)

2色印刷の地味な表紙を見たとたん、一体何の間違いで、ニーチェよりこっちの方が簡単に読めそうだと思ったんだろうと後悔しました。…でも序論の2ページくらい読んでみたら意外や面白く、一気呵成に読み終えてしまいました。

だいたい、私が世間知らずなだけかも知れませんが、この21世紀に、拝火教徒が存在していること(しかもインドでは財閥として結構な勢力を築いており、インドつながりで言えば、クラシックファンならご存じの指揮者ズービン・メータやロックバンド・クィーンのフレディ・マーキュリーもゾロアスター教徒)、ニーチェつながりでは、イエス・キリストをも凌ぐアーリアの超人としてあのナチスが持ち上げ、熱狂的に研究していたこと、等々の事実には驚かされましたし、実に興味深いものがあります。

してみると、日本語でツァラトゥストラ/ザラスシュトラ/ゾロアスターを書き分けてるのは単に、ドイツ語/元来の読み/英語経由という、それぞれの発音の由来を書き分けたいという語学オタク的なこだわり以上に、由来の「含み」を表現したいという欲求が働いてるんでしょうね。

本来のザラスシュトラはと言えば、実体がよくわからない宗教家であったらしいのですが、彼の事を伝え聞いたローマ人やヨーロッパ人が勝手に神秘的イメージを付け足して理想化し、尾ひれが付け加わっていったようです。

この本は看板に偽りなく「教史」なので、教えの伝播や変遷に焦点があり、ゾロアスター教の中身そのものについては補足的な扱いです。そのため、もう少し教義そのものについて知りたいと、懲りもせずもう1冊読んでみました。タイトルはズバリ、

「ゾロアスター教」(講談社選書メチエ)

著者は「教史」と同じく青木健さんです。

こちらの方は、教義や儀礼について、もっと詳しく書いてあります。現代に残る儀礼も写真付きで紹介され、儀式で使われるナゾの植物ハオマ草の現状や、イスラム化したイランに今も残るゾロアスターの伝統(詩を暗唱してる人がエライとか、緑が好きとか…)またまた興味深い話題満載なのですが、読みやすさを優先してか一つの話題が短いので、ダイナミックさでは「教史」に一歩譲るように感じました。

さて、「教史」によりますと、「ザラスシュトラがかく語った」内容とは、世界は善と悪の二つの勢力の戦いである、という考え方や、善悪どちらにつくかは個人の選択である、という人間の自由意志の存在、その選択に伴って死後の行き先が決まるという考え方、個人だけでなく世界にも終末があるという終末論、救世主の出現を予想する思想などだそうで、そうだとすれば、キリスト教や仏教、イスラム教などに直接間接に与えた影響は確かに多大なものがあります。

とは言え、後から付け足された「東方の大賢人」というイメージもかなり当社比300パーセント増しくらいのバブリーな評価になってるらしいですね。

そこで、話は最初にもどって「2001年」との関係をつい考えてしまう訳ですが、ニーチェは、ツァラトゥストラの名に仮託して「神は死んだ」「超人思想」「永劫回帰」の思想を語っている(と、「ツァラトゥストラはかく語りき」のあらすじに書いてある…(爆))なので、その辺が映画のテーマ曲に使われる理由なんでしょうね…。さすがキューブリック監督。
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by silverspoonsjp | 2009-02-02 23:58 | 人文科学の本

西の魔女の家

「西の魔女が死んだ」が映画化され、そのロケ地が公開されているという話を聞いて、
長らく行きたかったのですが、ようやく実現しました。
実はまだ映画をみてないので(^^;建物自体に感心しただけで帰ってきちゃったんですが、きっと映画をみたあとなら感激もひとしおなのでしょう(ラッコ庵さんのブログで拝見して以来、行く気まんまん)

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ロケ地は清里にあります。私のイメージの中の清里は、ファンシーなお店が立ち並ぶ、原宿のような場所(←何せ、バスで駅周辺を通ったことしかなかったので)。わざわざ出かける気にはなれない場所でした。

ですが、実際に出かけてみると(天気がよかったおかげもありますが)、爽やかでゴミゴミしていない良いところで、とても気に入りました。
ロケ地は、キープ協会が遊歩道を設置している林の中にあります。そこに、映画撮影のために2ヶ月ほどで家を建てたのだとか。
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模様ガラスや木枠など古い昭和の家っぽいディテールと、いかにもイギリスな家の設備が何とも良い雰囲気でした。

セットなので建物の中には入れませんが、神奈川から今年3月に移住してきたという感じの良いお嬢さんが応対してくれました。40年住んでいる家の感じを出すのにわざと汚しを入れてるので、窓の掃除も周りを拭き残すとか。

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入場料は300円ですが、係の人も常時いるし、庭先で紅茶が飲めるし、却って持ち出しなのではないかと思うほどです。
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朝8時過ぎに東京を出ると、高速バスでも電車でも、だいたいお昼に清里に着きます。
日帰りですと、帰りは3時半くらいに出て、帰りつくのが7時過ぎ。

とはいえ、こちらは公共の交通手段で行きますのでドライブするわけでもなし、普通の格好だからトレッキングもできないし、そんなに長いこと居るようなとこなのかなあ?と思っていましたが、キープ協会の持っている牧場をみたり、牧場の売店に入ったり、富士山を眺めたりしていると、あっという間に帰る時間になってしまいました。

噂にたがわず、牧場でいただくヨーグルトや牛乳のおいしいこと!これまではニュージーランドが一番だと思っていましたが、こちらの牧場のは味の面でまた違ったおいしさで、すっかりファンになってしまいました。ロールケーキもおいしいし。。。(湯布院の有名なロールケーキより数倍おいしいと思う)

ということで、清里に行ったというよりはキープ牧場詣ででしたが、大変楽しめました。どんなところかみてみたい方はこちらを。通販もやってるそうです(できればその場で食べたほうがおいしいとは思いますけど)
天気がよければ、お食事は有名な聖泉寮より、ファームショップのテラスをおすすめします。秩父連峰や富士山も見える絶景の高原です。

帰りは臨時列車「ホリデー快速」で小淵沢から新宿までノンストップ。祝日でしたが、臨時だったおかげかきれいな二階建ての列車はガラ空きで、お値段も普通乗車券の料金とリーズナブル。「○ずさ」「○まかいじ」「あ○ま」なんかよりずっと快適でした。

清里駅の売店では3時の時点ではや「峠の釜めし」は売り切れ。小淵沢の駅でも他のお弁当しか売っておらず、快速は車内販売してないので今回は駅弁なしだったのが、グルメ旅としては(いつのまに?)ちょっと惜しかったです。
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by silverspoonsjp | 2008-09-23 23:57 | 本にまつわるエトセトラ

リハビリ中

予告しておきながらさっぱりエントリーしないですみません。

物理的には戻ってきてたんですが、
ちょっとこれのおかげで
どっかよその世界に行ってしまいました。いまリハビリ中です。
明日は帰って来られるかしら…
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by silverspoonsjp | 2008-08-07 23:58 | プチ日記