本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
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以前、いつもお邪魔してるブログに、他人の読書ブログから文章を頂いて読書感想文を書いちゃう子たちに向けて、びしっ!と注意している記事があがっていて、その毅然とした姿勢に、さすがだなーと感心したものでございますが、そうは申せど、ヘタレ学生だった自らを省みますに、あの頃ネットがあったら、注意する側よりされる側だよなーとつい思っちゃいました。

だいたい、読書感想文って何なんですかね。

思うに、まずは本を読んで欲しいから、課題として出してるんでしょうね。だから、盗作うんぬんより前に、読みもしないのが一番いけません(本なんて強制されて読みたかねーよ、というあなたは私のお友達ですが、食わず嫌いということもあるから、ま、学生のうちは我慢してね)。

次なるハードルは、振り出しに戻るようですが、何を書いたら読書感想文になるかってことなんですよね…。こういう宿題を出す学校では、ちゃんと指導してるのでしょうか。

私も学生のうちは全くわかってませんでしたが、国語教育の研究会とかに顔を出すようになって、ようやく「読書感想文」のツボというか、心がまえがわかりました。

どんな感想文を書けば、点がもらえるのか。

ずばり、答えを言うならば、「読書感想文」とは「作文」の延長上にあるのであって、本のあらすじ紹介とか、本の中身がどんなに面白かったかとかはメインではなく、自分や家族、友達の体験と本の内容をリンクさせ、本の内容に「自分」がどう啓発されたか、ということが書いてないと、ダメみたいなんですよね。最近は「読んだ本を友達に紹介してみよう」みたいな課題も出つつあるようですが、基本的には「感想文」=「自分語り」ってことらしい。

道理で、大人の書いた書評を読んでもそんな芸風の記事が混じってるワケですよ。

書き手が有名人で、読者が書き手自身に興味があるならいざ知らず、普通、読み手が知りたいのって本の中身ですから、読者様からお金を頂く書評記事で、読書感想文的アプローチはダメダーメ☆

じゃどういうのが、お金をもらえる記事なのかといえば、それはつまり、人を読む気にさせる書評ですね、はっきり言って(評論やレビューは別ですが)。それに、書評自体も読んでもらわなくちゃいけませんから、上手い人ほど発見のある書評を書きます。

…と、思っていましたが、それは旧メディアの発想で、ネット上ではまた違うから、面白いもんですね。ブログであまり「書き手」の色が出ていない、無色透明な書評記事ってつまんないですもん。

ありゃ、今日書きたいことから、話がだいぶ逸れちゃいました。

国語の授業でやる「小論文」なんかも、「読書感想文」と似たりよったりの状況で、何をどう書くかという訓練を受けた学生は少ないんじゃないでしょうか、というとこに話を持って行きたかったんですが、大学の1,2年生を受け持ってる先生には、学生が論文の書き方を全然知らないと頭を抱えておられる方が多く見受けられます。えーまさかー?!と思われますか。

で、取りいだしましたるは本日ご紹介しようというこの本、「論文の教室-レポートから卒論まで」でございます。この本は大変売れているらしく、6年前に出て今年でもう28刷!
読めばナットク、こりゃお買い得です。

この本、1120円なんですが、1ページ最低2カ所は笑えてこの値段、一笑い2円はおトクですよね…って別にお笑い本とかじゃないんですけど(計り売りでもないです)、人目のあるところで読むとアヤシイ人になりそうなので、取り扱いには十分気をつけてください。

中身は至ってシンプルで、これまで論文をきちんと書いたことがない人向けに、、論文とはどういう文章で、どういうことに気をつけるべきか、どうやって論文を書いたらいいのか、手取り足取りお教えしましょうという、ありがたいものであります。

そして、まえがきを読んでもわかる通り、
この本の特徴はこれ-

「私はなるべく多くの方々に読んで頂きたいと念じつつ本書を執筆した。…さて本を売るにはどうしたらよいだろう。タイトルを『ハリー・ポッターと魔の論文指導』にして、腰巻きに『ワーナー…ブラザーズ映画化決定!』と印刷してもらえばよいのではないかという名案も浮かんだ…」

あぁ、ふざけてるみたいですけど、読んでもらえばこんなおちゃらけたまえがきさえ、論文の書き方に乗っ取って書いてることがわかるので、書棚に戻さないでください…。

著者も言うとおり、この手の本の最大の欠点は、最後まで読み通せないことなんです。そう言われて私も類書を読んでみましたが、確かに、読み通せたのはこの本だけ。それはギャグ満載だから(だけ)ではなく、挙げてる例が面白くてしかも的確だからです。

まずは、某大学工学部の「作文ヘタ夫くん」(ベタだなあ…)のダメダメレポートのダメっぷりを分析するところから話がスタートするんですが、あー、あるあるあるあるこういうレポート(っつーか、仕事でこんなのばっかり読まされてるんですけど…じゃなくて私もうっかり書いてますごめんなさい☆)って身につまされるので、だまされたと思って、本書21ページから25ページまでだけでも読んでみてください…と言っても、すぐに見られるとも限りませんので、意地悪しないで分析の一部を引用させて頂くと…(後でぜひ、実際の例文もご覧になってみてくださいね)

「ヘタ夫の論文には、私が十数年の教師生活で会得したダメ論文作成法のノウハウが凝縮されている。いやなノウハウだけど。
 とくに(1)課題を選んだ理由ではじまる論文 
  (2)「ここで終わりにさせていただきます」で終わる結婚式のスピーチみたいな論文
  (3)『広辞苑』攻撃を含む論文
  (4)単位くださいと書いてある「クレクレタコラ論文」には、何度もお目にかかった。教員は「単位くれ」と言われると、反射的に「やらね」と思うので、本当に単位がほしいなら絶対にこういうことを書いてはいけない」


どうです?実用的でしょ(そういう問題か)?

この本が私が学生だった1年前に出ていればなあ(大ウソ)
いえいえ、社会人になってからも、この本を読んでいなかったのが人生の損失と悔やまれてなりません。第一、添削不可能な論文書いてくる人に、さりげなくプレゼントすれば時間の節約になったのに…あーいえげほげほげほげほ。自分のをまず直せですすみません。

余計なお世話ですが、書店に並べるときは、NHKブックスの棚はもちろん、国文とか学習参考書の棚よりも、松本人志とかの隣の方がいいんじゃないかと思います。なお、今回のエントリータイトルに関する話は、まえがきとあとがきに出てます。

論文の教室
戸田山和久
NHKブックス
日本放送出版協会 2002年
1120円
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by silverspoonsjp | 2008-12-07 23:49 | 人文科学の本 | Trackback | Comments(4)

ヨーロッパ中世象徴史

歴史の本を読んで、ああ、読んでよかったーと思うポイントは、読む人によって違うと思います(まあ、何の本でもそうでしょうけど)。

私の場合、その本を読んで現在に生かせそうかどうかとか、歴史的人物の生き様が感動的かどうかとか、そういうことははっきり言ってどうでもよいのであります。

-ちなみに私の大嫌いな歴史の本とは、読むとお手軽に「◎◎の歴史」がわかってしまう「教養のための◎◎史」の本とか「へえーーー!」と言わせるのだけが目的で、「それがどうした」なトリビア本であります-

つまり、それらとは別に、著者の目の付け所(こんなことを調べるのね?)とか、思わぬものを資料にして思わぬ史実を引き出すとか、集め並べた材料をまとめて、ひとひねりある結論に至るとか、そういうところに賭けてる訳なのですが、同じ趣味の方がいらっしゃれば、この本には花丸をいくつつけてもまだ足りない、という感じになるのではないかと思われます。

まあ、ずばり言って、事実の断片を拾い集め、あるいは思いがけないものを証拠として採用し、犯人を検挙し、またその動機を推察するという、シャーロック・ホームズものに通底する面白さがあるとでも言いますか(むむ)。

本書は、教養本なら如何にもやりそうな、
「ライオン」というお題を出して、そもそもライオンは中世に於いて…
みたいなつまんないアプローチは取りません。当然、ライオンについての考察はありますが、まずはいきなり、「動物裁判」の話から入るんです。

ヨーロッパの人々と動物の関係と言うとき、まず頭に浮かぶのは、キリスト教と動物との関係です。ふつう、日本でよくお目にかかる記述は、キリスト教では人間と動物が決定的に対立している、あるいは、人間こそが神の恩寵を受けた万物の長と思い上がっている、というものですが、それはどうやら単純にすぎる見方のようです。

中世の人々は動物の来世に思いを致したり、さらに現実的な問題として、安息日の日曜に動物を働かせてもよいか、とか、動物に責任能力はあるのか、ということを考えたりしたようです。

中世には、動物を被告にした裁判が開かれたということです。そして、刑罰を加えられた動物もありました。このことは何を意味するのか。著者は訴訟の数や、公式に残された裁判記録の数などを勘案して考えます。訴訟はたくさんあった。一方で、証言は少ない。それは何を意味するのかー。

ここで著者の導き出した結論は仮説であり、しかも実証は困難です。しかし、ここで大切なことは、こうした裁判が彼らの社会に存在したこと、今日の目から見れば好奇の対象でしかないけれども、当時の人々は、これを今日とは違う感受性でとらえていたはずである、と想像することなのでしょう。

象徴は外側に見え、現在でも遺されたものから知覚できますが、その裏にある考え方を知ることは、現代人にとって非常にむずかしいという例が、本書では多く示されています。たとえば、「青」は現代人にとっては寒色ですが、中世では暖色とされていました。青は空気の色であり、暖かくて乾いているから、という理由だそうで、著者は
「美術史家が中世において青は現代と同じように寒色だと考えたら、何から何まで間違えてしまうだろう」と述べています。

あるいは、「斧」と「ノコギリ」は同じ工具でありながら、中世の人にとって、ノコギリは悪のイメージがあるーそれを納得させるため、中世の人と「木」との関係から説き起こされているのですがーなど、気づきようもない知見が存在しています。そして、中世の象徴を理解することの困難とその意義は、著者のこの言葉に凝縮されているでしょうー。

「象徴はそれが表象する現実の人物や事物よりもつねにより強力で、より真実である。中世においては、真実はいつも現実の外に、現実の上位に位置しているからだ。真なるものは現実に存するものではないのである。」

時代の違いに加え、キリスト教的解釈の展開に伴う価値観の転換や、言葉の問題、地域文化の違いなど、他にも考慮しなければならない要素はさまざまにあります。しかし、困難にもめげず、象徴が使われた当時の価値観に沿った解釈を試みる著者の果敢さと洞察力に敬服すると共に、門外漢の一読者としては、極上のミステリーを読むのと同じ楽しみを味わう訳なのです。

ミシェル・パストゥロー 著
篠田勝英 訳

〈目次抜粋〉
動物
  動物裁判/獅子の戴冠/猪狩り
植物
  木の力/王の花
色彩
  中世の色彩を見る/白黒の世界の誕生/中世の染物師/赤毛の男
標章(エンブレム)
  楯型紋章の誕生/楯型紋章から旗へ
遊戯
  西欧へのチェスの到来/アーサー王に扮する
反響
  ラ・フォンテーヌの動物誌/メランコリーの黒い太陽/アイヴァンホーの中世

白水社
436ページ 6600円
ISBN-10: 4560026386
2008年 
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by silverspoonsjp | 2008-11-24 22:53 | 人文科学の本 | Trackback | Comments(10)

箔力展

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皆様ごぶさたいたしました。
HDDを取り替えたはいいものの、旧HDDの内容がさっぱり移行できず、
特にダウンロードで購入したソフトはほとんど使えなくなって泣きべそかいてた銀の匙でございます。

しかし、泣いてばかりいた訳ではなく(そりゃそうでしょう)、
やることはやっていた今日この頃。先週は、神保町にあります紙の専門店「竹尾」のショールームにお邪魔いたしました。

1階はサンプルをみて紙を購入できるショールーム、2階は小さな展示室になっています。
ただいま、「箔」を使ったブックデザインの展示で、出品者のお一人から教えて頂き、覗いてみました。

宮沢賢治の「注文の多い料理店」と「銀河鉄道の夜」のブックカバーを、箔押しを使ってデザインするというもので、現役の著名なブックデザイナーが競作しています。

本の表紙やお菓子のパッケージなどに、金や銀で文字や図案が印刷されているものがありますが、あれは「箔押し」という方法で作っています。スタンプみたいなものを作って、ホントの金箔銀箔で押すんです。あっ、誰ですか、本の表紙をこすり始めた人は!取れませんよ!!
(第一、売れませんて)

時々製本所の方から、「あぶらとり紙」と称する千代紙サイズに裁断した紙を頂くんですが、箔押しに使った金箔の台紙のリサイクルなんですねー。

金銀のほかに色を使った箔押しもあり、上手く使うととてもおもしろい効果が出せます。今回の出品作品でも何点か見かけました。

みみっちい話になりますが、箔を使うとインク代2色と同じ(かそれ以上)の料金がかかるため、4色フルカラー印刷プラス箔押しというのは、出版ではよほどゴージャスな装丁か、お正月特大号の表紙でもなければやりません。それ以外は、

1.箔以外の色を2色にして節約する。
2.紙を色紙にして刷り色は1色にする。(←特殊な紙はこれまた高いので)
3.箔っぽく見せて実は印刷にする。(実は結構ある)
4.あきらめる(←一番多いパターン)

というわけなので、今回は大変目の保養になりました。特に「銀河鉄道の夜」と箔押しの相性はばっちりで、思わずジャケ買い!なデザインばかり。あのカバーで読んでみたい…。

ということで、ようやくスキャナやIMEも使えるようになったので、ぼちぼち更新して参ります。よろしくお願いいたします。

「箔力展」
場所:竹尾 見本帖本店2F
期間;2008年11月10日(月)~12月5日(金)
    10:00~19:00(土・日・祝休)

詳しくはこちら
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by silverspoonsjp | 2008-11-23 00:07 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(0)

西の魔女の家

「西の魔女が死んだ」が映画化され、そのロケ地が公開されているという話を聞いて、
長らく行きたかったのですが、ようやく実現しました。
実はまだ映画をみてないので(^^;建物自体に感心しただけで帰ってきちゃったんですが、きっと映画をみたあとなら感激もひとしおなのでしょう(ラッコ庵さんのブログで拝見して以来、行く気まんまん)

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ロケ地は清里にあります。私のイメージの中の清里は、ファンシーなお店が立ち並ぶ、原宿のような場所(←何せ、バスで駅周辺を通ったことしかなかったので)。わざわざ出かける気にはなれない場所でした。

ですが、実際に出かけてみると(天気がよかったおかげもありますが)、爽やかでゴミゴミしていない良いところで、とても気に入りました。
ロケ地は、キープ協会が遊歩道を設置している林の中にあります。そこに、映画撮影のために2ヶ月ほどで家を建てたのだとか。
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模様ガラスや木枠など古い昭和の家っぽいディテールと、いかにもイギリスな家の設備が何とも良い雰囲気でした。

セットなので建物の中には入れませんが、神奈川から今年3月に移住してきたという感じの良いお嬢さんが応対してくれました。40年住んでいる家の感じを出すのにわざと汚しを入れてるので、窓の掃除も周りを拭き残すとか。

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入場料は300円ですが、係の人も常時いるし、庭先で紅茶が飲めるし、却って持ち出しなのではないかと思うほどです。
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朝8時過ぎに東京を出ると、高速バスでも電車でも、だいたいお昼に清里に着きます。
日帰りですと、帰りは3時半くらいに出て、帰りつくのが7時過ぎ。

とはいえ、こちらは公共の交通手段で行きますのでドライブするわけでもなし、普通の格好だからトレッキングもできないし、そんなに長いこと居るようなとこなのかなあ?と思っていましたが、キープ協会の持っている牧場をみたり、牧場の売店に入ったり、富士山を眺めたりしていると、あっという間に帰る時間になってしまいました。

噂にたがわず、牧場でいただくヨーグルトや牛乳のおいしいこと!これまではニュージーランドが一番だと思っていましたが、こちらの牧場のは味の面でまた違ったおいしさで、すっかりファンになってしまいました。ロールケーキもおいしいし。。。(湯布院の有名なロールケーキより数倍おいしいと思う)

ということで、清里に行ったというよりはキープ牧場詣ででしたが、大変楽しめました。どんなところかみてみたい方はこちらを。通販もやってるそうです(できればその場で食べたほうがおいしいとは思いますけど)
天気がよければ、お食事は有名な聖泉寮より、ファームショップのテラスをおすすめします。秩父連峰や富士山も見える絶景の高原です。

帰りは臨時列車「ホリデー快速」で小淵沢から新宿までノンストップ。祝日でしたが、臨時だったおかげかきれいな二階建ての列車はガラ空きで、お値段も普通乗車券の料金とリーズナブル。「○ずさ」「○まかいじ」「あ○ま」なんかよりずっと快適でした。

清里駅の売店では3時の時点ではや「峠の釜めし」は売り切れ。小淵沢の駅でも他のお弁当しか売っておらず、快速は車内販売してないので今回は駅弁なしだったのが、グルメ旅としては(いつのまに?)ちょっと惜しかったです。
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by silverspoonsjp | 2008-09-23 23:57 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(0)

Beowulf(ベーオウルフ)

見ないで終わってしまった映画とも(結局何だったんでしょうねーアレは)、
「指輪物語」とも特に関係なく、
ゲルマン英雄詩のretold版(英語初心者向けにやさしく書き直した本)として手にとってみたのです。

このシリーズは、お話を読みながら英文学や英語にまつわるトリビアも楽しめるので一石二鳥…と思ってたら、早速コラムにはKennings(ケニング)が登場。いきなりツボを突いてきましたねー。

ケニングというのは、詩の技法の一つで、ある決まった言い回しによって何かの単語を象徴する比喩のことです(アイスランドの神話「エッダ」の講義を受けたときに出てきて以来なので、旧友に再会したような気持ち)。

たとえば「兎より早く走る」といえば「カメ」とか(←こんなケニングありません)
「フロドのダイモン」といえば「サム」とか((C)よもやま。こんなケ…)

ベーオウルフの中のケニングとしては、
The Breaker of the Rings」
が紹介されていました。
Ringsを壊すものとは何のことでしょう?
答えは「王」です。その昔、王は黄金で出来た輪を身につけており、時にそれを壊して、家来に報奨として与えたことから出た比喩だとか。

何か、この単語の並び具合はどこかで…

と思ってると、やっぱり「The Lord of the Rings」とその著者・トールキン教授の「ベオウルフ研究」についても触れられて、ばっちり別コラムもあります。その辺、実に抜かりのない編集であります。

ほかにも、良い王の条件とは「強いこと、リーダーシップがあること、名誉ある死を重んじることに加えてユーモアのセンスがあること」とか、キリスト教とベオウルフ成立の関係とか、ゲルマン民族にとって剣がいかに神聖なものであるかについてとか、本編そっちのけでコラムに気を取られつつ読了致しました。

お話そのものはGeat族の勇者ベーオウルフがデーンのフロースガール王の宮殿に巣くう魔物と、その魔物の母を退治するという前半部と、老いたベーオウルフが、宝物を守る竜を退治する話という後半部から成っています。当然、後半部と「ホビットの冒険」との関わりは気になるところですが、宝を守る竜というのは、古来よく使われる物語のモチーフのようです。

二つの話は一見関係なさげですが、前半に出てきたフロースガール王がベーオウルフに与える忠告、すなわち、英雄も自らを恃み、ただ老いれば、魔物が忍び寄ってくるという言葉によってつながれています。

原文は古英語による詩なので絶対歯が立たないと思い(サトクリフはさらに読む気がしない…)、ずるしてリトールド版で粗筋だけつまみ読みをしてしまいましたが、なかなか面白かったです。

Black Cat Publishing
ISBN 9788853006363
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by silverspoonsjp | 2008-07-10 23:34 | 「指輪物語」関連の本 | Trackback | Comments(0)

こんなケーキって?

先週末、かなり時期は違うのですが誕生日を祝ってもらいました。

行きつけ(?)のケーキ屋さんでバースデーケーキを注文してくれたらしいんですが、
「合点、お任せで」
と言われたらしく、どんなデザインで何のケーキかは、開けてみてのお楽しみだったようです(まるで、ロシアン・ルーレットのようだ…)。

幸い、(常識の範囲内で)あまり好き嫌いはないので、箱を開ける決定的瞬間を待ちます。

で、開けた結果がコレ。

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おわかりでしょうか、マジパンで羊皮紙の形をかたどってあるんです。
ほほー!!
ケーキ屋のオヤジに見切られたって感じ…?
いえいえ、今まで作ってもらったケーキの中で、一番嬉しかったかも。
(しかし、なぜこのデザインにしたのか、今度行ったら聞いてみよう)

あ、ちなみに中のお味は抹茶でございました。量もちょうどよくて上品なお味。
ごちそうさまでした~。
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by silverspoonsjp | 2008-07-08 23:41 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(8)
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晴れて風がある日は、どうしても風に吹かれて食事がしたくなります。静かで、戸外にテーブルが出ていて、日陰が涼しくて、坂道があるのでいつでも心地良い風が吹いている-となれば、やはりここ、田園調布でしょう。

と行っても、目指すお店は大田区の田園調布ではなくて、世田谷区の「玉川」田園調布にあります。この地名-きっと謂われはあるんだろうけど、どうしても「パチモン」的な印象が拭いきれないのですが、なかなかどうして、趣味の良い家(←ギョッとするような豪邸じゃなくて)や手入れの良い庭のある、落ち着いた住宅街です。東急の奥沢駅が最寄りですが、印象としては、「梅ヶ丘」とか「豪徳寺」とか、小田急の沿線に似た感じです。

ここに、自宅の一角を使ったpate屋さんがあります。古い栃の木や柚子の木なんかに囲まれたテラスがあって、そこに座って木々のざわめく音を聞いていると、それだけで何も要らない…という訳にも行かないので、いちおう注文はして、後はただずっと、風の音を聞いていました。

そうやってずっと夕方まで本でも読んでいられたら、最高なんだけど…。

田園調布駅までも歩ける距離なので、そのまま、てくてく歩いていきました。
駅前の本屋さんで
「拍手のルール」
が大きく陳列されてて、あたりの雰囲気にあまりにマッチしているので思わず吹き出しちゃいました。

クラシック音楽を聴くときに、静かな曲が終わりきらないうちにいきなり拍手する大バカ者がいますが(ブラボーとか論外)、初めて聴く曲のときはフライングしそうで危険ですよね…。この本を見れば、どの作曲家のときにどうリアクションすべきか一目瞭然です(いや、それだけの本じゃないですが)。作曲家別に危険度がありますが、モーツァルトの「全曲安全」には笑わせて頂きました。

クラシックというとウンチク話ばっかりだったり、逆に、妙に啓蒙的な本が多かったりするなかでは、演奏家としての実感から出ている話ばかりで好感が持てますし、ギャグのスベリも少なく(え?)、面白かったです(←結局1冊立ち読みしてしまいました。ごめんなさいごめんなさい 今度別の著書を立ち読みしないで読みますからお許しください)

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(←田園調布駅の駅舎。地上部分超小さし。可愛いです)
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by silverspoonsjp | 2008-06-15 23:27 | 東京ところどころ | Trackback | Comments(2)

雑誌のバックナンバー

神保町のRBブックパワーが扱い品目を減らしてからというもの、雑誌のバックナンバーが手に入れにくくなって本当に困っています。

いったいあの大量の在庫をどこへやったのか?…の詮索はさておき、古雑誌というものは手に入りにくい割にはプレミアも付きづらく、あまり良い商売ではないんでしょうね。

銀座の教文館、神田の三省堂本店など、新刊書店で扱っている雑誌はそれほど多くないし(恐らく、次号が届いても返品しないと買い取りになってしまうためだと思います)、Fujisanなどのネットショップや版元の通販は、今も続いている雑誌で直近の号しか普通は置いていません。

頼りの図書館も、たいていの図書館では最近2年分くらいのしか置いてないのではないでしょうか。以前、廃刊になった大変貴重な雑誌の全号揃いを図書館に寄付しようとしたら、古雑誌は要りません、と思いっきり断られたことがあります(仕方ないから大学図書館に寄付しました)。

かような困難があろうとも、たとえば80年代前半に流行ってたスタイルについて知りたい!というような時は、本を見るより雑誌を見た方が確実。そして今はインターネット時代、どうしても買いたいという以外は日本の雑誌なら中味を見る方法はあるのでした。

一つは、国会図書館のアーカイブ「PORTA」を利用する方法。

↑このサービスは説明がわかりづらく、いまいち何が出来るのか判然としませんが、少なくとも、国会図書館に見たい雑誌が所蔵されてるかどうかはわかるので、あればお近くの図書館を通じて閲覧する、または国会図書館で見ることが可能です。運良くデジタル化されていれば、居ながらにして画像を見ることも可能(要登録)。

そして最近マイクロソフトのポータルサイトで始まったのが、
マガジンサーチ」というサービス。

今のところ、マガジンハウスの発行する「クロワッサン」「ターザン」など数誌のバックナンバーが閲覧できるだけですが、それでも全ページ読めてしまうのが凄い。

最近では雑誌もデジタル製版だろうから、印刷直前のデータを使えば、アップロードはお手のものなんでしょう。

ということで、直接の制作費はかからないとはいえ、一体どういうビジネスモデルになってるのか、それには興味があります。マイクロソフトが補助を出すとか…あり得ないか…あるいは、今後は広告を、バックナンバーとしてwebで宣伝できると言って集めようという算段なのでしょうか。雑誌の広告集めは苦戦しているし…。それにしても、なぜ苦戦しているかは、読者が減ってるからなのですから、何週間か待っていれば必ず無料で全ページ読める雑誌をわざわざ買う読者はますます減るのでは、というのは余計な心配なんでしょうか。

以前、某大手出版社で雑誌の編集をしている人に、冗談とも本気ともつかない口調で、「私たちは消耗品を作ってるだけだから…」とグチられたことがあるんですが、デジタルなら読み捨てられないけど、紙版が買っても貰えなくなったらわざわざ雑誌って形で出すことないですものね。
(やっぱりパソコンの画面で雑誌の紙面は読みづらい)。

一体、どうなることやら…。
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by silverspoonsjp | 2008-06-13 23:26 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(8)

整理整頓は大切よ☆

先日、漫画家の雷句誠さんがご自身のブログで、もうこれまで描いていた雑誌では描かない、という趣旨のコメントをされていました。

版元は一体何やっちゃったんだろう~と身にいろいろ覚えのある私は冷汗三斗。そのときはどこにも理由の説明がなかったため、とても他人事とは思えなくてそれとなく知り合いに聞き込みしたりしてましたところ、今日のニュースで理由(か、理由の一部)が判明しました。

ナニ、原稿を無くした?!(エコー)

この業界、この手の黒武勇伝は枚挙に暇がありません。酔っぱらって網棚の上に原稿を置き忘れてついに見つからず、センセイにイヤミを滝のように浴びせられながらもう一度書いて頂いた人の話とか(←この人は懲りない人で、その後も酒をやめず、朝起きたら十字路の真ん中で寝ていたとかいう逸話もある)、印刷所が原稿をなくしたのに証明できず、始末書書かされて懲戒の憂き目にあった人とか。

原稿じゃありませんが、これまで実話として聞いた話の中で一番ホラーなエピソードは、風呂敷に包んで持っていた試験の解答用紙を、路面電車から降りる拍子にばらまいてしまい、辞表を胸に校長の元を訪ね「どんな処分もお受けします」と頭を下げた教師のお話ですね(だってあなた、学校たって陸軍中野学校なんですから…)

最近は文字原稿だとほとんどコンピューターだから、あまりこういう話は聞かなくなりましたけど、これらのケースで問題になったのは、活字になる前に原稿を無くしたということであり、たぶん、手書きの文字原稿だったら作家に返さない出版社も結構あるんじゃないでしょうか。で、本が出てしばらくたつと、場合によったら古本屋に売っちゃったりするとんでもない版元もあったんです。村上春樹の自筆原稿を古本屋に売っちゃった事件もありましたよね…。

さて、理由が判明してみると、このニュースの中で一番驚いたのは、人気漫画家さんのカラー原稿の稿料がたったの1万7000円だったってことです、そりゃ、単行本にすれば別に印税が発生するわけだからトータルで見れば安くないんだろうけど。用意周到なことにこの作家さんは、ご自身の原稿をオークションにかけて、客観的な価格を調査したそうです。そしたら25万円。漫画の展覧会に行くと、生原稿には大変な迫力があり、美術品という主張も頷けます。それを粗末にされちゃ、怒るでしょうねえ…。

それにしても、全員に同じ稿料を払っているわけではないだろうから、値段を公にされて困ってるだろうな、担当の人は…。訴訟より何より、制裁として痛いのはそれかも…。

しかし、編集部と名の付くところに入ったことのある人は、こりゃモノがなくなって当たり前だって感想を持つでしょうね。各人の机の上やら共有スペースやらはほとんどチョモランマ状態。俗に「台所が汚いほど料理はウマイ」っていうけど、そういう問題なのかしら?デザイン事務所に行くと、みんなこざっぱりと片づけてるじゃないですか、あんなに資料やら画材やら多いのに。

ということで、〆は自戒として、オフィスはきちんと整理整頓しましょう、ってことで…。
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by silverspoonsjp | 2008-06-06 21:50 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(4)

ブッククラブ

読みたい本を全部買ってたら、そりゃお金が持ちません。ネットで借りられるようになってから図書館の貸出サービスも利用しやすくなったものの、ジャンルによっては全然置いてないし(何のジャンル…?)

と、考える事は同じなのか、世の中にはブッククラブというものが存在いたします。
一口にブッククラブといってもいろんな形態がございます。
定期的に集まって、ある本について意見を交わす読書会のようなものもあれば、共同購入の形で本を定期的に購入する会のこともあります。子ども文庫のように、あるジャンルの本を集めた場所で本を読むのも、ブッククラブの一つですよね。

むかーしむかし、子ども向けの本(キンダーブック)を定期購読してましたが、これも一種のブッククラブかも。HPで確認したら、もう81年の伝統があるそうですね。なるほど、国語学者の金田一さんが「きんだいちブック」と思ってた訳だ…。

以前、Sonyやいくつかの会社が集まって、電子出版を配信するTimebook LibraryとTimebook Clubというシステムを作ってたことがあります。たぶんもうサービスは終了してしまったと思いますが、面白い試みでした。まあたぶん時期尚早すぎたんでしょうね。ここに参加してた企業のうち、新潮社はDSへ、シャープはケータイへ、配信先を広げたので、きっと無駄ではなかったんでしょうけど。

私の家の近くにはないので、その存在すら知らなかったのですが、貸本屋さんというのもまだあるそうですね。あと、マンガ喫茶とか。ただ、これらはブッククラブとは言いづらいでしょうね。

ブッククラブの第一の特徴は、会員制であることです。その点では、六本木ヒルズにある有料図書館「六本木ライブラリー」も一種のブッククラブと言えるかもしれません。

会員制というだけで、何か秘密めいたワクワク感を覚えるのは、イギリスものの見過ぎ?あるいは神保町に長く居すぎたせいなのか…。(本の街というくせに、◎花隆以外は街で見かけたことがない!とおっしゃる貴方、それはセンセイ方がバーだの会員制の場所だのに居られるからなのですよ-缶詰めになってる方もいますが-)

かくいう私も近頃のポンド高ユーロ高で全く洋書が買えなくなったため(アメリカ版が手に入るときはいいんだけど)、ついに意を決してブッククラブに入ることにしました。会員費は良心的ですし、欲しい本が揃っていて満足しています。難点といえば、図書館形式なので行かなくちゃいけないことで、会員費より交通費の方が高くつくし、仕事が混んでくると行かれないんだけど、まあしょうがありません。中国語の本だったら、中国食品店とかで借りられるのに…。

というわけで、早速シャーロック・ホームズもののリトールド版(外国人用にやさしく書き直したもの)を借りてみました。イタリアの出版社Black Catというところが出してるシリーズで、CDがついてるのと、挿絵がカラーできれいなのが目を引きます。

実際に中を読んでみると、語学学習用の本として優れた編集で感心しました。短編が何本か載っているのですが、冒頭にきちんと人物紹介があります。しかも「わたしは誰でしょう?」式のクイズ形式で、漫然と読みとばす心配がありません。後に続くお話の読み取りがスムーズになるような、さりげない工夫です。

CDを使って巧みに聞き取りの練習ができるようになっているページや、章末には書き取りの練習ができるようになっているページもありますが、いかにも練習問題という感じではなく、着せ替えのような穴埋め問題とか、自分がその場に居合わせたと仮定して短い手紙を書く問題とか、いずれもやってみたくなるエクササイズで、上手いもんだな~と感心しました。

章末に置かれている、作者・ドイルに関するコラムも面白く読みました。

難しい単語には脚注がついてるのですが、読み進むうちに不思議なことに気が付きました。普通、日本で出てる学習用の本なら取り上げるような単語は落としていて、keyとかgooseとか、基本単語じゃん?みたいな単語に注がついているのです。

思うに、きっとこの本に出てくる長くて(日本人にとっては)難しげな単語って、ラテン語起源なんじゃないでしょうか。だからイタリアの子は、長い単語には注が要らないのでは?どうかね、ワトソン君…?とホームズだけに推理してみたりする今日この頃です。


Sherlock Holmes Investigates
Black Cat
ISBN88-530-0017-1(CD付き)CDなし版もあります。
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by silverspoonsjp | 2008-06-05 22:53 | 本にまつわるエトセトラ | Trackback | Comments(0)