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本と読書をめぐる冒険


by silverspoonsjp
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インタビュー

片付けもようやく今年6月分くらいまで進み(発掘と一緒で、下へ行くほど古いのでした(*^^*)。時間ができたら読もうと思っていた、美術手帖05年7月号のコピーが出てきました(私には、大部の本と雑誌はコピーしてオリジナルを処分してしまい、コピーの方も1枚ずつ読んでは捨てるという非常に悪い癖があるんです)。

つねづね、絵は見ればよいので講釈を知る必要はないと思ってきたため、美術雑誌なんて読んだこともなかったのですが、李禹煥さんの記事があるというので買っといたのでした。

李禹煥さんの作品は、最初絵ではなく、「余白の芸術」というエッセイを読んで感銘を受けていたので、文字で作品を語られても抵抗がなかったという面もあります。

記事自体は本文6枚程度の短いものでしかもインタビューでしたが、示唆に富む内容でした。

「自分の内部に敵がいて、どっちが敵になるかわからないんです」


とか

「日本では形をきちっとつくって、そういうものに当てはめていく。朝鮮の文化というか、韓国というのは形を嫌います」

というような発言を引き出しています。本人が自分を語る言葉を持っているというのが大きいでしょうが、聞き手も上手い人だったのでしょう。

話を聞いてまとめるだけだから簡単だろう…という了見なのか、安易に巻頭にインタビューを持ってきている雑誌がありますけど、優れたインタビュー記事にはなかなかお目にかかれません。

すでに発表されていることをなぞっているだけだったり、話題が偏ってしまったり、相手のあることだから、インタビュアーの思うとおりにはいきません。大変なお仕事なんですよね…

ずーっと昔インタビューの通訳をしたことが何度かあるんですけど、聞き手によって全然反応が違うのが面白いくらいわかりました。インタビュアーによって、事細かにすでにある資料を本人に確認したり、わざと相手を怒らせてみたり、いろいろですが、やはり相手のことを良く知っている人の方が良い話が聞けるようです。また、インタビュアー自身が相手に興味を持たれるような人だった場合、インタビュー後にする側される側がお友達になってるというケースも結構ありました。

その他、記事にまとめた後にインタビューを受けた人に確認のために見せると「こんなこと言ってない」って揉めたりすることもあり大変です。会う前に先にストーリーが出来上がっていて、インタビューはただ会ったというアリバイ作りのためみたいなひどいインタビューもありました。

とても知的な話し方をしているのに、記事になると「オレが最近クールだと思ってんのはさー」みたいな口調に、書き直されてたりとかね(おいおいおい)。

芸能関係の人なら、プライベートな質問も受け流す術を心得ていて、あまり怒ったりしませんが、モノを作る人に対しての質問にしては、失礼じゃないのかと思う(そして必ずといっていいほど皆がする)のがあります。

それは「あなたが影響を受けているアーティストは誰ですか」という質問。

プライドの高いミュージシャンにこのまま聞いたら、
「オレは誰のモノマネもしていない!」って
その場で席を立たれちゃいますよ…
通訳には質問内容の勝手な変更は許されないけど、聞き手に
「あなたが尊敬するアーティストは誰ですか、っていう質問ですよね?」と確認したり
聞き手了解の上で遠回しに
「あなたがよく聞くアーティストは誰ですか?」
「いろいろな意味で刺激を受けたでしょうね?どんな点ですか?」
などと外堀から攻めることもあります。
だって、相手はまず通訳に怒るんだもの…
by silverspoonsjp | 2005-10-26 23:58 | 本にまつわるエトセトラ